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再掲【詩】「この恋だった」

君が肯くまで何回も言い続けたのは
諦めの悪い自分に初めてなったのは

この恋だった

手を繋いで石畳の道を歩いたのは
よりそいながら花火を見上げたのは

君とだった

普段乗らない車を乗るようになったのは
君に逢うためだった

普段かけない電話をかけるようになったのは
君の声が聞きたかった

君を怒らせてしまい 誰かにあんなに謝ったのは
涙を零した君に おずおずとながらも手を伸ばしたのは

初めてだった

抱きしめて離したくないと泣きそうなぐらい思ったのは
ずっと一緒にいたいともどかしいぐらい思ったのは

この恋だった

変わりたいと この僕じゃダメだとずっと思ってた
変わらなきゃと この僕を信じることができなかった

君のささいな言葉に勝手に一喜一憂したのも
会わない時間に不安が勝手に膨らんでいったのも

この恋だった

恋が恋でいるには 僕に余裕がなかった
全てが足らなくなっていた

君の言葉にとうとう肯くことしかできなかったのが
泣きそうになりながらも結局涙を見せなかったのが

あの夜だった

これから消そうともがき続けるだろう虚しさも
為す術もなく打ちのめされるだけの後悔も
そしていつかどこかでふと流れるだろう涙も

全部、この恋だろう

温もりも 冷たさも 悩みも 喜びも
快感も しんどさも 嬉しさも 切なさも

あのバス停も あのコンビニも あの駐車場も
あのファミレスも あのカフェも あの細い道も 

全部、全部、この恋だった

君の笑顔はずっと見ていたいと思っていた
焦がれるように思った 思っていたんだ

それがこの恋だった

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