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3月1日のしょっぱい思い出。

3月1日は、多くの地元の高校で卒業式が行われる。長い人生において「卒業式」というものは大学を最後になくなってしまう。(人によっては高校や中学になるが)だからこそ、一つ一つの卒業式がとても思い出深いものだったんだなと今になって思う。

数年前、私もそんな卒業生の一人だった。

母校は地元の中では進学校で、国立2次試験(前期)がやっと終わったものの結果はまだ。ひとまず、私立のすべり止めには合格したものの、本命の結果待ちで色々モヤモヤしていた時期だった。だから、なんだか卒業式をいい加減にしてしまった自分がいた。そして、その前日に大失恋をしてしまった。国立前期が終わったら付き合おうと約束していた相手からLINEが。「ごめん、無理。」で終わり。「一緒に合格して幸せになろうね」と約束していたからこそ、受験勉強も本番も頑張っていたから本当に許せなかった。泣きはらして自慢の二重まぶたがぷっくり腫れた。笑えた。

一夜明けて卒業式。「女子は袴」という暗黙のルール?があったし、毎年先輩方の晴れ姿を見るのがとても好きだったし憧れだったから、何も考えずに袴を着ることは決めていた。ところが、袴のチョイスはいい加減だった。3年生の5月に決めていた袴。正直、受験勉強で頭がいっぱいで「なんでもいいや」だった。思えば、母の独断だったかもしれない。

袴の着付けで5時には写真館へ。そしてちゃんと化粧をしてもらう。彼に振られたし、見せる相手いないから何でもいいや。と投げやりだったのでスタイリストさんに「どんなメイクにする?」と言われても「どーでもいいです。」と返した。で、目を開けたら...

別人

目が腫れていたせいもあったけど、ここまで人って変わるの?って感じだった。スタイリストさんのセンスでつり目にされたからかもしれない。

そして、「ヘアスタイルはどうする?」と聞かれた。ボブだったので、その髪型を残しながらも、脇の髪は編み込みをしてほしいというイメージを伝えた。そして完成したと伝えられた時の鏡に映った自分の姿は....

アイロンで伸ばされまくった髪のハーフアップ

だった。こういう髪型じゃなかったんだけどなぁ。でもこれじゃあ受験太りでぷっくりな顔が丸出しじゃないか。あはは。まあいいや。こんなの晴れ姿じゃないじゃん。と母校に出かけた。

式とホームルームを終え、みんな写真を撮り出す。正直、クラスに良い思い出がなかったし、当時はインスタをやっていなかったので写真の重要性を知らなかった。だからもうさっさと部活に挨拶をして帰ろうって思っていた。クラスには学年のマドンナがいて、彼女と撮ろうとする男子の長蛇の列ができていた。(そんなマドンナとは幼馴染だったりする。) 

すれ違う人に「誰かと思った」と言われ、悲しかったりもした。

小さい頃から憧れていた高校。そこに入って色んなことを頑張ってとても思い出深いはず。なのにこんな終わり方をするなんて......と思った。

でも、部活(吹奏楽部)では違った。後輩たちから祝福されて、写真を撮って話をして...。パートで撮った写真は1番の思い出だったりする。

他の子たちのような卒業式じゃなかったかもしれないけど、こういう卒業式もよかったんだなって思えた。

それから数年。後輩だった子たちも、3月1日にみんな卒業した。そうやって振り返る3月1日は色々思うことがある。味に例えると、「しょっぱい」思い出だ。桜の塩漬けと考えるとわかりやすいかもしれない。

今年も3月1日を迎えた。

今日卒業したみんなへ。

卒業おめでとう。

#エッセイ #卒業式 #高校の思い出 #JK卒業 #女子大生


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