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オランダにもあります。マンガで読む〇〇。

絶賛、クラファン中『ハチクマの帰還』作者エメー・デ・ヨング(Aimée de Jongh)の最新作(2024年9月発売)がイギリスの小説『蝿の王』(ウィリアム・ゴールディング)のグラフィックノベル化作品ということで、オランダでは他にどんな文学作品がグラフィックノベル化されているか、まとめてみました。

オリジナルはイギリスのfaber社、オランダ版はScratch社より発売。

オランダにおいて、文学作品のグラフィックノベル化(verstripping)は新しい現象ではなく、1950年代から古典作品のグラフィックのノベル化が行われてきました。

Gerard Reve, Dick Matena, De Avonden: een beeldverhaal

ディック・マテーナ(Dick Matena)は、古典作品のグラフィックノベル化に取り組んだ最も有名な作家の一人に挙げられています。2003年には、グラフィックノベル版De avonden(英語:The Evenings)でフランダースの漫画賞であるBronzen Adhemar賞を受賞しています。


Harry Mulisch, Milan Hulsing, De Aanslag

マテーナは小説の全文をグラフィックノベル版に入れ込むスタイルを取りましたが、一方で、ミラン・フルシング(Milan Hulsing)によってグラフィックノベル化されたハリー・ムリシュ『襲撃』(日本語版は河出書房新社より。長山さき訳)は、原作の物語の構造を入れ替えるなど、グラフィックノベル化されるに当たって、より自由度の高い作品になっています。


Multatuli,Jos van Waterschoot,Eric Heuvel, Max Havelaar

日本語でも読めるオランダ文学、ムルタトゥリ『マックス・ハ-フェラ-ル: もしくはオランダ商事会社のコ-ヒ-競売』(めこん・佐藤弘幸訳)にもグラフィックノベル版があります。オランダ文学史上、最も重要な作品として、オランダ文学のクラスでも必ず課題図書になるので、まず、気軽にグラフィックノベルで読んでみようという学生さんたちもいるでしょう。


Toon Tellegen, Gwen Stok, De genezing van de krekel

『ハリネズミの願い』(新潮社・長山さき訳)をはじめ、日本でも多数の著作が翻訳されているトーン・テレヘン作品も、グラフィックノベル化されています。

子どもの読書離れが進んでいる状況はオランダも同じです。子供達に気軽に本に触れてもらえるよう、こういった重要な文学作品のグラフィックノベル化の流れはこれからも進んでいくのではないかと思います。

各作品の内容にも少し触れたかったのですが、今回はここで力尽きてしまいました。後日、また更新したいと思います。

参考:


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