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日記−(8/27〜29)

2023年8月27日

雨が降り出しそうで降らない、穏やかで薄暗く涼しい一日だった。祭りの残骸を見物しに夜な夜な街を歩く。酒を飲んで開放的になった人たちが肩を組んで笑い合っていた。昼の喧騒に揉まれるよりも、夜に名残を感じるくらいが今年の気持ちには合っているのかもしれない。

たこ焼き居酒屋に入ると、もう祭りで全部売れちゃってたこ焼きしか出せるものないんですと言われる。たこ焼きしか食べたくなかったので好都合だった。飲むつもりはなかったけど、一杯だけ生ビールを頼んでしまった。病み上がりの一杯は格別に美味い。急に必要になりそうな喪服をAmazonで少し眺めたが、デザインがどれも好みではなかった。母に電話をすると私のお古を送ると強引に押し切られてしまったが、昔から服の趣味が絶望的に合わないのであまりありがたくない。


2023年8月28日

注文していた本革のクソデカい鞄がはるばる海外から届いた。本を2冊入れて、簡単な拘束具を入れて、iPadを入れて、ジムの着替えと靴を入れて、化粧ポーチを入れて、スタンガンを入れて、日傘を入れて、それでもまだまだ入るくらい。小さい鞄に最小限の持ち物だけを持ち歩く女に憧れていたが、早々に諦めがついたので逆になんでも入る鞄を買うことにした。そもそも、SMをやる女は荷物が必然的に多い。柔らかい革の肌触りも気に入って、しばらくは新しい玩具を手に入れた子供のように近くに置いて触ったり開けたり閉じたりしてはしゃいだ。

オンライン英会話を再開したが聞かれたことに正確に答えようとするとものすごく緊張してしまい思うように話せなかった。anxietyだけがうまく発音できず、先生の発音をなぞって何度も言い直した。anxiety、anxiety。勉強したいものがとっ散らかっているのは、人生に一貫性を持たせる自信がないからだと思う。

2023年8月29日

母から送られてきた喪服はやはりダサく、なるべくなら着たくないのだがあいにく新しいものを用意する時間はない。
お昼あたりに以前より決めていたSMバー退店のポストをした。たくさん反応をもらい、今まで頑張ってよかったと心から思った。終わりや始まり、一区切り、仕切り直しといった概念が私は好きだ。子供の頃からノートもことあるごとにいちいち新品を買って使うタイプだった。新しいことに取り組むノートを開くために、今使っているノートは閉じるような感覚で、全く今生の別れのような気持ちはない。だから、私にまた会いにきてねと思っている。

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