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甲子園中止を受けて、いま私にできることを考える②(球児たちの想いを傾聴する)

こんにちは、ukiです。

夏の地方大会と甲子園の中止が発表されてから、約二週間が経ちました。
この二週間、多くのニュースやテレビ番組で、甲子園中止の一報を受けて涙を流す球児と指導者たちの映像を、目の当たりにした方も多いのではないでしょうか。
私もその中の一人で、球児たちの涙にとても心を痛めました。もし、私が同じ立場だったら…と想像するだけで、涙を堪えることができません。
そんな私が地方大会・甲子園中止に関連するニュースを見ていて、個人的に気になったことがあったので、noteに書いておこうと思います。

①いま球児たちに必要なのは「励まし」なのか? 

現在、球界のOBや現役プロ野球選手から、現役の高校球児へ向けて多くの励ましの声が届いています。
おそらく、意図的に励ましのコメントを引き出すようなインタビューだったからなのか、「次のステップへ気持ちを切り替えて」とか「人生はこれからのほうがずっと長い」とか「この経験を糧にして」とか、そういったコメントが目につきました。

私は、そのようなコメントに理解はしつつも、納得することはできません。なぜなら、彼らの多くは「夏を全うできた側の人間」であり、溢れる才能と努力を重ね「プロ野球という最高峰の舞台で野球人生を過ごした選手たち」だからです。

要するに、ただの高校野球ファンの私とでは、あまりにも境遇や置かれている立場が違いすぎるせいで、球界から寄せられる励ましの声に共感できないのです。

上記のリンクは、5月28日に放送されたクローズアップ現代(NHK)「夏の甲子園も中止 中高生のためにいま何をすべきか」の放送回です。
この放送の中で、日大豊山高校水泳部3年生の中島さんの溢した本音に、私は深く共感しました。

 「高3の夏って今しかなくて。将来のために、今までの努力が将来のためになるよって言われても、いや将来じゃないし。今、今だから。この困難を糧にしてって言われても、糧にする場所がないし。」

これが(一部ではありますが)高校生の本音です。本当にその通りだと思いました。
私だって、これからの人生の糧にするために野球部のマネージャーをしていたわけではありません。高校野球が好きで、甲子園に憧れて、夏を一つでも多く勝ち上がるために選手たちと一緒に頑張ってきたことを、改めて思い出しました。

それは、現役の高校球児たちも同じではないでしょうか。
この夏、チームで一つでも多く勝ち上がるためであったり、甲子園に出場するためであったり、全国制覇を目指すための努力を、入学当初から今まで積み重ねてきたのではないでしょうか。

それにも関わらず、「次のステップへ気持ちを切り替えて」とか「人生はこれからのほうがずっと長い」とか「この経験を糧にして」と一方的に言われても、私が現役生なら素直に受け止めることができないと思いました。

上記は、2018年から仙台育英高校野球部の監督を務めている須江航監督のツイートです。
現場で選手たちと接する須江監督も、子供達のストレスは、大人の想像を遥かに超えると仰っています。私もこのツイートに共感したので、掲載しました。

また、各都道府県の高野連主催の独自大会が決定している地域もあれば、独自大会を断念する地域もありますし、今後は独自大会を断念する地域も増えてくるのではないかと危惧しています。
高校も授業が再開になったとはいえ、分散登校だし、部活動の本格的な再開はまだ先だし…と球児たちの抱えるストレスや焦りは、日に日に増していると想像します。

このようにコロナ禍のストレスフルな状況下において、今の球児たちに必要なのは「励まし」なのでしょうか?

②球児たちの声を傾聴させてもらいませんか?

傾聴とは、「相手の話したいことに対して深く丁寧に心と耳を傾けて話を聞く」という意味を持ちます。「話を聞いてあげる」という姿勢とは異なるので、混同しないように気をつけてください。

上記でつらつらと書いてきましたが、私が主張したいことは要するに「球児たちの声や想いを全て受け止めてから、励ましませんか?」ということです。
未曾有のコロナ禍で、高校生活もまともに始まっていない上に、地方大会・甲子園中止と立て続けに心が擦り切れるような出来事が起きているんです。
先行きの見えないコロナ禍で、すぐに気持ちを切り替えることなんて本当にできるでしょうか?
励ましの声をかけるより先に、球児たちのメンタルケアを最優先するべきだと、私は思います。

私はメンタルケアの一環として、球児たちの声を傾聴する機会を大人が設けることが今後重要になってくるのではないか、と考えています。
たとえば、指導者と選手たちとの面談であったり、チームミーティングで選手同士で想いや意見を交換したり、今の想いを声にすることで負の感情を自分の中に溜め込ませない配慮が必要だと思います。
また、対面が難しければ、LINEやメールをしたり、野球ノートに想いを書いてもらったり、zoomで顔を見ながら話し合うのもいいかもしれません。
指導者だけではなく、周りにいる大人(家族や知人等)が球児たちを気遣い、コミュニケーションを取る機会を設けてもいいかもしれません。

今の想いを声や文字にしてもらうことで、こんがらがった思考を整理し、ストレスを溜め込まないようにすることで、次第に心の中の空き容量が増えます。
心の中の空いた場所に、新たな目標が湧き上がってくるのです。

確かに、人生には次のステージに上がっていくために逃せないタイミングがあると思います。それは高校三年生の今で、進学するのか、就職するのか、プロを志望するのか・・。
そのタイミングを逃さないためには「気持ちの切り替え」を早めにする必要もあります。

それでも、高校三年生の夏は一度きりです。
未曾有の事態に直面して、落ち込むだけ落ち込んで、泣きたいだけ泣いて、誰かと自分の想いを共有する時間だって、絶対に必要です。
焦って無理やり気持ちを切り替えようとすることはないと思います。
だって、「これからの人生の方がずっと長い」んです。

球児たちが「もう一度頑張ってみよう!」と顔を上げた時には、心からの励ましの言葉をかけたい・・そんな日が一日も早くやってくることを、私は待ち望んでいます。


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