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③【ワタシとお抹茶シリーズ】ワタシが裏千家に入門した理由編~三千家の違いと関係性~

ワタシのプロフィール

なっちゃん:Twitter
1994年8月生まれの女性。
裏千家入門4年目。
現在はお稽古のかたわら、茶道文化検定受験に向けて勉強中。

ワタシが裏千家に入門した理由

茶道の家元は、3つあることをご存じだろうか?
表千家と裏千家は、よく名前を耳にするので、知っている人も多いだろう。

しかし、実は茶道の家元は「表千家」と「裏千家」、そして「武者小路千家」を入れた三千家が家元として、千利休の時代から続く血脈と茶の湯の心を伝えている。

茶道と何の縁もゆかりもなったワタシが、「裏千家」への入門を、言い換えれば、”選んだ”ワケ。
それは単に、ネットとの親和性があったかどうかの違いだけだった。

茶道を習いたいと考え始めた、当時20代中盤のワタシにとって、お稽古の場所が事前に確認できることや、ネットから問い合わせできることをなによりも重要に感じていた。

そもそも、古くから続く日本の伝統的なお稽古事は、まだまだネットとの親和性が高いとはいえない。

お稽古場所がネットに公開されておらず、連絡手段が電話しかないということは、ネットに馴染んでいる若者であればあるほど、不安を覚えるのではないだろうか。

ワタシ自身、茶道に縁もゆかりもなく、稽古場の詳しい住所もわからないまま「入門したい」といきなり電話することに、相当なハードルの高さを感じていた。

裏千家は、教本を出版したり、世界を視野に入れた茶道の普及活動に力を入れたりと、比較的情報がオープンな風潮を持っている。
その理由もあるのか、家元のHPにお稽古場所の比較的詳しい住所や先生の情報、そして、各お稽古場宛ての問い合わせフォームが家元HPに設置している。

その甲斐あって、ワタシは勇気を出して裏千家の家元に連絡することができた。

反対に、表千家は縁をつないでいく雰囲気を持つので、ワタシのような由縁のない人は、少し敷居が高く感じてしまった。
同じ千家であっても、それぞれに方針が異なるのだ。

武者小路千家についは、お稽古の場所が全国的に少なめなので、ワタシの住むエリアにお稽古場がなかったことから、選択肢から外れてしまった。

茶道の家元は兄弟関係

茶道の家元同士の関係性は、初祖千利休のひ孫同士・実の兄弟という関係性である。

ワタシ個人としては、ネット世代ならやはり裏千家をおすすめするが、ほかの2つの家元も同じくおすすめできる。

どの家元に入門するかは自由なので、よく検討してみるとよいだろう。
基本的に一度どちらかへ入門すると、生涯同じ家元の流派でお点前をすることになる。
長いお付き合いになるので、自分に合った家元を選んでほしい。

ちなみに、各家元同士で上下関係は存在しない。
”表”や”裏”、”武者小路”という名前の由来は、別にある。

各家元の名前の詳しい由来は後述するが、何よりも重要なのは、師匠である先生との相性だ。

かつてのワタシのように、茶道と何の由縁もないのであれば、「表千家」「裏千家」「武者小路千家」の三千家どこでも、しがらみなく自由に、自分の意志で選べる。

何なら、お稽古体験で三千家すべてを比べたうえで、どこに入門しようか決めてもよいだろう。

ワタシの場合は、ネットとの親和性などの高さから裏千家のみに絞って問い合わせをしたが、お稽古場になる茶道教室は、2か所で体験させてもらった。

裏千家への問い合わせ方法や問い合わせた後の流れ等は、別記事で詳しく紹介する。

なお、ワタシは実際に裏千家に入門したので、裏千家の話に偏りがちだが、そこはご了承いただければと思う。

茶道の先駆者・千利休と三千家の関係性

先述したように、「表千家」「裏千家」「武者小路千家」の関係性は、千家の初祖である千利休(せんのりきゅう)のひ孫にあたる兄弟たちが、それぞれの茶道の流派を生み出したことから始まる。

では、千利休とはいったいどのような人物だったのか?

実は抹茶文化は、千利休が生きた戦国時代より昔の鎌倉時代からすでに始まっている。
千利休にも、師匠が存在していたのだ。

「茶道」「千利休」と同時によく出てくる言葉に「わびさび」がある。
「わびさび」とは、禅に大きな影響を受けた茶の湯の精神を指す。

勘違いポイントとして触れておくと、千利休が「わび茶」をゼロから作り出したというわけではない。

千利休は、先人が編み出した「わび茶」の精神や和歌、そして禅の要素を取り入れて体系化し、「わび茶」を極めた「茶道」を確立させた人物である。

3つの茶道家元の特徴と違い

表千家(おもてせんけ)

引用:「表千家 不審案」公式HP

表千家のルーツ

千利休の孫・千宗旦(せん そうたん)の三男・江岑宗佐(こうしんそうさ)を立ち上げたのが始まり。
初祖である千利休が残した茶室「不審庵(ふしんあん)」を相続しており、千家の本家。

