初めての「出版」にたどり着くまでに取り組んだ10のこと
初めての書籍『I型(内向型)さんのための100のスキル』を出版して、今日でちょうど3か月が経ちました。
よく聞かれる質問がいくつかあるのですが、「どうやって出版したの?」というのは、ダントツに聞かれます。
私も実際に「本を出版する(商業出版)」プロセスを体験してみて、分かることがいっぱいありましたので、今回のnoteは初めての「出版」のために実施した10のことをテーマに書いていこうと思います。
私が体験したプロセスを共有することで、
「いつかは本を書いてみたい」とか
「自分の作品を世の中に出したい」とか
「自分でビジネスをしたい」とか
思われている方はもちろん、普段noteを書いている方にも何か参考になる点があれば、うれしいです。
(上手くいかなかったことも含めプロセスを共有した方がお役立ちいただけると思い、8,000文字を超える長文になりました。)
1.noteやブログを書く
今回出版した『I型(内向型)さんのための100のスキル』には、これまで書き溜めたnoteやブログの記事から流用したものが沢山あります。
noteやブログで書き溜めた記事は1000以上ありますが、そのなかで使えそうなものをリストアップしていきました。
・よく読まれているもの
・反応が良かったもの
・自分なりに思い入れがあるもの
間違いなく、noteやブログを通じて、言語化したものがストックとして役に立ちました。
本として書きたいテーマが既にあるのであれば、そのテーマでnoteを書いてみる。まだテーマがぼんやりとしているのであれば、まずは自分が書きたいと思える内容で書き溜めていくのが良いと思います。
私の場合は後者でした。単に、自分のメモとして書き溜めていくなかで、段々と方向性が見えてきた気がします。
たとえば、自分がこれまで書いた記事を眺めてみると、
「自信がない」とか
「自己アピールが苦手」とか
「人見知り」とか
自分のコンプレックスだったところを、どう乗り越えてきたか?の切り口が反応が良くて、この辺りのテーマがありそうだなと見えてきました。
そして、過去の記事を振り返るなかで、自分が大切にしたいことも浮き彫りになってきました。
私の場合は、埋もれてしまっている、なかなか光が当たってない「可能性」が拓かれていくことに喜びを感じます。
一言で言うと、
「〇〇だからこそ、できることがある」
自分が大切にしたいことを言語化するのは、「なぜ本を出版したいか?」に直結するので、出版プロセスの軸となりました。
上記の「〇〇」に入るキーワード、切り口をどうするか?を、探す旅がはじまりました。(例:自信がない、人見知り、普通の人、母親など)
2.とりあえず「企画書」をつくってみる
本を「出版する」というのは、いくつかのプロセスがあることが分かりました。ざっくりと表現すると、こちらの4ステップになります。
本を出版する方法は、大きく分けると商業出版、自費出版、電子書籍出版の3つがあります。
今回私が経験した「商業出版」では、まず何より「企画」を磨くことの大事さを痛感しました。ですので、このnoteで書いている内容も、「企画」に絞ってます。
出版方法によって各プロセスにかかる期間などに違いはあるかと思いますが、「企画」を磨くことが大事という本質は同じかと思います。
私が経験した一例ですが、期間で言うと、
このなかで、壁になったのは「①企画」のプロセスです。「7ヶ月」と書きましたが、企画を作って色々と応募してみるものの、うまくいかなくて、、を繰り返していた期間も含めると2~3年かかりました。
実際にやってみて、「企画」を通すことの難しさと壁を痛感したのです。
なぜなら、「商業出版」の場合は、
・課題を持っている人の母数がいて、
・すぐ実践できる解決策があって、
・その解決策は誰でも再現できるもの
つまり、本として売れる可能性があるものを「企画」として磨きこんでいく必要があります。じゃないと、企画として通らない。。
本にかかる諸経費をすべて出版社が負担するのだから、当たり前ですよね。
私のようなド素人が、右も左もよく分からず、「企画書」を作ってみて、色々な出版社さん、編集者さんにあたってみるものの、ことごとく撃沈しました。。
今では、その理由が痛いほどよく分かります。
・相手視点が抜けていたから
(課題を持ってるのは誰なのか?どういう変容があったらいいか?どんな人に読んで欲しいか?その人がこの本を買いたいと思うか?を考え抜くこと)
・市場の視点が抜けていたから
(既に類書はでているか?それはベストセラーになっているか?類書がなければ市場は無いので市場をつくる根拠が必要だし、類書があれば差別化を明確にする必要がある)
とは言え、実際にやってみないと、なかなか分からないものですよね。。
なので、とりあえず「企画書」をつくってみるのがおススメです。
ありがたいことに、今回出版いただいた出版レーベル「BOW BOOKS」さんのサイトで、企画書のフォーマットと、チェックリストがダウンロードできます。
まずは、フォーマットに沿って企画書を書いて、チェックリストでチェックしてみると良いと思います。
いざ作ってみると、全然埋まらない項目があったり、
・誰に何を届けたいのか?
