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【兄とのはじまり】第2話:こまかすぎる感想

フジテレビ7月期 月9ドラマ「海のはじまり」。
TVerで公開されたスピンオフドラマ「兄とのはじまり」について、愛情重めで語ります。
今回はサクっと!(笑) 
そして今回、水季と夏が同意書にサインをしてから別れるまでの時系列が少し見えてきた気がするので、時系列についても整理してみました。


番組情報

「海のはじまり」公式サイト


第2話 「水季」

夏がいない家

大学進学を機に、実家を出て一人暮らしを始めることになった夏。
実家からでも通えるのに贅沢だと、寂しそうな大和。
洗濯物が少なくて楽だと言いながらも寂しそうなゆき子。
つい夏の分まで箸を並べてしまい、洗い物が少なくなって楽になると言い、母の寂しさに拍車をかける無神経な和哉。
そして、いつもの癖で「兄ちゃん俺もアイス」とゆき子に向かって言ってしまう、和哉に似てしまった無神経な大和。

家族が一人不在になった時のあるあるが散りばめられた冒頭シーン。
第1話で描かれた再婚直後の月岡家はまだどこかよそよそしかったですが、今回はもう、とっくに4人は家族になっていて。
夏がいることが当たり前で、夏がいないことが寂しい。
「家族」なんだなと、ほっこりするシーンでした。
本編が涙涙なので、スピンオフはちょっとほんわかしているのが、ありがたいですね。

女を連れ込む夏

一人暮らしをする夏のアパートに、足しげく通う大和。
大和がお兄ちゃんを相当好きすぎて(笑)

ですがある日、いつものように家に入ると、そこには水季が。
「女連れ込んでる!」とショックを受ける大和。
「大学生すぎる」という大和のモノローグに笑いました。

お兄ちゃんに女が出来て、なんかムカつく大和。
夏からよく大和の話を聞いているという水季、血のつながりはないということは既に夏から聞いているということで、「すみません、そういうの気遣わせるから。家庭が複雑みたいな…。」と大和。
それに対して、「血は繋がってないけど兄弟ってだけだよね?めちゃくちゃシンプルだと思うけど。」と水季。
あっけらかんとそう言う水季に驚きながらも、つかみどころがないけれど居心地がいい人だと感じた大和は、すぐに水季と打ち解けることになりました。

おそらく大和はこれまで、自分の家庭の事情を話した時に、複雑だとか、可哀想だとか、そういうリアクションをされることに慣れていたのかもしれませんね。
でも、水季の性格がよく出ているそのフラットさが新鮮で、きっとその瞬間に好感をもった。
夏も、いつか自分の家の話をした時、水季にそんな風に受け止めてもらえたのかもしれません。

「いつもニコニコして出迎えてくれた」という大和の表現から、水季、よく笑ういい子だったんだろうなと感じます。
夏が本編で、水季は誰とでも仲良くなれるタイプだったと弥生に話すシーンがありましたが、こんな風に大和ともすぐ打ち解けてくれたことも、そう思った理由のひとつかもしれません。

帰ってきたドラえもん

季節が変わり、ある日、大和がいつものように夏のアパートを訪れると、玄関前に水季の姿が。
服装や表情から、本編で夏に妊娠を伝え、同意書にサインをもらった直後の帰り際だと思われます。

いつものように呼び掛けた大和ですが、泣いた様子の水季に気が付き、大丈夫?と心配します。
喧嘩したのかと心配する大和に対して、一緒に「帰ってきたドラえもん」を観たとごまかす水季。

「大和。夏くんのことよろしくね。」
「こうやって時々遊びに来てあげてね。」
「じゃ。兄弟仲良くね。もう十分仲良いと思うけど。」

そう言って、去っていた水季。
大和が水季の後ろ姿に「また来てね」と呼びかけると、水季は振り向き、少しだけ笑って、大きく手を振りました。

「これを最後に、水季さんはこのアパートに帰って来なかった。」

大和のモノローグから、この同意書にサインをした日以降、水季が夏のアパートに来ることはなかったということがわかりました。


時系列整理

この日、同意書にサインをした日、水季は夏に対して、「クリスマスどこ行こっか?」と泣きながら言っていました。(本編第1話)

時系列的に、

①同意書に夏のサインをもらった=中絶するつもり (このシーン&第1話)
②その後実家に行って両親と話しをした=産む可能性を考え始める(本編第4話)
③病院に行き母子手帳をもらう=産むと決心(本編第4話)
   ※この日が、夏が病院前で待っていた中絶手術の日?
      (水季は夏に対しては手術をしたように振る舞ったが、実は産むと決めて母子手帳をもらっていた?)
④夏に電話で別れを告げる(本編第1話&第4話)

という流れだっと思います。

私は本編で①のシーンを観た時、クリスマスの台詞から、水季はまだ夏との交際を続けていくつもりなのだろうと思っていました。
その後、産むと決めて④の時点で夏と別れることにした、と思っていました。
ですが、このスピンオフ第2話での大和との会話からすると、もうこの①の時点で、水季は夏との別れを決めていたのかもしれません。

産むから別れる、ではなくて、中絶をすることを決めたと同時に夏との別れを決めていた。
もしそうだとしたら?