「表千家」と名乗るようになった由来は、「裏千家」を立ち上げた弟の仙叟宗室(せんそうそうしつ)が、茶室「不審庵(ふしんあん)」の裏に「今日庵(こんにちあん)」を建設し「裏千家」と呼ぶようになったことから、対の名称として「表千家」と呼ばれるようになったとのこと。

ちなみに、正式名称は「不審庵(ふしんあん)」なので、「表千家」はあくまで通称の呼び名。
これは、「裏千家」「武者小路千家」も同様である。

表千家の特徴

古来からの作法に忠実で、裏千家と比べて質素。
抹茶はあまり泡立てない。

ちなみに茶道を題材にした映画『日日是好日(にちにちこれこうじつ)』は、表千家を舞台にしている。

ワタシの中で茶道ブームが再熱したのは、映画『日日是好日』を観賞したことだ。
以来、茶道にまつわる本を読みあさっていたことで、茶道を本格的に習いたくなったので、ワタシの火付け役と言っても過言ではない映画である。

ワタシと茶道の出会いについては、「①【ワタシとお抹茶シリーズ】出会い編」に綴っているので、未読の場合はぜひ読んでほしい。

裏千家(うらせんけ)

引用:「裏千家 今日庵」公式HP

裏千家のルーツ

千利休の孫・千宗旦(せん そうたん)の四男・仙叟宗室(せんそう そうしつ)が立ち上げたのが始まり。
初祖である千利休が残した茶室「不審庵(ふしんあん)」の裏に、茶室「今日庵(こんにちあん)」を建てたことで「裏千家」といわれるようになった。

なお、表千家と同じく、正式名称は茶室の「今日庵(こんにちあん)」である。

裏千家の特徴

明治時代に茶道の復興を図ったことをきっかけに、学校教育や海外にも茶室を持つなど、茶道の普及にオープンな風土をも持つ。
書籍も多数刊行されており、参考資料も多い。
茶道の知識習得を目的とした、「茶道文化検定」なども運営している。
表千家と比べると、作法も派手な印象。
抹茶は泡立てる。

実際にワタシが入門した家元である。

ワタシは茶道を習いたいと思ったきっかけは、「②【ワタシとお抹茶シリーズ】茶道を始めた理由編」で、綴っているので、ぜひ、あわせて読んでみてほしい。

武者小路千家(むしゃのこうじせんけ)

引用:「武者小路千家 官休庵」公式HP

武者小路千家のルーツ

千利休の孫・千宗旦(せん そうたん)の次男・一翁宗守(いちおう そうしゅ)が60歳くらいのときに立ち上げたのが始まり。
二代目・小庵宗淳(しょうあん そうじゅん)がかつて隠居していた別宅を受け継ぎ、茶室「官休庵(かんきゅうあん)」を建てた。
官休庵が「武者小路」という通りにあったことから「武者小路千家」と呼ばれるように。

なお、「表千家」「裏千家」同様に、「武者小路千家」は通称であり、正式名称は「官休庵(かんきゅうあん)」である。

武者小路千家の特徴

所作や茶室など、合理性を求める。
抹茶は泡立てない。

三千家の中でも、一般的にあまり名前が知られていないのが武者小路千家ではないだろうか。

実はワタシも、本格的に茶道を始めようか検討し始めるまで、武者小路千家の存在はあまり知らなかった。

武者小路千家について知ったのは、偶然にも『もしも利休があなたを招いたら 茶の湯に学ぶ”逆説”のもてなし』という本を手に取ったからである。

この本は、武者小路千家の家元後嗣が書かれたものだ。
表千家や裏千家の出す本とはまた別の角度から茶の湯の歴史について書かれているので、茶道の歴史に興味がある人にとっては、面白いはずだ。

武者小路千家から見た茶道の家元三千家を知りたい人は、読んでみてほしい。

ワタシが茶道を本格的に習いたいと思ったきっかけがまさにこの本なので、個人的にかなり影響を受けていると感じている。

驚いたことにワタシの師匠である裏千家の先生も、この本に通ずるような考え方の持ち主だった。
実際、ワタシの求める茶道像が似ていると感じたからこそ、その先生のもとで習うことを決意した経緯がある。

結局のところ、「実際に教えてもらう先生の『茶道と向き合うスタンス』が、自分の『理想とする茶道像』と合っているか」が、茶道教室選びのポイントになる。

お点前に流派はあれど、千利休から続く基本的な「茶道の心」は変わらない。

基本があったうえで、どのような付加価値をつけ、魅力を見出し、長い年月をかけて付き合っていくのかは、人それぞれなのだ。

茶道を始めるにあたって、知識ばかりが先に増えて、頭でっかちになるのはおすすめしない。
しかし、自分にしっくりくる茶道のスタンスがあれば、相性の良い茶道の先生と出会いやすくなるはずだ。

茶道に興味がある人は、各茶道の家元が書いた書籍を読んで、自分にしっくりくる茶道像をつかんでみるのも良いだろう。

「④【ワタシとお抹茶シリーズ】番外編~裏千家へ入門する方法~」に続く




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