OWVというグループの話(1)
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OWV(オウブ)というグループの初のライブツアーOWV LIVE TOUR 2021 -CHASER-(以下CHASERツアー) の初日、大阪公演に先日行ってきた。
そのCHASERツアー大阪公演の感想を忘れないうちに書きたいと思い放置していたnoteのアカウントにログインしたのだが、その前に書きたいことが溢れてきて結局はCHASERツアーのことというよりも、OWVというグループの話、特にライブの話をメインに書き連ねる。
まずこのグループをご存知ない方に説明をすると、
OWVとは本田康祐(ほんだ こうすけ)、中川勝就(なかがわ かつなり)、浦野秀太(うらの しゅうた)、佐野文哉(さの ふみや)の4人からなるボーイズグループだ。
本来ならここでOWVとはどんな経緯で結成されたどんなグループなのかを細かく説明してから書きだすべきだと思うのだが、徐々に触れていくと思うので一旦細かいことは省く。
2020年の4月に結成、9月にメジャーデビューし、今年デビュー1周年を迎えたばかりの歌って踊る若手ボーイズグループとだけ説明しておく。
記事の冒頭で「初のライブツアー」と書いたが、「ツアー」という形態が初めてなのであってライブ自体は彼らは初めてではない。
コロナ禍の真っ只中にスタートしたこのグループは思うように活動できないことも多かったはずだが、今年2021年4月、ちょうど結成1周年の日にようやくはじめて「有観客」でライブをすることが叶った。(OWV 1st Anniversary Talk & Live “AWAKE”)(以下 AWAKE)
OWV -「1st Anniversary Live」from「OWV 1st Anniversary Talk & Live “AWAKE”」Digest Movie
OWV 1st Anniversary Talk & Live“AWAKE” ー Roar / Na Na Na ー
またその4ヶ月後の2021年8月にはSUMMER LIVE 2021 -WIND-(以下 WIND)を東京と大阪で開催した。
「OWVはライブで生きていく人たちだ」と感じた話
今年の8月に行われたWIND公演のときに私は「OWVはライブで生きていく人たちだ」と感じた。
私はコロナの影響で行くことを断念したので念の為言っておくとWINDは配信のあった東京公演をオンラインで見ただけである。
「ライブで生きていく」というのはそれで生計を立てるとか、ライブ一本に絞って活動していくとか、テレビよりライブ優先だとかそういう具体的なニュアンスは込められてない。
そもそも「私がそう感じた」だけの話で、別に彼らが「ライブで生きていきます」と言ったわけでもない。
けれど彼らはライブで生きていくことを決意した、私にはそう見えた。
ひとつ前のライブ公演AWAKEから4ヶ月しか経過してないにも関わらず、彼らは驚くほどに成長していた。
もちろんAWAKE開催時点で結成1年、デビューして半年ちょっとなので完璧ではなかっただろうが、AWAKEも決してクオリティの低いステージではなかった。
それでも彼らはAWAKEでやれなかったこと、改善点を見つけ出し、8月のWINDではそこが明らかに変わっていた。
きっと周囲のスタッフさんなどアドバイスをくれる方たちとともに振り返り、修正すべき点を改善してWIND公演に挑んだのだと思うけれど、おそらく彼ら自身が自分たちの強みや弱点、修正点を自覚していると思った。
最初に説明を省いたが、彼らの所属事務所は吉本興業である。
芸人を多く抱える吉本興業にアーティスト(アイドル)が所属しているのはちょっと不思議な感じもあるが、それは彼らの出会いや結成された経緯に関わり話が長くなるのでやはりここでは説明は一旦省く。
レーベルはユニバーサルシグマ(ユニバーサルミュージック)。
事務所もレーベルもエンターテインメント界の大手だ。
でも彼らは周りの大人たちによって“作られた”グループではない。
詳細はまたいずれきちんと書きたいと思うが、リーダーの本田が元々縁のあった吉本興業の社員と話し、交渉を重ね、他のメンバーも自ら集めてグループ結成からデビューに至ったというメジャーシーンのボーイズグループでは珍しい経緯を経ている。
彼らは誰かの指示に従っていればお仕事を完遂したことになるタイプの人たちでもない。
