見出し画像

【詩?】「蒼海」

うずくまって目の前の人の流れを見ていた

この世界は今日も雨だ
悲しい出来事がずっと降っている

誰かが驚きの声を上げて僕を見た
僕も驚いた表情で見返す

連鎖は止まらない
止めるためにはこの生のすべてが代償だ

なぜか

もう何年も前に命を絶った人の姿が
おぼろげに浮かんだ

--------

景色が流れていく車窓に自分の姿が薄く映る

だんだんと痩せてきたな
そうなることを望んだのは確かに僕

反動に怯えながらも
その反動を抑えつけるという
倒錯が僕は好きみたいだ

だからといってどんな風景の中ででも
笑えるわけじゃない

「笑え」と強制する理性に
「笑えない」と抵抗する感情

強く生きていくためにはどっちを選べばいいのか
分かっていたはずなのに

--------

誰かが見せたその薄ら笑いを
誰かが見せたその無関心を

いつかは忘れてしまうだろう

人は残酷なほど薄情になれる
それが人間の性根かもしれない

だから優しくなりたいと思うのか

・・・その「だから」の理由は何だろう?

--------

悲しいニュースが降り続けてる

悲しみに打たれて
涙があふれるのか

どこかから潮騒が聴こえる

耳を塞いで体を曲げる
歯を食いしばり目を閉じる

でも潮騒は聴こえつづける

海が僕のどこかにある
もう涸れたはずだと思ってたのに

この記事が参加している募集

#今こんな気分

75,432件

#沼落ちnote

7,383件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?