再掲【詩】「酔い」
薄暗い風景の中
また少し氷が溶けて静かに鳴る
見つめる視線の先で繰り広げられる
人と人が織り成す喜劇
穏やかな微笑を交わしながら
言葉を積み重ねて
出口のドアをくぐるまでに
これからの行き先を探してる
頬杖つきながら聴こえない言葉に
耳を澄ませている僕の前を
通り過ぎていくいくつかの物語たち
窓の外の景色は
ネオンサインが映える暗さで輝いてる
何かから逃れたいために酔いにつかまる
言い訳を増やしたくて酔いの中に沈む
そして見つめる視線の先で揺れている
人と人とが燈す消えそうな灯り
窓際のテーブルでグラスを傾けている
その女優の頬を伝う涙も
隣のテーブルで手元に視線を落としながら呟く
その老優たちの人生を語る皺も
この世にあまねく在る全てはうたかた
それでもとこしえを信じたくなるから人はなおさら儚い
頬杖つきながら静かなざわめきに
耳を澄ませている僕の前を
今夜も通り過ぎていく物語たち
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