と言っても「大人の言うことなんて聞かねえぜ」「俺らのやりたいように好きにやるんだ」といった反骨的な意味でもない。
自分たちの中に進みたい未来へのビジョンが明確にあり、そこに向かうためにやるべきことを彼らは自分たちで見つけ、学び、もがきながら進んでいる。
AWAKEからWINDの、ライブでの成長もそれを強く感じた。
繰り返しになるが、OWVが結成された2020年4月はコロナにより東京に緊急事態宣言が出され、外出も自粛するよう呼びかけられていたそんな時期だった。
初めて彼らがOWVとして立ったステージは2020年9月のデビュー直前。無観客の東京ガールズコレクションだった。
彼らのOWVとしてはじめてのステージには観客はひとりもいなかった。
12月に行われたファンミーティングROUTE Ⅰも、観客を入れる前提でいたようだったが結局無観客で配信された。
彼らは結成から1年間一度もファンに会うことができず、ファンの声援を直接聞くこともできず活動を続けていた。
世の中の状況的に仕方のないこととは言え、どれほど不安で、悔しく、振り回された1年だったろうか。
結成されてから1年後、2021年の4月11日、AWAKEでようやく彼らはお客さんの前に立つことになる。
初めて直接ファンに会い、人前でパフォーマンスをすることが叶った記念すべき日である。
ファンからしても初めてOWVに会える、待ちに待った瞬間だ。
でもまだ観客は声を出すことができない。
互いに初めて“対面”することが叶ったとても感動的なその日はしかし、アーティスト側はレスポンスを求めたいけど求められないし、観客側もパフォーマンスにワーキャーしたり推しの名前をめいっぱい叫びたくても叫べない、席を立つことも許されていないそんなライブだった。
OWVの名誉の為にも誤解なきよう記しておくが、AWAKEは充分に素晴らしく、盛り上がっていた。
OWVも観客に向けて精一杯の熱意を向け続けてくれていたし、ファンも声を出したり席を立つことができない中、ペンライトや拍手で必死に応えた。
温かく、感動的で、幸せな時間だったことは間違いない。
それでも言ってみればアーティスト側も観客側もほぼ初めての経験であろう慣れないこの環境に「声を出せないって難しいよね」という戸惑いの空気がほんのり双方にあったように思えた。
しかしそこからたった4ヶ月後、WINDの公演ではOWVの方向性が変わっていた、と私は感じた。
「声出せないからみんな盛り上がれないよね、残念」ではなく、だったら俺たちがもっと熱量を上げて、客を巻き込んで、こっちがみんなを盛り上げればいいというスタンスに意識を変えたように思えた。
決められた流れで教科書どおりのパフォーマンスをし、MCをこなし、ライブを終えてもきっと成功と呼べるだろうし、客もそれなりには満足して帰るだろう。
でもそれだけをこなして次に繋がるか、というとそれは微妙な気がしている。
与えられたものをただこなすだけでは「また彼らのパフォーマンスを見たい」と思わせる何かを生み出せないと思っている。
別に奇抜なことをするとか、とにかく大騒ぎすればいいとか、台本にないことをやればいいのかとか、そういうことではない。
有観客であろうとオンラインであろうと、そこに「観客」が存在し、自分がそこにどう向き合い、どう立ち振る舞うかという「意識」の差が自ずとパフォーマンスを変えていくのだと思う。
そしてその意識が「またライブに行きたい」と観客に思わせる何かを生み出すのだと思う。
私はWINDを見ていてそれを感じ、「ああ、この人たちはライブで生きていく人たちなんだな」という思いに至ったのだ。
彼らはとにかく真面目だ。
結成された当初から、よくインタビューなどで「同じベクトルを持った人たちが集まった」「想いや目標が同じ」といったことを話している。
OWVを見ているとそれがよく分かる。
4人が4人とも同じ方向を見つめ、同じ熱量で突き進んでいる。
誰ひとり、不満を持ったり面倒くさいと思いながらやっていない。
もちろんそれぞれ違う人間なのだから、違う考え方、違う目標があったって構わない。
意見をぶつけることによって新たな発見をすることもあるだろうし、それがチームの幅を広げることもあるだろう。
けれどグループとして活動していくと決めたからには、最初から違う方向を向いていては舟は進まない。
その点、OWVはライブにしても他の仕事にしても、OWVとしてやりたいこと、やるべきこと、届けたいメッセージ、個人の役割を共有してすぐにアップデートされているという印象がある。
