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記事一覧
ロボフィリア・サイエンティスト
ロボットに魂は宿るのか?
1
山奥にある研究所。
研究所とは言っても木造の小さな家。風が吹けばどこからか風が入り、地響きがあれば棚にある皿が落ちて割れる。お世辞にも良い家とは言えない家があります。
そこには一人の男性が住んでいました。何をしているのかといえば、もちろん、研究です。それが人々の役に立っているのかどうかは定かではありませんが、いずれにせよ、その研究所で研究をしている人間が
ロールケーキは甘くない
「結婚するんだ」
十年ぶりに出会ったクラスメイトに、喫茶店でそう言われた。
それを言われた俺は、アイスコーヒーを一口啜りながら「……そう」と言った。それしか言えなかった。
「変わったね、この町も。卒業したのって、もう何年前だっけ?」
「十年前だろ。俺もお前も、年を取るわけだよ」
「やだ。何よ、その表現」
あいつは、そう言って昔と変わらない笑顔で答える。
ガムシロップを開ける。もう三つ目だぞ
モニ・ヒューマンの憂鬱
一
モニ・ヒューマン。
いつからそのモニ・ヒューマンが観測されるようになったのかは定かではないが、少なくとも人間が今の文明を築き上げたころにはすでにモニ・ヒューマンは実在していたといわれている。
モニ・ヒューマンの名前の由来はいたってシンプル。その外見を二つの単語で表したものである。
モニターとヒューマン。つまり、頭がモニターになっている人間ということだ。
それ以外は人間とま
機関少女は世界平和の夢を見るか? 第ゼロ話
1
着流しの少年、浅日夏目(あさにちなつめ)は新東京特別区鷺宮町にある洋風屋敷の玄関前へと到着していた。
夏目がここまで辿りついた理由としては、今彼が持っている手紙が一因であるといえる。
「……六道さんが手紙を送るなんて聞いたこともない」
手紙の主は彼の知り合いである六道唯一(りくどうゆいいつ)からのものだった。
その手紙の内容は次のとおり。
――浅日くんへ。
君の明晰
僕は吸血鬼になれない
1
僕の一族は代々吸血鬼だった。
吸血鬼、とは名前の通り血を吸って生きている。ニンニクが嫌いで十字架も嫌い。夜が好きで太陽が嫌い。それが吸血鬼の一般的な属性だと思う。
けれど僕は普通に学校に行くことが出来る。朝起きて、普通に暮らすことが出来る。十字架やニンニクには時折嫌悪感を抱くこともあるけれど、乗り切れないことはない。しいて言うなら毎朝トマトジュースを飲む程度かな。
だから、僕は