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又吉直樹さんへの憧れが行き過ぎた

仕事を休む前から、そして休んでからも、彼の存在にたくさん助けられた。人生を何度も諦めそうになった時に、彼の言葉に生かされた。勝手に恩人と崇めているほど又吉直樹さんが大好きだ。

又吉さんのYouTubeチャンネル「渦」に「インスタントフィクション」という大好きなコーナーがある。

インスタントフィクションとは…
自由な発想と気軽なノリで書かれた400文字以内の超短編ストーリーのこと。又吉さんのYouTubeでは、チャンネルに届いたインスタントフィクションストーリーを独自の解釈で解説していき、最終的にはきっと作者本人でさえ予想しなかっただろう結論に行き着く。

たった400文字のストーリーからこんなに世界が全方向に広がるんだ!という驚きと、又吉さんの脳内どうなってんだ!というワクワクと。
調子に乗って私も自作のインスタントフィクションを定期的に応募しているが、どうにもこうにも採用されるなんて奇跡は起こらない。

こんな国語の先生が学校にいたら授業がもっと楽しかっただろうなと想像させる姿や、大好きな古着屋を巡る古着コーディネート回での静かな興奮が垣間見える姿や、かと思えば、小説やエッセイで地中に潜ってしまうんじゃないかというほど暗い闇の中にいる自分の胸の内をこんなにも軽やかに言葉にできる人がいるのかという又吉直樹という人物への憧れが止まらない。

特に好きなのは「東京百景」というエッセイ。
高校を卒業し上京した又吉さんが見て感じた、東京のあらゆる場所にまつわるエピソードが綴られており、胸が苦しくなったり温かくなったり、とても温度のあるストーリーにじんわりとする。
私も上京組なので自分と重ねる部分も多く、時に訳がわからない程泣いてしまうこともある。誰の心にもある東京百景。

記事冒頭の写真は、のんが表紙の文庫本。単行本も持っていたけれど、それは大好きな人にプレゼントした。今でもその人に寄り添ってくれてくれることを願う。

又吉さんとかつて同居していたパンサー向井さん、サルゴリラ児玉さんとのラジオ「あとは寝るだけの時間」では、心を許した2人の前だからこそ出てくる又吉さんの天然で純粋な少年のような表情を伺い知ることができる。

又吉直樹という人は、ただただ魅力的で味わい深い。

「あとは寝るだけの時間」を聴きながら「月と散文」を読んでいたら、楽しそうに笑ってお喋りする陽気な又吉さんと、エッセイの中の深い影を背負う又吉さんが同時に現れて、このまま私の脳内で又吉直樹という人間がもう一人出来上がってしまうのではないかという錯覚に陥った。

我ながらなに言ってんだよと思う。
ちょっと憧れが行き過ぎた。

誰しも光と影を持ち、その二つが重なって人間ができている。又吉直樹さんはそのどちらも隠さず見せてくれる(気がしている)。
弱くても儚くても生きていけることを教えてくれる。

もしも私の脳内でもう一人の又吉直樹さんが完成したとしても、きっとうまくやっていけるだろう。「いらっしゃい」と言ってそのまま招き入れて、美味しいお茶とお煎餅でもてなそう。

なに言ってんだよ本当に。

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