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おじさんからのお祝い|生活のたのしみ展

「うわぁ、それはうらやましいなあ」

ドコノコのお店で店番をされていたおじさん(ごめんなさい、お名前お伺いできずこんな呼び方になってしまいました)にそんな言葉を掛けられ、私はとってもうれしくなってしまった。

ドコノコブースに来た私に、おじさんは「ドコノコアプリ」を紹介してくれた。「ドコノコ」は、犬や猫の写真や動画をシェアするSNSアプリだ。私が常々思い描いてきた「ワンコと生活するとしたら、やってみたいことリスト」の1つには、「ドコノコでウチの子を記録する」がある。興味津々でおじさんのスマホを覗かせてもらった。

「この子がうちの子でね。ほら、これが山を降りてる動画なんですけど、やっぱり今と比べると前の方が軽快に降りて来ていたなぁ、なんて振り返ったりできるんですよ。」おじさんは、ドコノコ上にアップした動画を色々見せてくれた。おじさんの垂れ下がった眉につられて、こちらの表情も思わずほころびてしまう。

「犬や猫、飼ってますか?」と聞いてくださったので、「実は、近々、里親として保護犬ちゃんを迎え入れる予定なんです」と答えた。すると、「うわあ、うらやましいなあ〜!」としみじみ仰るのだ。

お世辞にしては、かなり大げさなくらいだ。
おじさんにはすでに溺愛している子がいるのに、なぜそこまで言うのだろう・・?反応を返せずにいると、「だって、その子を迎えた日から、ドコノコで記録を残せるじゃないですか〜」と、おじさんは言う。

なんでも、おじさんの愛犬は、おじさんの家にやって来てから7年目らしい。だが、ドコノコアプリができたのは2年前。それ以前の記録がドコノコ上には存在しないのだ。「ドコノコを使い始めてから、すっかりスマホのカメラロールは犬の写真だらけになりましてねぇ。」と、目を細めておじさんは語る。ドコノコが、おじさんと愛犬との「思い出のストック」に一役買っているのは明らかだった。

おじさんにとって、ドコノコで思い出を残すことが、犬との生活のたのしみとなっているのだ。もしかしたら、「一生分のアルバムを完成させたかった。」という思いがあるのではないだろうか。幸運にも、私はこれから犬を迎えるのだから、そうすることが可能だ。だから、おじさんは「うらやましいなあ」なんて言ってくれたのだ。そんなプレシャスな可能性があったことを気づかされ、私はうれしくなった。

それに、「うらやましい」なんて言われたことは本当に久しぶりだった。

私たちは、「他人を自分を比較してうらやんではいけない」という社会通念の中で生きていると思う。それゆえ、「うらやましい」とできるだけ考えないようにしたり、もしそう思ったとしても、ちょっと誤魔化して、「いいな〜」なんていう言葉で表現したりしている。私自身、「うらやましいよ」とストレートに相手に伝えた最後はいつだったか、思い出せないくらいだ。

それなのに、おじさんは初対面の私に向かって、感じたままの感情を伝えてくれたのだ。きっと、おじさんは「うらやむ」というよりは、同じ犬の飼い主として、「おめでとう」とお祝いする気持ちを抱いてくれていたんじゃないかな・・。

おじさん、とってもあったかいギフトをありがとう。

「生活のたのしみ展」という場にいたから、人と人とのコミュニケーションも易しくなった。この催し物にも、ありがとう。

たのしい時はあっという間。「生活のたのしみ展」も今日でおしまいだ。
きっと、たくさんの人が、いつもと違った気持ちや気づきに包まれたのではないだろうか。

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