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置かれた場所であばれたい

今の私は、あの時の自分が羨ましくて唇を嚙むような、そんな楽しい大人になっているだろうか。
もしそうなれていたら、パステルブルーに塗った指先で、
あの頃の私を抱きしめてあげたい。

置かれた場所であばれたい 潮井エムコ著

エムコさんのエッセイ本を読んだ。
驚いた。彼女は、なんと強く生きているのだろう。

エムコはゴリラ

クラスで大ヒットとなるこのナンバー。
いやいや懐が深すぎである。私なら、自分がゴリラなどという歌を歌われたら落ち込んでしまう。でもエムコさんは楽しんでしまう。これが彼女の強さだ。

学生結婚と子育て

このエピソードは最高である。
もちろん家庭科の先生は素晴らしい。
それをエムコさんの文章にすると、また心に沁みる。
このエピソードはぜひ本書でご覧いただきたい。
一見の価値ありですぞ。

パステルブルーの指先

冒頭の引用にも出てくるのだが、この話もいい。なぜなら、私自身「皮膚むしり症」の気があるからだ。
無意識だったり意識的だったりするそのむしり癖は、思いだしてみてもつらい。
エムコさんは、夫さんの好きなパステルブルーを力に、きっとあの頃の自分がうらやむ自分になっていると思う。

そして、私はいまだあの頃の自分を抱きしめることができないポンコツだ。いつの日か、抱きしめてあげられる日が来ますように。

4歳の家出

これがエムコさんの強さたる所以だ。母から逃げるために4歳にして家出を試みるのである。うらやましい。

自分にはそんなこと、思いつきもしなかったし、やる勇気もなかった。

実行する勇気を持てる人は強い。そして、4歳ならではの行動がかわいい。

おすすめ

26編のエピソード。どれもいい。「面白いのに泣けます」のキャッチコピーに偽りなし。おすすめのエッセイ本です。


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