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2022 albums for me

 2022年もいよいよ年末なので、今年発表された邦楽アルバムのうち特に良く聴いたものから10枚をセレクトしておこうと思う。
 なお並びは発売順で、順位はつけない。インストゥルメンタル作品は対象外とした。ソロ・バンド、若手・キャリアからそれぞれ選んでおり、これら以外にも愛聴していた作品があったことを記しておきたい。

宇多田ヒカル「BADモード」

 2022年は年始早々にすごい作品がリリースされた。Remixを含め、もう流石としか言いようがない。ほかに言葉要る?


藤井風「LOVE ALL SERVE ALL」

 待望の2ndアルバム。1stと通底するテーマやメッセージ性を帯びながら、より若々しくカジュアルな作品に。
 既リリース曲のeditが秀逸。また、「まつり」「damn」のパンチ力が光る。今作も、方向性こそ変わったものの才気の迸る1枚。CMタイアップ「きらり」のヒットで幅広い支持を得たほか、1stから世界的バイラルヒットも出た。2023年の大きな飛躍に期待。


サカナクション「アダプト」

 サカナクションにとっては試練の年だったとも言える2022年。
 しかし、発表されたコンセプチュアルなアルバム「アダプト」は、緩急バラエティに富んだ名盤。続いて発表される予定の「アプライ」も非常に楽しみ。なお初回生産限定盤に付属のオンラインライブ映像だけで、支払った価格分を遥かに超えていると個人的には感じた。


Deep Sea Diving Club「Let's Go! DSDC!」

 1stで16曲収録するバンド他にいる?オープニングや短いInterlude込みとはいえ、なんとも大盤振る舞い。盤だけに。気合いも内容も充実。
 瑞々しさと奥深さやセンスの良さが共存した、非常に良い作品。深く深く潜れば、マリンスノーの奥に隠された様々なエッセンスを見つけられるかも。
 なお、このアルバムの後にリリースされた東京3部作もすべておすすめ。


Kan Sano「Tokyo States Of Mind」

 回数で言うならば、おそらく2022年最も多く再生した作品はこれだろう。ドライブの定番となった。リリースツアーを含め、ライブもリピートしたくらい好き。
 楽曲、並び順ともに最高のアルバム。まったく聴き飽きることがなく、むしろ聴けば聴くほどに良さが増していく。初聴きからすこぶる良いのに、所謂スルメ。ラストの「おやすみ」は切実さと美しさが胸を打つ名曲。


TENDRE「PRISMATICS」

 穏やかで内省的、癒やされる楽曲というイメージの強いアーティストだが、本作はよりアクティブな魅力を備えた1枚。
 言葉選びの繊細さ、秀逸さは今回も冴え渡る。誰も置いてきぼりにしない、あたたかい音楽世界。こういうアーティストが同時代に存在するのは幸せだ。親子共演の「MOON」が素晴らしい。


sancrib「alacarte」

 「日本もっと話題になるべきアルバムオブザイヤー」なるものがあるならば、部門賞に推したい1枚。どこをとってもシングル級のメロディーのよさ。1曲目「i love you」の間奏におけるベースも大変好み。
 この人たちはもっと聴かれてほしい。できればボーナストラックの入ったフィジカルを手に入れるといい。



ベルマインツ「風を頼りに」

 なにも説明せずに聴かせた人から、「それは何年にリリースされたもの?」と聞かれたくらい、年代のほうが勝手にバグるエバーグリーンな良質ポップス。風がテーマになった作品。
 ツインボーカルがとにかく心地良く爽やかで上手い。独断では、キンモクセイが好きな人の9割くらいは好きなんじゃないかな。


McGrady「# SANDWICH」

 福岡のミュージックシーンは層が厚い。先述のDeep Sea Diving Club、sancribと同じく福岡のバンド。1stミニアルバムだが、1stって嘘だろうと思ってしまうクオリティ。なおDSDCのメンバーが楽曲に関わっている。
 けしからんと称されるVo.の声質と伸びの良さに加え⋯⋯いやもう全部いいからとにかく聴くのがいちばん。「The Turn」の格好良さは異常。


TWEEDEES「World Record」

 沖井さん全開。これを聴かない手はまあどこにもないわけで、12月に入ってすごいのがきたなという印象。
 「ルーフトップ・ラプソディ」がもうど真ん中ドストライク。豪速球ピッチャー健在、どれを聴いても素敵な冬の名作が生まれた。


 このほかまだ聴きこめていないものが幾つも。積ん読ならぬ積ん聴きにならないように、年末年始は色々楽しんでいく所存。
 今回、語るのも最早おこがましい山下達郎「SOFTLY」(6/22リリース)は、サブスクにないため10枚のうちに含めなかった。殿堂なので別枠。

なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」