妊娠したという事実に直面した水季は、自分が母親になる自信がなかった、自分に似た子が産まれてくることが怖かった、だから母親になれないと思い、産まない選択をした、そう第4話では描かれていました。
そんな風に思ってしまう自分を、水季は許せなかったのでしょうか。
自分が自分を嫌いなせいで、産まないという選択をしたせいで、夏を傷つけてしまったから?
これから先、例えば夏と家族になって、母になるイメージを持てないことがわかってしまったから?
それとも、この出来事によりお互いが傷ついてしまって、私たちはもうダメだ、一緒にいられないと、感じてしまった?
ここで水季が何をどう思ったのか、決定的な情報は語られていませんが、水季の心の動きを知りたいです。
水季。
あなたもきっと、私なんかが想像する以上のものを、一人で背負っていたのかもしれないね。

水季との別れ

夏のいない月岡家の食卓。
最近夏に元気がない、ぼーっとしていると、夏を心配するゆき子。
ゆき子も和哉も、夏に恋人がいることは知らないようですが、失恋かなと心配する二人。
水季にフラれて別れたということを聞いていた大和は、気まずそうにしながらも、両親にはそのことはこの場では伝えていない様子でした。

この描写から、夏がやっぱり水季との別れ、そしてその前にあった中絶のことも含めて、しばらく引きずっていたということがわかります。

時系列整理のところで書いた③が、夏と水季が直接会った最後の日だったとしたら、夏目線ではその後、しばらく水季と気まずくて、あまり連絡を取っていないうちに水季が退学していて、電話をかけたら別れを告げられた、ということでしょうか。
それは引きずりますよね…。

好きだった彼女に急に別れを告げられたことだけでもショックだし、他に好きな人が出来たと言った水季のことを信じていたとしたらショックだし。
個人的には、きっと夏くんのことだから、水季の本音は違うんじゃないか(好きな人が出来たというのは嘘なんじゃないか)と感じ取っていたような気もします。
だとしたら、水季には自分と別れたい他の理由があって、その他の理由は、中絶手術を受けたこと、それによって心も体も傷ついてしまったとか、自分(夏)が父親になれない、水季が産むと言えないくらい頼りないやつだったんじゃないかとか、ぐるぐるぐる、考えてしまっていたのではないでしょうか。

もっと話をすればよかった。一緒にもっと考えればよかった。
なぜあの日、何も言えなかったとはいえ、サインをしてしまったのか。
そういう後悔を、そして罪悪感を、夏も背負っていたんですよね。

話を変えて、水季との交際について、ゆき子さんも和哉さんも知らなかったようですが、本編からするに、弥生さんとの交際については知っていますよね。
大和は勝手に言わなそうだし、夏が何かのタイミングで言ったのか、なんなら弥生さん、夏の両親のことを知っていそうな(会ったことがありそうな?)感じも本編でありました。
学生時代のお付き合いは特に親には言わない、という人も多いと思います。
私もそうでした(聞いてない)。
でも、社会人になって、弥生と付き合って、夏くんの中では、結婚とかそういうことも視野に入れていたお付き合いだったのかもしれませんね。
弥生との交際は、両親把握済み。
そのことが、夏が弥生を大切に想っているということの表れのようで、なんだか嬉しく思いました。

新しい女

その後しばらく、夏に新しい恋の気配はなかったようですが、しばらくしてある日、夏の家を訪ねてきた大和が玄関を開けたら、そこには弥生が。

「水季さんもドラえもんも帰ってこなかったこの部屋に、新しい女が!」
そう驚く大和のモノローグで、第4話は終わりました。
第5話は、弥生回かな?

とりあえず大和、ほんと夏くんの家に来すぎですよね(笑)
水季さんと別れて元気のないお兄ちゃんが心配だったところもあったのかな。

大和くんのモノローグからすると、夏が水季と別れた後、弥生と付き合うまでは恋愛をしていなかったのかもしれません。
弥生とは社会人になってから出会って交際3年目、との設定なので、出逢いは夏24、25歳くらいですかね。
水季と別れたのが多分大学3年生くらい?だとしたら、3-4年は新しい恋をする気にはなれなかったのかもしれません。
水季への未練を引きずっていたというよりは、やっぱり妊娠・中絶(をさせてしまったと夏は思っている)という経験は、言い方が適切かはわかりませんが、夏にとってはトラウマになっている部分があると思うので、また誰かと交際することは、また誰かを傷つけてしまうことになるのではないかと、踏み出せなかったんじゃないかなと想像します。
私だったら、そうだな。

弥生さんが中絶をしたのは夏が水季と別れた頃なので、弥生さんも、夏と付き合うまでの3-4年は、新しい恋愛なんてする気になれなかったかもしれませんね。

夏と弥生、同じ頃に似たトラウマ、罪悪感を背負うことになり、やがて出会ったタイミングで、お互いが惹かれ合うことになり、それぞれがゆっくり前を向くことが出来たのかもしれません。
そういう時系列や心の動き、傷にも、つながりを感じます。


スピンオフ、「兄のはじまり」。
観ればより一層本編を楽しめるし、キャラクターひとりひとりの性格や過去の解像度が上がりますよね。
大和目線で語られているというのも、本編を少し客観的に捉えられて面白いです。
次回も楽しみです!