重い首(こうべ)を斜めにして
辛うじて一歩。
動かし 進む 君の四本足
かつての聖者たちが
最後に口にした美酒は
身体を迸る(ほとばしる)ような赤い液体よ
それを涙を溜めて
必死で舐める君の小さな舌
刻々と迫り来る残された僅かな時間
だんだんと冷たくなってくる君の体温
何度も何度も名前を呼ぶ母の声
それに応じる君の喉の音 尻尾の先
太陽の光差す夜明けを待つ前に
気高き孤高の姿だけが君の残像となった
ああ、愛しき命の儚さよ
されど、耐え難き苦痛さえ 今はもう
私たちは永遠に君を思うだろう
あの星空の果てに君を見つけるだろう
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