またそのアップデートのされ方が、いつもとても迅速で的確なのだ。
だからAWAKEからWINDまでの4ヶ月足らずのあいだでも彼らは明らかに成長していた。
OWV SUMMER LIVE 2021 -WIND- Bling Bling/UBA UBA/PARTY (Digest)
KCON(ケーコン)の話
私がOWVに対してその「ライブで生きていく人たち」という感想を一層強めたのが、WINDから1ヶ月後の2021年9月に行われたKCONTACT HI5「The Triangle」(以下 KCON(ケーコン))という横浜で行われたライブイベントにOWVが参加したときだ。
他にJO1、円神(エンジン)というグループも同じイベントに出演しており、なので会場の観客もOWVのファンだけで埋まっているわけではない。
またこれもOWVにとっては新たな経験だった。
KCONは1部と2部の2公演がありセットリストが少し違うのだが、オンライン配信されたのは2部の方だったのでそちらの話をする。
彼らは「Roar」 「UBA UBA」という2曲を披露したあと、最初のMCでさっそく観客を巻き込みながらしゃべりはじめる。
「僕たちをはじめて生で見たよって人?」とMCの冒頭から全ての観客が会話の中に加われるように話をはじめる。
もちろん実際は観客側は声を出すことを禁止されているので言葉で返事をすることはできないが、ペンライトや手を上げることで意思疎通という意味での会話はできる。
「客席の奥まで見えてますよ」と誰も置いていかない宣言をし、お客さんの拍手を操って一緒に遊ぶ。
「オンラインの人楽しんでますか?」とカメラ目線で画面の向こう側にもちゃんと届けていることを伝え、オンライン視聴者からのコメントも拾う。
観客たちはライブを「ただ観ている」のではなくすでに「参加している」スタイルに自然と変わっている。
そして自己紹介やミニゲームなどのMCパートを終えて「PARTY」という楽曲に突入する。
OWV「PARTY」
タイトルどおりライブでやれば必ず盛り上がる、楽しくテンションの高い楽曲だ。
イントロで本田が「JAM(JO1のファンネーム)もMU3E(ミューズ/円神のファンネーム)もQWV(キューブ/OWVのファンネーム)もー!みんなで盛り上がっていくぞー!」と叫ぶ。
サビに入る前、浦野が「みんな行くよー!」と客席に向かって声を掛ける。
それぞれが観客に視線を送り、手やペンラを振るよう促したり、手を振ったりしている。
オンライン視聴者が見ているカメラに目線を送ることも忘れない。
曲の終盤に向かう中、本田が「KCONまだまだ行けるだろぉー!!」と全力でシャウトし観客を煽る。
こちらが声援で返せない分、派手に動くことも許されていないからこそ、観客の心の中が最高に跳ね上がるよう、彼らは精一杯煽り、巻き込み、盛り上げてくれる。
応援しているグループ以外のパフォーマンスは興味がないという人ももしかしたらいるかもしれない。でもだからこそ、OWVは僕たちのファンだけではなくここにいるすべての人にパフォーマンスを届けるよ、全員に一緒に楽しんで欲しいな、と様々な形でメッセージを送っている。
ライブという場所で彼らの存在は熱を放ち、一層輝きを増していた。
曲が終わると浦野が「みなさん盛り上がれましたか?」と観客に投げかける。
声を出して返すことのできない観客の代わりに佐野が「タイトルどおりですもんね」と言い、
浦野が「みんなとパーティーできたね」と答える。
その会話を聞いてやっぱりこれはファン以外も、オンライン視聴者も含めすべての観客を巻き込んだパーティーだったのだ、と実感した。
[SPOILER] KCON World Premiere | OWV (오우브) | KCON:TACT HI 5
OWVは誰も置いていかない
まだKCONの話の続きなのだが、「PARTY」のパフォーマンスが終わったあともう一度MCパートに入る。
リーダーである本田がOWVを代表して観客に今日のお礼を述べる。
「JAMもMU3EもQWVも…」とその日の出演者のファンネームをすべて呼び、すべての人たちに向けて話しはじめた。
「(まだ続くコロナ禍で)有観客でイベントができるというのは奇跡に近いことで、ここに来ると決断してくれた人たちにも、“来ないという決断“をしてくれた人たちにも」と話が続く。
「すべての人の背中を押せるような、パワーを与えられるようなグループになりたいと思っています。それが伝えられたらと思って今日パフォーマンスをしました。それはきっと円神やJO1も同じ気持ちだと思います」
