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2021年11月の振り返り

あまりにも流れるように日々が過ぎていくので、振り返りを書いてみる。読んだ本と、ときどき仕事について。

夜が明ける/西加奈子

すっごいしんどかった。 「苦しかったら、助けを求めろ。」 簡単で当たり前なことなのに、大人になるにつれてどんどんできなくなっていく。

最後に救いはあったけど、この本が本当に必要な人の元には届かないだろうことがつらい。

主人公に名前がないことも、存在を認められてない感じがして悲しかった。そして名前がないことに読み終わるまで気づかなかったことが余計に悲しい。わたしはポンコツ

殺人犯はそこにいる/清水潔

実際に起きた事件を追った、ジャーナリストのノンフィクション作品。過ちを認め、「ごめんなさい」が言えない大人が起こした悲劇。

裁判官も検事も警察官も、もともとは犯罪者を憎み、被害者やその遺族を助ける存在になりたかったんじゃないのかな。フィクションであってほしかった。

真実を隠そうとしている人たちは、一体どこでゆがんでしまったのか。苦しくはないのか。彼ら・彼女らの本心が知りたい。

それからはスープのことばかり考えて暮らした/吉田篤弘

スープのごとく温かいお話。穏やかにロマンチック。

こういう地域の交流がしたくてわたしは家を買ったところもあるんだけど、どうやったらこういう関係性が築けるんだろう。やはりお気に入りのお店を探して通うのが王道か?

倒産続きの彼女/新川帆立

リーガルミステリーであり、お仕事小説であり、家の事情で「こうせざるを得ない」人生を送ってきた主人公・玉子が自分の人生を歩み始めるまでのお話。

わたしは選択肢の多さが女性の人生の難しさだと思っていて。そういう意味で、玉子には選択肢がないつらさと同時に、選択肢がない楽さもあったんだと思う。

そこから彼女がどうやって自分の意思を持つようになるのか。自分で決められる人の強さを感じた一冊。

そして!なんと著者の新川さんに取材の機会もいただいた。

合理的でさっぱりした考え方にわたしも励まされたし、女性のキャリアへの課題感にも共感する部分がたくさんあって、取材とても楽しかった。

闇祓/辻村深月

人の闇が連鎖していって、コミュニティが丸ごとおかしなことになっていく。その起点に自分がなったこともあったのかも……と、やや心当たりもあって恐ろしくなった。

言葉の通じない薄気味悪さ、胸糞悪い言動、どれも現実世界にありそうな嫌なコミュニケーションで、読むのが嫌になりつつも先が気になる展開は「辻村作品だ〜!」という感じ。

連載中にコロナが流行して自粛警察やらがあったことで影響受けた部分もあったのかな〜なんて考えたり。どこか旧態依然とした家制度そのものへの否定的な見方もあるような?と邪推してみたり。

あと、犬の鳴き声がちょっと変わってるのはもしかして『エスパー魔美』のオマージュ……?

こんな世の中で生きていくしかないなら/ryuchell

全体的に絶望感というか、諦めの空気が漂う。まだ若いりゅうちぇるさんが言う「こんな世の中」は重いな〜と。

人には人の地獄があって、端から見た「幸せそう」は文字通りそう見えるだけだったりもする。彼に愛するパートナーと息子がいてよかった。

そしてこちらも取材の機会があり、2つの記事を作った。「自分らしさ」を何より大事にしている印象が強かったので、ここの部分がとても意外。

最近では「自分らしさ」なんて、逆に必要ないって思うようにもなったんですよ。


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