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本をもらう

最近は本をよく人からもらう。私が本の虫であることを知っている人がこれはおすすめですよ、と私の好きそうなものを贈ってくれたり、私自身が本を寄越せとねだったり経緯はさまざまである。

贈り物の類は何でも心から嬉しいものだが、私は一際本のプレゼントには愛情めいたものを感じる。
自室の本棚に並ぶ本たち、これらは自分の内臓のようなものなのであまり他人と共有したいとは思えないのだが、本を贈ってくれる人々は私の誰にも見せない部分に柔らかく切り込んで自然に寄り添うかたちでそこに居座る。その慎ましい優しさが好きだと感じる。よかったら読んでください、読まなくてもそこに置いておいてくださいと言われるのが私はとても嬉しい。

両親から綺麗に包装されたプレゼントをもらえるのはクリスマスだけだった。毎年父が選んだ本と母が選んだ本をそれぞれ一冊ずつもらった。父は私が速読であることを知っていたので年齢の割には少し難しい分厚い本をくれ、母は私をいつまでも子供扱いしたいのか毎年必ず絵本を選んだが私はどちらも同じくらい喜んだ。
思い返すとあれは紛れもない愛情だ。
母が最後にくれた絵本は「クリスマス・キャロル」で、父が最後にくれた本は村上春樹訳の「ライ麦畑でつかまえて」だった。後に私は村上春樹への愛憎渦巻く厄介な読者へとなっていくのであるがそれはまた別の話題。

そろそろ本棚がいっぱいになってきたので、新しいものを買わないといけない。

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