この日同じイベントに出演したOWV、JO1、円神の3組はメンバー全員が元々同じオーディション番組の練習生だった。
進路はそれぞれ分かれてしまったが、韓国合宿やオーディションのバトルで時にはチームメイトとして、時にはライバルとして一緒の時間を過ごした「戦友」だ。
本田の言葉はOWV代表というよりも、もはやこの3グループの気持ちを全員にきちんと伝えたいという想いの発露だった気がする。
はじめての有観客ライブだった2021年4月のAWAKEのときも、緊急事態宣言明けでコロナの感染者数が再び増加しており本当に有観客で開催ができるか危ぶまれていた。
実際、本来あるはずだった大阪公演は大阪の爆発的な感染者の増加で告知すらされないまま潰えてしまったようだ。
本田ははじめてファンに直接会えたその日「(コロナ感染が)怖かったと思うけど来てくれてありがとう」と涙を流しながらも「来ないという決断をした人」にもちゃんと触れ、お礼を述べた。
もちろんこのときの本田の挨拶はOWVを代表しての言葉のはずでメンバー全員が同じ気持ちでいてくれることは間違いない。
来た人だけに感謝を述べることはできても、「来なかった人」に意識を向け、その行動の意味を理解し、決断に対し敬意を払うことができるのは本当に繊細で広い視野を持った人たちだと思う。
AWAKEのとき私は東京の会場にいたのだが、オンライン勢に対してもずっと存在を忘れることなく目線を送り、声を掛けていたことが印象的だった。
どうしても目の前に観客がいればそちらを盛り上げることだけに意識が向かってしまいそうなものだが、彼らはオンラインで観ているファンも一緒に楽しんでいることを忘れずにいた。
ここでようやく先日(2021年11月7日)行ったばかりのCHASERツアーの大阪公演の話なのだが、このときも2部公演の最後の挨拶でOWVを代表した本田が「来れなかった人たちにも置いていかないからねとお伝えください」と述べた。
本当にそうなのだ。OWVは誰も置いていかない。
たった4人のグループだが、ライブ会場でステージの端から端まで広がって立ち、端の席の人にまでちゃんと目線を送る。
ファンが持ってきてくれたうちわやボードに書かれたメッセージにひとつひとつ頷き、お礼を述べ、ファンサを送る。
「ちゃんと見えてるよ」「届いてるからね」と何度も繰り返す。
(CHASER大阪公演のときは「後ろのスタッフさんもちゃんと見えてるからね!」とスタッフさんにも手を振ってファンサをしていた)
ライブ会場の後ろの人も、端の席の人も、2階席の人も、ライブに来れなかった人も、オンライン視聴者も誰も置いていかない。
「来てくれた人」も「来れなかった人」も一切変わらない存在であるということを伝えてくれる。
お話し会に参加できなかった人も、最近ファンになった人も、海外QWVも、彼らはちゃんとその存在を知っていて、「見えている」のだ。
比喩ではなく、会えていないQWVも彼らはちゃんとその存在を知ってくれている。
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【公演名】 OWV LIVE TOUR 2021 -CHASER-
<大阪公演>
2021年11月7日(日)
第1部「Talk & Live」 14:30開場/15:15開演
第2部「Live Stage」 17:30開場/18:15開演
会場:Zepp Namba
<宮城公演>
2021年11月14日(日)
第1部「Talk & Live」 14:30開場/15:15開演
第2部「Live Stage」 17:30開場/18:15開演
会場:SENDAI GIGS
<神奈川公演> ★神奈川公演のみ⽣配信あり
2021年11月27日(土)
第1部「Talk & Live」 14:30開場/15:15開演
第2部「Live Stage」 17:30開場/18:15開演
会場:KT Zepp Yokohama
<福岡公演>
2021年12月5日(日)
第1部「Talk & Live」 14:30開場/15:15開演
第2部「Live Stage」 17:30開場/18:15開演
会場:Zepp Fukuoka
ちなみに2021年11月27日(土)に行われる神奈川公演は1部・2部ともオンライン視聴が可能です。
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