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【詩】「白いロールスロイス」

白いロールスロイス
四車線の道路の端っこに
白いロールスロイス
いつか停まっていた

白いロールスロイス
白い手袋をはめた運転手が
白いロールスロイス
いつも座っていた

ご主人様はどこにどこにいてた?
きっと髭を生やして
きっと葉巻を片手に
きっときっときっとお金持ちだったはずなんだ

僕は携帯片手に
あの子と今夜はどこで会おうかなと
考えながら
コーヒーを買いにコンビニに向かってた

「実はバツイチで子供がいるの」
そんな告白を聞いてしまって
それでも子供と一緒に旅行なんか
行ってたようなそんなあの頃

白いロールスロイス
トヨタのショールームの前
白いロールスロイス
いつも停まっていた

白いロールスロイス
近くにはワンルームだらけ
白いロールスロイス
しばらく停まっていた

ご主人様はどこにどこにいてた?
きっとどこかの部屋で
きっと細く綺麗な子と
きっときっときっといけないことをしてたんだ

僕はジョッキ片手に
やっと会うことができたメル友と
意気投合して
次のデートへのきっかけを探してた

「実は彼氏がいるけど結婚を反対されてるの」
ホテルの部屋で聞かされてしまい
それ以上深入りできずに
プラトニックで終わったあの頃

白いロールスロイス
いつもキラキラ輝いてた
白いロールスロイス
いつも停まっていた

白いロールスロイス
ナンバープレートは1番
白いロールスロイス
いつも目立っていた

ご主人様はどこにどこにいてた?
きっときっときっとお金持ちだったはずなんだ

あの頃
僕は次から次へと
出会いと別れを繰り返し
ほとんどは空回りしていて
たまには報われていたような

キレイな日々じゃなかったよな
それでも今から思えば眩しかった日々だったっけ

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