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【詩】「初恋(another words)」

どれだけ時が流れただろう
どれだけの夜が明けただろう

静かに紡いでいた僕の言葉の影に
君が舞い降りてきた
それは今から思えば奇跡みたいで

その奇跡がなければ
僕は多分恋を知らないままだった

君の笑顔に舞い上がっていた
君の言葉の一つ一つが
僕の胸を優しく激しく揺らした

今はもう信じることのない
「永遠」をたやすく信じてた幼き日々は
懐かしさとともに
遠くまで来たことを気づかせた

これからどれだけ恋をくりかえしても
この僕であるかぎり
もう二度とはできない
それは初恋

どんなに君を求めただろう
どんなに君に首を振っただろう

静かに紡いでいた僕の言葉のように
君は別れを告げた
あまりにも静か過ぎたから 僕は何も言えず俯いた

君との記憶に眠れなくなった
君の言葉一つ一つが
僕の胸にゆっくりと穴をあけた

もう恋はしないと強がって
それでも君の面影にすがった
夢から覚めた冷たい日々を
砂を噛むような日々を
勝手に「永遠」と決め付けた弱さがただ懐かしくて

今から思えば君が手を振ったことは
最後の優しさだったんだろう

その優しさがあったから
僕は新しい恋を重ねてきた

ただそれでも時々振り返ってしまう
その奇跡を

これからどんなに深い恋におちても
この僕であるかぎり
もうたどり着くことない
それが初恋

これからどれだけ恋をくりかえしても
この僕であるかぎり
もう再び巡らない
初めての恋

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