・読者にどんな変容を期待するのか?
・なぜ届けたいのか?
・なぜ私が書くのか?
・なぜ今なのか?
などが、整理できます。
「とりあえず」の仮置きのスタンスで良いから、まずは企画書をつくってみるのが良いと思います。なぜなら、何が自分に足りてないかが分かるからです。
私の場合は、最初に作ったのは100点満点だと10点にも満たないくらいでしたが、少しずつアップデートしていきました。
3.読者となりそうな方に「ヒアリング」をする
私の場合は、「内向型」というテーマが絞れてきたときに、20人の内向型の方々にヒアリングしました。
つまり、読者となりそうな方へのヒアリングが、企画を磨くことにつながったのです。
具体的には、とりあえずつくった企画書を見せながら、
・どういう課題があるか?
・本の企画のどういう点が響きそうか?
(共感ポイントはあるか?)
・逆に響かなさそうなところはどこか?
・具体的なエピソード などなど
をお伺いしていきました。
たとえば、「考える前に、とにかく行動せよ」みたいなのは内向型にとってはキツイよねとか、まずは内向型として「あるある」な共感エピソードから入るのが大事だよね、などの気づきがありました。
10人以上ヒアリングしていくと、少しずつ共通点が見えてくると思います。
企画を磨くだけではなく、本のなかにもエピソードとして多数紹介させていただき、ヒアリングさせていただいた方々には感謝です。
私のなかで「内向型の方々のすばらしい所、魅力をもっと知って欲しい!」との気持ちも高まっていきました。
4.「フィードバック」をしてもらう
次に、誰かに自分が考えた企画についてフィードバックをしてもらうことです。
では、誰にフィードバックをしてもらうのがいいのか?と言うと、
編集者など専門家の方が身近にいればベストですが、なかなか居ないかもしれません。
そんな時は、
・この本を読んでもらいたい人
・身近な人
・フィードバックをちゃんとくれそうな人
など、客観的な視点でフィードバックをしてもらうのが良いでしょう。
シンプルに読みたいかどうか?
どうしたら、読みたいと思えるのか?
できる限り、複数人からフィードバックをもらうのが効果的です。なぜなら、複数人の視点が入り、共通点が見出されるからです。
「こういう内容だったら読んでみたいな」というフレッシュで客観的な視点をいただけるので、自分では気づかなかったことに気づけます。
たとえば、「自信がない人のアウトプット法」みたいな企画で壁打ちしていただいた時は、「アウトプットの本はありふれている」など、反応はイマイチでした。
一方で、「控えめさんの本」みたいな企画だと、割と反応が良かったので、こちらを切り口に企画を磨いていこうと思えました。
5.フィードバックをもとに、企画書を「アップデート」する
とは言え、「フィードバックをしてもらうのが大事」と頭では理解しているものの、正直怖くないでしょうか?
