見出し画像

別府の銭湯は裸の付き合い

珍しく人気店のランチの予約を取った。大分郷土料理のだんご汁と、うどんにきな粉をかけたようなやせうまというデザートのセット。わんぱくにも別途とり天まで頼んでしまった。

だんご汁とやせうまには小麦粉を練ったぼってりしたうどんのようなものが入っていて、ごはんにはさつまいもが混ぜてある。

この地域ではかつて米がなかなか育たず、代わりに小麦の栽培が盛んになったことで小麦粉を原料にした郷土料理が多いのだという。

米と小麦粉とイモを同時に食べ、だんご汁の水分も相まってお腹はずっしり。

遠くにお城
外観が渋い道の駅

部屋で仕事をし、小腹が空いたのでお誕生日にいただいたLINEギフトで先ほど買っておいたからあげクンを食べる。

チンしてからトースターで焼くというふた手間をかけたら購入直後の10倍くらいおいしくなった。わたしはごはんをおいしく食べるための手間をかけられる人間。

地元の人が行く小さな銭湯へ行く。シャワーがなく、湯船のお湯を洗面器ですくうタイプのお風呂。温泉のへりには女たちがズラリと並び、温泉に向かって体やら頭やら洗っている。

そんな中、わたしが最初に洗い終わってしまい、湯船に浸かることになってしまった。自然と裸の女たちに囲まれ、彼女たちと対峙する格好になる。自分が異分子であることも相まって、なかなかの緊張感と気まずさ。

もし別府に移住したら、近所の人とお風呂でばったり会うことが頻繁に起きるのだろう。文字通りの裸の付き合いであり、その距離感は今のわたしにはだいぶ近い。メガネがないと知り合いが来てもわからないという問題もある。現に「洗うの早いねぇ」という声が聞こえたが、目が見えないからわたしに向けて掛けられた声なのかがわからず曖昧に笑ってやり過ごしてしまった。

銭湯に入る時は「こんばんは」、出る時には「おやすみなさい」とあいさつをするのがマナーらしく、そのハートフルな雰囲気を温かく思いながらも少し疲れてしまった。やはり秋は精神のコンディションがよろしくない。

玄関で家守さんご夫婦とばったり会う。2カ月の赤子をお風呂に入れるらしい。お風呂は温泉なので、この赤子は温泉育ち。さっきの銭湯にもお子さんがたくさんいた。

温泉育ちの子どもたちが大きくなって、風呂なしアパートに住むことはできるのだろうかと想像する。お風呂通いには慣れているわけで、近所に銭湯さえあればどうってことないのかもしれない。むしろ風呂ありアパートの小さな湯船の方がつらいかも。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?