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ロンドン郊外にホームステイをして〜家族のあり方を考える

2019年の年末に、ロンドン郊外にホームステイをしてきた。イギリスには、留学生向けにイギリス人の家に無料でホームステイを提供する"Host visit”という制度がある。学生の自己負担は交通費だけで、3日間過ごすプログラムだ。今回は、ホストファザーが元警察官のイギリス人、ホストマザーが会計士の中国人夫婦のお宅にお邪魔した。

ロンドンの郊外は、中心部とは別世界と言っていいほど自然に溢れ、ゆったりとした時間が流れていた。一つ一つの家が自分たちの庭を持ち、それぞれの家族のオリジナリティを出していた。金銭的にも精神的にも豊かな人々が住む空間だった。時間をかけて料理をし、会話を楽しみながら食事をする。その後に、のんびりとテレビを見たり夜の散歩に出かけたりする。中日には、ウィンザー城に連れて行ってくれた。三日間だけ、夫婦の「娘」になる経験をさせていただいた。

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そんなホームステイを楽しむと同時に、日本にいる家族のことを考えていた。年末は多くの友人が地元に帰省し、家族の元で年を越す。クリスマスを家族で過ごすのが習慣のヨーロッパのように、日本では年末年始を家族で過ごすのが習慣だ。このホームステイを通して、日本にいた時に自分が家族のことをいい加減に考えていたことに気付かされた。

「部活と勉強」に埋め尽くされた高校時代。土日でも朝7時には家を出て、帰宅は20時過ぎ。殆ど家にいなかった。だから家族とどこかに出かけた記憶も、話した記憶もほとんどない。「なつは頑張ってるからそれでいい」という言葉に甘えてしまっていた。どれだけ家族をいい加減にしていたかは、寝顔ばかりしか見ていなかった弟達が自分の背を抜かしていたことに気づいたのは受験後だったということからわかるだろう..。そして、大学入学のために上京し家族と離れ、今異国の地にいる。家族との関わりを絶ったまま来てしまったことを後悔した。

人は失ったものに気付いてからそれが大切だったことに気づく。

まさにそうだと思う。イギリスの公共施設は家族連れが多い。日本でよく見かける乳幼児連れの家族だけじゃなくて思春期真っ只中であろう中高生の子供がいる家庭のおでかけもよく見かける。「家族との生活を大事にしている」のだろう。それに比べて日本の家族はどうだろうか。家族によって違いはあるが、そのような施設で、あまり家族連れを見ないのが事実だろう。子どもが大きくなればなるほど、受験や部活などに時間をかけることが多くなる。親も年齢が上がるとともに家庭よりも仕事の重要度が増していく。そして自然と家族でいる時間がなくなっている。

人間の最小のコミュニティは「家族」。確かに人間関係が多様化した今では家族のあり方も多様化してきて、日本のような「自分のことが中心な家族」も受け入れられるようになってきた。とはいえ、家族があってこそ自分が存在する。そして、家族を思いやることで社会や他者を思いやることも見えてくる。もう少し自分だけじゃなくて、家族に思いやりをもてたら日本はもう少しあたたかい国になるのではと、「期間限定」の家族のメンバーになって本当の家族を客観的に見て思った。

#女子大生 #長期留学 #ホームステイ #年末 #家族  

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