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熊野古道でスピるには集中力がいると知る

今日は仕事の日。周辺には驚くほど何もなく、人もいない。そうなると化粧をする気が自然となくなる。

とはいえ朝イチで取材。昔は化粧をする前後であまり変わらないことが嫌だったのに、36歳になるとすっぴんはちゃんとすっぴんになる。どうかな〜と思いながらzoomをつなぐと、デスクが窓辺にあるおかげで自然光により盛れた。家具の配置が天才。

「15時ごろに熊野古道を歩いている人が泊りに来るから、到着したら2階の部屋に案内して、温泉連れて行ってあげて」と前日家守さんにお願いされたので、到着を待ちながら仕事をする。

途中、郵便屋さんが来て、書留のサインを求められた。宛名を見ながらサインをする。変な感じ。サインとはいったい何なのか。

宿泊者さん到着後、わたしの運転で温泉へ。お互いよくわからないまま車でお風呂へ向かう。これまた変な感じだけど、不思議と話しやすい。飲み屋のカウンター的な効果。お互い1日一人で過ごし、久々に人と会ってハイになっている面もあるかもしれない。わたしはそれまで生き物は猫しか見ていない。

彼はぬーべーを入り口に寺社仏閣への関心が芽生えたらしい。何がきっかけになるかは本当にわからない。コスパや意味を重視することは可能性を狭めるよなと改めて思うなどする。

温泉は一の湯から五の湯まであり、だんだん温度が低くなっていく。なぜか二の湯から入り始め、三の湯でスピリチュアルなことを考えてみようと試みる。

なぜ温泉が出ている岩は色が変わってボコボコ変形しているのだろうか、岩が苔むしていることに不快感がないのはなぜなのか、と思い馳せたり空を眺めたりしてみるものの、それ以上の発展はないまま五の湯になってしまった。

一の湯に戻り、高温具合に驚きながら実家を思い出す。実家の風呂は馬鹿みたいに熱かった。45度設定で父はさらにあったかボタンを押していた。極端な父だよなと思う流れで、朝ごはんの鮭が辛口だったことも思い出す。

鮭には塩がふいていて、めちゃくちゃしょっぱい。わたしは給食で出る普通の鮭が好きだった。実家の鮭の方がいい鮭であったろうに。

その反動か、わたしは塩気が濃い味付けが苦手で、自分で作る料理は基本味が薄い。昼に自作したそばはいくらなんでも味が薄くて実においしくなかった。

見た目は悪くない

でも筋子とか好きだし、辛口の鮭もお酒とともに突つけばまた印象は違うのかもしれない……と考えながら、スピリチュアルから遠く離れていることに気づく。スピるには集中力がいる。

帰り道は日が暮れ、オーストラリアの田舎道を思い出す。暗い道は怖い。サイドミラーに何も映らないのが本当に苦手。助手席に人がいてくれてよかった。

夜は家守さんに夜ご飯をご用意いただく。豪華炭火焼き。海鮮大好きなのでうれしい。

一人前

居酒屋だとお酒飲むあまりごはんを食べるのを忘れがちだが、出されたものは全部食べるタイプなので全て完食。デザートのあずきバーまで食べ、久々にきちんと食事をとった。

家守さんからは「きれいに食べるね」と褒められる。おそらくエビの頭を吸ったからだと思う。細部までしっかり食べるとおじさんから好感を持たれる。36歳の豆知識。

3人で細々話す。2人は知識が豊富で、引き出しがたくさん。知性がないと楽しい会話はできないのだと痛感する。わからないこともたくさんあったなりに、経済も地域発展も交通も歴史も、全ては地理が影響していることは改めてよくわかった。地政学という存在を知ってから地図を見るのはより楽しい。

今はGoogleマップで所要時間も地形もわかるけど、実感として理解できることとの隔たりはやはり大きい。だから人は旅をするのだなと、部屋のテラスでお湯割りを飲みながら月を見つつ考えた。良い感じ。ついでに月を撮ってみたら想像よりきれいに撮れた。スマホの進化。

ぼちぼち寝て、明日は少し早起きして、那智の滝のあたりへ行く予定。自然の中で生活すると勝手に早寝早起きになるんだな。

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