特にネガティブなフィードバックをいただくときは、落ち込むこともあります。
でも、「フィードバックをいただいた点はアップデートしていけば良いんだ」と気づいてからは、「アップデート」にエネルギーを注ぐことにしました。
全てのフィードバックを真に受ける必要はないと思います。ただ、フラットに聞いてみて、自分が納得できる点について企画書をアップデートしていきました。
6.「専門家」に学ぶ
専門家に学ぶのも、1つの手段として効果的かと思います。
専門家とは、編集者や著者など出版に詳しい方を指します。
私の場合は、フィードバックをいただくなかで、「1から、本づくりの基本を学びたい」と思い、思い切って「出版ゼミ」に参加することにしました。
参加した理由は、
・体系的な学びが得られる
・相互にフィードバックしあえる仲間がいる
・何から手を付けたらいいか分からないときの道筋ができる
の3つです。
その他には、
・友人のつながりでベストセラー作家の方に壁打ちしていただく
・出版サロン的なところに参加してみる
なども試しました。
正直言って、サロン的なところは空気感が合わないところもありました。金額もピンキリになるので、色々とリサーチしながら、体験しながら、しっくり来るものを探すのが良いかと思います。
ちなみに、「出版ゼミ」に参加した経緯は、下記のnoteに書きました。
実は、説明会に参加してみたものの「1期」には勇気が出ずに結局参加できず。。2年越しに開催された「2期」に思い切って飛び込んでみた経緯があります。
また、出版後に知った最近リリースされた本ですが、『本を出したい』は、出版を目指す人にはすごく参考になるところが多くておススメです。
7.「出版経験者」がいるところに身を置く
私の場合、いくつか所属しているコミュニティや、つながっている人のなかに出版経験者がいたことも励みになりました。
心理学者のアルバートさんが提唱された「自己効力感(自分ならできるという感覚)」は、自分が行動しなくても他者の経験を見聞きするだけで高まるそうです。
たしかに、身近に出版経験者がいると、「もしかしたら自分もできるかも」との気持ちが湧いてくるものです。
逆に言うと、身近にいなかったときは自分のなかに「出版」という選択肢がありませんでした。ですので、出版経験者がいそうなところに身を置くと良いと思います。
専門家がされている出版スクールだったり、学びに関するコミュニティだったり、noteでも「出版」のことを書いている人は多数いらっしゃるので、そういう方の情報を追うのも手段のひとつです。
読書会を定期的に開いているようなところも、本に対する関心度が高いので、出版経験者がいる可能性があるかと思います。
8.「類書」を研究する
書きたいテーマの方向性を仮決めしたら、類書(同じテーマで出版されている本)を調べてみましょう。
類書でベストセラーになっている本は、なぜ売れているのか?を自分なりに研究してみます。
私がテーマにした「内向型」では、20万部を超える大ベストセラー書籍として『「静かな人」の戦略書』があります。
・あるあるのエピソードに共感できる
・仕事において使える「戦略」が満載
・本のデザインも秀逸
で、何度見ても、読んでも、ほれぼれします。
でも、実は、類書を読めば読むほど、落ち込みました。。
なぜなら、すでに世の中にでている完成品、しかも売れている本なので、完成度が高いからです。
「世の中には、すでにこんな名著があふれてるのに、なんで私が?」
今思い返せば、完成品を目の前にするので、落ち込むのは当たりまえですよね。
なので、落ち込んでからが勝負です。
類書を10冊、20冊と研究していくうちに、
・どの辺りなら可能性があるか?
・まだ出てない切り口があるか?
・共通する大切なポイントはなにか?
が段々と見えてきました。
・これまで出ている内向型の本は、海外の翻訳本が多い
→日本人が日本で実践したことをもとにしているエピソードは、読者の方により共感する可能性があるのでは?
・心理学者など、専門家が書かれた本がほとんどである
→逆に私のような専門家でない人間が「実践」を積み上げてきたことは、専門家でない読者にお役立ちいただける可能性があるのでは?
・内向型に関する本は沢山でているが、「リーダーシップ」について書かれている本は少ない
→いま世の中的にも求められている、多様なリーダーシップのあり方を提案できるのでは?
