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「昔の会社」が拠り所になる安心感

日経COMEMOさんの「#出戻り社員に期待すること」というテーマ募集を見て、このnoteを書いています。バーっと書いてみたら長くなったので、2つに分けて公開します。

出戻り社員のニーズが高まっている背景には、人材の流動化と労働力不足があげられます。転職が当たり前になる=退職者は増えるわけで、せっかく自社で働いてくれた馴染みのある人とは、退職して終わりではなく、ゆるくつながっておく方がいい。

荏原製作所さんがアルムナイ制度導入の際に「組織も境界を拡張する」とおっしゃっていましたが、まさにそんな考え方が必要になると思います(アルムナイの詳しい説明はこちら)。

我々にとってアルムナイ制度は、組織がアクセス可能な人的資源の範囲を拡張することを意味します。これは「組織そのものの境界を拡張する」とも言い換えられる。年々増えていく退職者をどうやって自社の仲間にするのか。入口の採用から、在籍中、そして卒業となる退職後までの情報や人をつないでいくことによって、グローバル市場で持続的成長を実現するための多様な人材の獲得や育成につなげていきたいと考えています。
https://alumnavi.com/ebara/ より)

TISさんも似たお話をされています。

もともとIT業界は流動的な業界ですし、業界全体で人材がぐるぐると循環することで、IT業界全体をより活性化させていってもいいのではないかと思っています。
https://alumnavi.com/tis/ より)

一方、出戻りを歓迎することで離職率が上がるのでは?という懸念も耳にしますが、乱暴な言い方をすれば1社で一生働くこと自体が今後はレアケースになるわけで、そもそも辞める人は出戻り制度があろうとなかろうと、辞めます。

それならアルムナイと関係をゆるくでも持っておいて、来るタイミングで副業なり出戻りなり、また一緒に働ける余地を残しておく方が合理的。

個人側の視点で考えても、「戻れる場所がある」ことの重要性は増すと思っています。人生100年時代、マルチステージ、人材の流動化……自分の居場所が安定しない中、「昔の会社」が拠り所の一つになる安心感は大きい。

私自身、現職に就く前の3年間フリーランスを経験して、どこにも所属していない孤独感がずっとありました。

そんな中、前職からお仕事をいただけたこと、一緒に働けたことは金銭面以上に、精神的な意味でありがたかったですし、前職の人から冗談まじりに言われる「戻ってきなよ」が本当にうれしかった。

今のところ私は前職に出戻り社員として再入社する考えはありませんが、個人が希望する働き方も時と共に変わります。今は少人数の会社でガツガツ仕事をしたいけど、例えば数年後に家族を持っていたら、その辺の働き方が整備されている前職でまた働こうと思うかもしれない。

そう考えると、企業がアルムナイネットワークを用意して退職者と関係を持とうとしたり、出戻り社員を歓迎したりする姿勢は、働き方の流動性が高まるこれからの個人にとって、会社選びの一つの指標になるのかもしれません。

#日経COMEMO #出戻り社員に期待すること

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