【大喜利のお題を選んで小話を書きなぐる73】 運の良さだけで生きて来た男、運世杉太。運が良すぎて困った事とは?
かつて、「あしたの、喜多善男」というドラマがありましたね。
小日向文世さんが主役の。
当時私は高校生だったのですが、よく覚えています。人生を狂わされた善良なる男が、11日後に自殺することを決意し、最後の人生を謳歌しようと奮闘する話・・・だったと思います。
記憶している限りでは、この主人公の人生が、とてつもなく不幸なのですよね。自殺の原因となったリストラなんてただのトリガーにすぎなくて、たった10日間のうちに、彼は幸せだったはずの人生の真実にどんどん気づいていってしまって・・・だけど、結局周りの人たちはみんな、喜多さんの人の好さに救われているのですよね。切ないけれどいいラストだった。なんかもう一度見たくなってきました。アマプラでやっていないかな・・・。
喜多善男VS運世杉太
さて、ここまでは前フリです。
本日のお題は「運世杉太」の人生について考えます。彼は「運の良さだけで生きて来た男」。運が良すぎる彼が、自身の幸運のせいで困ってしまった事とは!?
・・・なんだこれ。喜多さんに謝れ。なんなんだよ、どうでもいいよ!そんなに幸運ならもう、勝手に人生よろしくやってくれよ・・・と、思うのですが。
話は変わりますが、尼子騒兵衛先生の漫画作品「落第忍者乱太郎」の中で、乱太郎たちが道中で出会ったフリーの忍者が語る「一流の忍者になるために必要なもの」がありました。それは「運とコネ」。略して「うんコネ」。
(「うんコネ って・・・?」とうろたえるしんベエくんの姿が面白かった。ぜひ原作を読んでいただきたいのですが・・・)。
極端な話、運さえあれば実力などなくても一流忍者になれるということです。つまり、「運の良さだけで生きて来た運世杉太」は、たったそれだけでエリートコースを歩んでこれたはず。ちょっと彼の人生を想像してみましょう。
運世杉太の半生(想像)
まず、幼稚園時代に公園の砂場で遊んでいたら、温泉を掘り当ててしまいます。それもただの温泉ではなく、あらゆる美容効果、アンチエイジングにも効くという魔法の温泉。その結果、辺り一帯は天然温泉の名所となり、たちまち有名観光地に。杉太は若干5才にして名誉観光大使へ就任します。地元の広報ポスター撮影のために浴衣を着てポーズを取っていたところ・・・偶然観光に来ていた某有名映画監督の目に留まり、ちょうど空いていた映画の脇役に抜擢されます。
そして迎えた撮影初日、現場に向かう道中で、杉太は泣いている少女と出会います。うまくやれる自信がないと嘆く彼女に、杉太はのど飴を渡して励まします。
そして撮影本番。なんと、道中で出会った少女は映画のヒロインだったのです。身体が弱く、病床で苦しむシーンがうまくできずに悩んでいた彼女は、道中でもらったのど飴をうっかりのどに詰まらせそうになることで、迫真の演技に成功します。
そして撮影を終え、杉太がいつものように学校に向かうと、そこには転校生としてやってきた彼女の姿があったのでした。
運世杉太、まじでどうでもいい
ああ、もう・・・杉太の人生はもういいよ!長いし、特に面白くもないし・・・!!!どうせこの後は彼女と一緒に青春して、うっかりいい大学に入ってなんやかんやでいい会社に就職して、一流女優になった彼女と結婚して、宝くじが当たって、偶然助けたお婆さんが資産家の未亡人で、アメリカのワイナリーを丸ごと譲り受けることになって・・・地元の友人の結婚式で披露した動画「アメリカかぶれの盆踊り」をなんとなくYoutubeに投稿したらこれが某有名俳優の目に留まり一躍大ブームとなり・・・最終的には紅白歌合戦にも呼ばれますって!
彼が運が良すぎて困ること?「あらゆるゲームがつまらない」ということくらいでしょう。神経衰弱とか、自分のターンですべて終わってしまう。当たりすぎてしまうので、きっとカジノにも行かないのでしょうね。いい人だ・・・ちくしょう、憎めない~。
あとは「人生にちっとも現実味がないため、連続ドラマにしても面白くない」というところでしょうか。喜多善男のような、人生最後の10日間を怒涛の展開で過ごすようなことは、杉太にはできません。何をやっても人に裏切られることはなく、苦労せず富や名誉を築いていけるのが杉太の人生なのです。杉太にとっては、「人生のちょうどいい苦さ」を経験することができないこと、これが最大の困りごとかもしれませんね。
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