などなど、類書を研究するなかで見えてきた切り口から、「内向型の本を100冊読んで実践したベスト100のスキル」のコンセプトが磨かれていきました。
【ちなみに、類書が全くない場合は?】
新しい市場開拓となるので、出版社で企画を通すのはハードルが高いとは思います。その分ポテンシャルも高いと言えるかもしれません。
類書がない場合には、市場のデータ(なぜこの本が役に立つのか?どれくらいの母数の人が対象にいるのか?)や具体的なエピソードなど、客観的に説得できる材料が必要かと思います。じゃないと、自分だけが勝手に言っている、ひとりよがりの企画になってしまうからです。
9.「実績」をつくる
商業出版にあたっては、「なぜ私がその本を書くか?」の問いに答えられる必要があります。つまり、それなりの「実績」が求められるのです。
ここは、私が出版の「企画」を磨いていくうえで、大きな壁になった点でもあります。
「すでに出版されている著者の方々の、実績がすごすぎる。。」
「自分には、そんな実績がない。。どうすれば?」
と思っていたのですが、方法は大きく2つありそうです。
1) これまで自分がやってきたことから、「実績」を数値化してみる
2) これから、「実績」をつくる
私の場合は、これまでやってきたコミュニティ運営を棚卸ししてみると、
・5年運営している
・累計の有料会員数は500名以上
・累計のイベント実績は1000回以上
など、いくつか数値にできることがあると分かりました。
「実績がない」と思っていたとしても、絞り出せば意外と自分が思っている以上に数値にできることもあるかもしれません。
もし書きたいテーマのところで実績が足りないと思うのであれば、「ヒアリングした人数は100人以上」「100人に聞きました」とか、そういった実績をこれからつくるのもありかと思います。
10.「応募」を続ける
さいごに、「応募」を続けることの大切さです。
よっぽどラッキーなケースで、出版社さんや編集者さんからお声がけいただけることもあるかもしれません。
私の場合は、「応募」できる機会を探し、「応募」し続けてみました。
ざっとこれまでやってきたことを羅列します。
・つながりのある方経由で、出版社さんや編集者さんをご紹介いただき、企画を持ち込む
・出版ゼミ(塾、スクール)に参加する
・クラウドファンディングの出版企画に応募する(今は無くなってしまったようですが、EXODUSというサービスです)
・著者と編集者をつなぐ「企画のたまご屋さん」というサービスに応募する
そのほか、自費出版とか、電子書籍出版の検討もしてみました。
「まずは実績をつくってから、機が熟してから応募しよう」と思っていると、いつまで経っても、始められません。
そのあいだに、同じテーマで別の方が本を出すこともあるかもしれないですし、市場が枯れていってしまって、そのテーマの需要がなくなってしまうかもしれません。
正直言って、「応募」をするのは怖いし、うまくいかなかったら落ち込むし、勇気がでなくて「応募」をためらってしまったことも多々あります。
それでも今振り返れば、やってみた「応募」に後悔は無いし、ダメならダメでアップデートしていけばいいので、得られるものが大きかったなと思います。
最終的に出版の機会をいただいた出版ゼミ(NewsPicks主催の次世代ビジネス書著者発掘プロジェクト)では、全6回の講座のなかで毎回課題がありました。
課題を提出するも、なかなか芽がでない状態で撃沈を繰り返していました。。
でも、「課題に対するフィードバックは打ち返していこう」というのは決めていました。
ゼミの中で講師の干場さん(ディスカヴァー・トゥエンティワンの創業社長であり、現BOW BOOKSの代表)から問われつづけたことは、
最初に問われたときは、ぐぅのねも出ない感じだったのですが、ほんとに大事なことを問いてくださっていると思います。
私が「本の出版」にこだわり続けた理由
なんで私が、そんなに「本」にこだわっているのかと言うと、
人生において何かうまくいかないときや悩んでいるとき、「何かの道が拓けるんじゃないか?」と、わらにもすがる思いで、本を読み、本にたくさん助けられてきたからです。
私にとって、本は、1対1で著者と対話ができる最愛のツールなのです。
そして、問いつづけて明確になった私のミッションは、
「ひとりひとりが可能性を解放するキッカケをつくる」こと。
これまでコミュニティ運営を5年やってきたなかで気づいたのは、人が本来もっている「可能性」に、その人自身が気づき、解放されるには「キッカケ」が大切であること。
私自身が、本に助けられてきたからこそ、本も1つの「キッカケ」になるのではと信じています。
自分なりにミッションを少しずつ言語化できたから、応募をしつづけられたのかもしれません。
さいごになりましたが、ここまで長文を読んでくださって、本当にありがとうございました。このnoteが何かのキッカケになればと願っています。
↓ こちらの本が想いを込めて作った1冊です。「内向型だからこそ、できることがある」。今すぐ実践できる100のスキルに詰め込みました。
もしよろしければ、お読みいただき、感想をお寄せいただけますとうれしいです。
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