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OWVというグループの話(10)

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2021年11月にスタートした大阪、宮城、神奈川、福岡の4都市をまわるOWVの OWV LIVE TOUR 2021 -CHASER-(以下 CHASERツアー)が先日無事終了した。


もし「OWVとは?」「よく知らない」と思われた方はぜひ「OWVというグループの話(1)」をお読みいただけると嬉しいです。


最終日である福岡公演の会場、ライブハウスのZepp Fukuokaのすぐ隣には福岡PayPayドームがあるのだが、1部公演の最後の挨拶で浦野が「いつか僕たちもPay Payドームでライブやろうね」という話をしていた。

OWVは結成時からずっと当面の目標として「武道館公演」を掲げている。

コロナにより思うように活動ができず大変な思いはしていると思うが、武道館公演は遠い“いつか”の夢ではなく彼らにとってあくまで数年以内に叶えたい「近い未来」の目標だ。

現状、OWVはワンマンライブでは基本ライブハウス~ホール会場の規模感でライブを行っており、武道館もまだ決して楽な目標ではないが、この日の浦野はドーム公演というさらにその何倍もの夢を口にしていた。

そしてそのあと行われた2部公演での浦野の挨拶。

「今は客席の奥までみなさんの顔がよく見えます。いつかお客さんの顔が見えなくなるくらいの大きな会場でライブをやることになっても、ずっとこの光景は忘れません」

言葉の細かな部分までははっきりと記憶していないのであくまでニュアンスだが、こんな内容の挨拶をしていたと思う。

あの瞬間、浦野の頭の中には大きな会場のステージに立つ自分たちOWV4人の姿と、ペンライトの光の海で埋めつくされた客席の光景がはっきりと浮かんでいたと私は思った。

今までも「いつか大きな会場でライブを“やりたい”」と語ってきたOWVたちだが、福岡2部公演の浦野は夢ではなくすでに自分たちがそうなる前提で「でも客席の奥まではっきり見える今の光景も忘れない」と言っていたのが印象的だった。

客席1000席に満たないライブハウスで、しかし彼は決然としてそう言った。

浦野は小学生のときに大手事務所に所属し、先輩のバックダンサーなどをつとめていた。そこを辞めてからもいくつかのグループや事務所を渡り歩きながら芸能活動を続けてきた。

韓国に渡り、芸能事務所の練習生をしていたこともあるそうだ。

彼はグループでデビューすることをずっと夢見ていた。

芸能界でなかなか芽の出ない浦野に対し周囲から辛辣な言葉が掛けられても、「僕はステージに立つ人だから」と信じて続けてきたという。

そのまっすぐさが彼の強さだと感じた。

彼を見ていると周囲の反応に敏感で繊細な人なのだろうなと感じることが多いが、彼の信念はどれだけ過酷でも折れないのが強みであり、夢をまっすぐに追う彼の純粋さや大切にしているものを改めて知った気がした。



時期は少し戻るがCHASERツアーの3公演目、神奈川公演1部。

私はオンライン配信を見ていたのだが、その日の挨拶で本田もこんなことを言っていた。

「応援してくださる方々ひとりひとりのパワーに僕らがなれたらいいなと思って日々活動しておりますので、これからももしつらいことがあったらOWVのライブを見に行こうって思えるそんな存在に“なりますので”ぜひこれからも応援よろしくお願いします」

それまでやはり「みんなの力になれる存在に“なりたい”」と語ることの多かった本田が、この日は“なります”と強調して言い切っていた。

うっすらと涙を浮かべたその瞳はしかし力強く笑っていた。



「夢は一途に願い続ければ必ず叶う」とか

「すべての夢が叶うわけではない」とか

世の中には色々と考え方はあるとは思うのだけど、少なくとも本人が「そうなる」と信じていないと夢は遠いままなのではないかと私は思っている。

私は芸能界のことは何も分からないけれど、本人が「無理かもな」と思いながら登り詰められるような甘い世界ではないだろう。

ファンはもちろん彼らの夢を叶えてあげたいと願い様々なかたちで一生懸命に応援するけれど、やはりその道を切り拓き先導するのは私たちではなくあくまで彼ら本人自身だ。

どれだけ壮大で遥か遠い夢に思えても、少なくとも本人がそうなれると信じて歩き出さないとゴールに道は繋がらないし、本人がビジョンを描いていないものはファンが同じ夢を見られるわけがない。


だからCHASERツアーでOWVが「(ひとりひとりのパワーになれるような)そんな存在に“なります”」と言い切ったことや、まるで大きな会場で公演をやることが決まっているかのように話していた彼らの純粋で力強い姿を見てそれらはただの遠い夢ではなく“信念”に変わっていったのだなと、“2年目のOWV”としてさらに新たなギアを入れたのだなと私は感じた。



2年前、彼らが出演したオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」(シーズン1)のテーマ曲「ツカメ~It's Coming~」にこんな歌詞がある。


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「いつまでも夢を見てる 

お願いそう言って笑わないで

この道の続き見えるでしょ君も

希望に染まった

ヒーローになりたくて

強さを願ったあの日の気持ち

忘れられるわけないよ

可能性があるのなら」


(詞:中村彼方)

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当時のオーディション練習生全員で歌い踊っていたこの歌の歌詞が、私はいつまでも心に残り続けている。

OWVの4人はこの番組ではデビューを掴むことはできなかった。

「夢は叶う」なんて簡単に言えるほど甘い世界でないことは彼ら自身がきっと一番よく知っている。

それでも諦めずにいたからこそOWVというグループでデビューを叶え、また“この道の続き”を歩きはじめている。

そしてこれからも、彼らが本気で可能性を信じている限り道の続きは希望に染まっていると思うのだ。


【4K】OWV - 「CHASER」Music Video



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