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香川のお遍路に詳しくなった

ラーメンがおいしいとおすすめされたうどん屋を再訪し、ラーメンを食べる。これぞ長期滞在がなせる技。限られた滞在日数の中、初めてのうどん屋でラーメンを食べるハードルはあまりにも高い。

ラーメンのスープにはうどんつゆの雰囲気が残っている。これはまぎれもなくうどん屋のラーメン。

390円

1日1本しかないバスをバス停で待っていたら「乗りますか?」と、反対側のバス停に止まっているバスの運転手さんから声をかけられる。待つ場所が逆だった。親切な運転手さんで助かった。

おへんろ資料館、またの名をおへんろ交流サロンをのぞく。

香川県は空海の出身地。空海が修行して回った全長1400キロの道を88カ所の霊場とともに回るのが四国遍路。どこから始めてもよく、回る手段も自由。タクシーでもオッケーだが、車でも10〜14日間かかるらしい。

所要日数は徒歩だと40〜50日。280回回った人は22歳からお遍路を始め、78歳で280回を達成したそうなので、280回÷55年間で年間5回お遍路をしている計算になると思うのだが、計算式は合っているだろうか。

この方は33歳時点で30回回っており、その当時は年間3回弱の計算になる。加齢とともにペースアップしていてすごいなと思ったが、忍耐が必要な競技は年齢を重ねた人の方がコツコツ取り組めて向いていると聞いたことがあり、お遍路もその一種かもしれない。中には生涯で308回88カ所を回った人もいるそう。

お遍路さんの食事や宿泊の面倒を見る接待という文化があり、中には接待だけを頼りにお遍路を回り続けて生きる人もいたのだそう。「あそこに行けば食べられる」という、罪人や訳ありの人たちの最後のよりどころとしてもお遍路は機能していたという。

接待をする人はお遍路さんを支え、お遍路さんは接待をしてくれた人の代わりに霊場を回る。接待をする人はお遍路さんから札を受け取り、その札を俵に詰めて自宅に吊るし厄除けとする風習もある。「修業性と大衆性、宗教性が入り混じったのがお遍路という道」という解説が面白かった。

展示を見ているとお遍路はお賽銭を出したり納経料を数百円納めたりと、結構出費も多い印象だったが、係員の方にいわく「気持ちの問題」とのこと。

空海は7歳の時に「僕に世の中を救う力があるなら生かして!」と崖から身を投げたところ、天女に救われたらしい。なんて物騒な発想の子。

恐ろしい絵

施設には各県に残る空海こと弘法大師の伝説が展示されていたが、全体的に「弘法大師が乞うたのに水をあげなかったからその地の水が枯れた」「弘法大師を助けたから地域に水がわいた」など、弘法大師への接し方で土地の命運が変わってしまう話が目立つ。ずいぶん器の狭い人という印象で、弘法大師も不本意なのではなかろうか。

係の方から手作りポストカードをいただく。いくつかある中から選ばせていただき、ちょうど自分らしさをテーマにした原稿を書いていたのでそんな感じのものを選ぶ。

ポストカードにはクリスマスのお菓子も入っていた。お遍路は仏教なのにクリスマスなんですねと言ったら「空海さんはあらゆる宗教にウェルカムな人なんですよ」とのこと。宗教入り混じる感じが日本っぽいな〜と思ったら空海さんがそういう人だったのか。

おうちでは小豆島でご一緒した女の子と再会。ずっと実家住まいな彼女はサブスクであちこち回る中で、水回りに対する自分が許容できるラインがわかってきたという。

短期間で複数の物件を泊まり歩いているわけで、物件を見るポイントや生活する上で必要なもの、なくていいもの、人と一緒にするときに許せること、許せないことなど、判断するだけの経験値も養われる。初めて実家を出る人、人と同居する人、家を買う人なんかにもこのサービスは向いているのかのしれない。

良い色のかつお

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