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OFFICE TOSHIKI NASU/身体を整える意味は何だろうか。


身体を整えるということの意味

私は幼少期から身体に静電気がたまりやすい性質です。
子供の頃は授業中に下敷きで頭を擦って髪の毛を逆立てていたのに、今では
ドアノブに触れる前には必ず街路樹や植木を触るようにしています。

それでも乾燥機から衣服を取り出す際は手に電気が走ることが。
そのため今ではウールボールを乾燥機の中に入れて回すようにしており、さらに静電気除去キーホルダーを身に着け、あの恐怖に出会さないようにしています。

そもそもなぜ静電気は起こるのでしょうか?
調べたところ「物と物が接触した状態で擦り合わさったときに起こる」とのことですが、乾燥した時期に静電気が発生しやすい理由は空気中の水分が関係しているため、空気中の水分量が減ると物の表面の吸着水分量が減少して表面の電気伝導性が低下。それによって物の表面に発生したマイナスの電子が分散されにくくかるため静電気がたまりやすくなるそうです。

そう考えると幼少期から体に静電気がたまりやすかった理由は、アトピー性皮膚炎による皮膚の乾燥が関係していたのでしょう。

それなのに体が乾燥してしまう衣類を身に着けていたり。体を保湿しなかったりと自分の体をいたわることをしていませんでした。


冬に好まれる衣類が原因?

さて、皆さんは吸湿発熱繊維の衣類を使用していますか?
素材名でいうと「ソフトサーモ」というものになります。ユ〇クロで売っているあの商品です。

私は発売当時に愛用していたのですが、どうしても乾燥が酷くなってしまい皮膚が赤くなってしまいます。

その時は何も考えていませんでしたが、いま考えてみれば繊維が身体の水分を吸収することで発熱して暖かくなる仕組みですから、元々水分が少ない肌からさらに水分が吸収されれば身体は乾燥しますよね。

そして乾燥するから静電気が起こりやすくなる。
ではなぜ電気が溜まるのか。
それはプラスに帯電しやすい素材と、マイナスに帯電しやすい素材がこすれて起こります。

プラスの素材は、ナイロン、ウール、レーヨン、絹。
マイナスの素材は、アクリル、ポリエステル、アセテート、麻。
真ん中に綿があります。

ソフトサーモは、プラス素材のレーヨン・アクリル、マイナス素材のポリエステル・ポリウレタンによって織られた化学繊維です。

とはいえ静電気の防止加工が施されているので、生地単体では静電気は発生しづらいそうです。しかしウールやナイロン素材のものと組み合わせると静電気が起こりやすいという特徴があります。

また、ポリエステルのスカートとナイロンのタイツを履いたり、ウールのアウターにポリエステルのシャツを着ても起こりやすいのです。

ではこの帯電した電気をどのように抜けば良いのか?

私はこのことに「身体を整える意義」があると思うのです。


施術をしていると体が痛くなる

患者さんの病気の重たさなのか何なのか。
鍼を刺した瞬間に身体がチクチクすることがあります。
私は右鼠径部に電気を感じるのですが、それを特別なものとして考えることはありませんでした。

身体に帯電しているものがこちらに移ったのかな?そんな程度で考えていたのです。

このことを知人の理学療法士に会って話をした時のこと。
別件で内迎香という鼻の中に鍼を刺して出血させる話をしたのですが、彼が妙に納得したのです。

このツボはパニック障害やうつ病に用いられるのですが、彼が「帯電は穴で起こる」というのです。

そして除電耳栓というものをパーキンソン病のクライアントに使った時、頭重が軽くなって喜んでいたことを教えてくれました。

私はこの話をきいて、鍼灸の考えである経絡(経と絡)は、神経と血管に対してアプローチしており、それらの流れは電気の調整と放電に対して何らかの働きがあるのではないかと考えたのです。

間中喜雄先生の「体の中の原始信号」を読んでも、私たちが知らないことが沢山紹介されています。

この信号が異常をきたすとどうなるか。


「あるべき状態」に戻すために

人間の営みにとって大きな転換期になったもの。
それは産業革命でしょう。
18世紀以降、機械化・効率化・自動化・最適化へと発展していったのですが、それにより街の環境も大きく進みました。

しかし、この300年で遺伝子が大きく変化することは無く、身体には大きな負担がかかっています。

電気が誕生して蛍光灯へと進化したことで夜遅くまで働くことが出来ます。
機械化が進んだことで1時間に作ることが出来る数は増え、1日に作ることが出来る数も大幅に増えました。

IT文化が発達したおかげで手紙を送る方法が人や馬から車や船に変わり、今ではインターネットを使って瞬時に海外へメールを送ることが出来ます。

そうしたなかで1日8時間の労働時間は以前に増して効率化、最適化が進み、インターネットがなければ生活に支障が出るようになりました。
きっとIT革命前の週5日の労働はこの時代だと1.5日ないし1日の労働で事足りるのではないでしょうか?

そうなると、この時代に5日、22日働くということは・・・。
脳疲労を起こし、自律神経の問題、心の問題、身体の問題などが起こるのは必然なのかもしれません。

現在では、自然に触れる、還るということが特別なことになってしまい、動物が本来もつ生体調節機能を使うことが出来なくなってしまっています。

汗を流すにもスポーツジムに通ったりサウナに行かなければならず、寝る直前までスマホやパソコンに触れることで脳の状態は光を受け続けるために昼夜逆転の状態になってしまったり。

機能性を重視した衣類により電気をため込み、部屋を暖めるためにエアコンをつけ床暖房を付ける。

以前のように薪を用意する必要もない反面、火を眺めてぼんやりと時間を過ごすことも無くなりました。

そしてBluetoothで音楽を飛ばしワイヤレスイヤホンで音楽を聴き、つねにスマホのタッチパネルに触れ、ウェアラブルデバイスを手首に装着する。
新しい情報を更新し続けて生きているのです。

そのような日常を過ごすことが当たり前の世の中。いつ身体は自然に還るのでしょうか?


不自然な生き方に気づく必要がある

300年の時間により人間の体がアナログからデジタルに移行できたわけではなく、自分の周りの環境がどんどん前に進んでいるだけで、身体は置いてけぼりになっていることを皆が忘れてしまったように思えます。

これまで太陽がでたら起きて仕事をはじめて、日が暮れたら食事を摂る、月が出た頃には寝る準備をする。

風を浴びて、土に手足をつけて労働してきた人々が、靴を履いて化繊の服を着るようになり、電気がなければ生活が送れないようになりました。

都心はアスファルトとビル群に囲まれ、海からの風は遮断され、陽があたらない場所もあります。自然に触れることが特別なことになり、そのために移動してお金を払って何かをする時代です。

きっと皆さん、この身体の不快感、違和感に気づきはじめているのではないでしょうか?

私はそのためにサーフィンをはじめて、山へハイキングに行き、温泉につかったり、海辺の町へでかけて砂浜に足を付けるようにしています。


自分で選択するという生き方へ

誰かは「縄文時代に戻ろう」と発信していますが、目的を持たない限りは自然に触れることが困難な時代になりました。

だから受動的に何かをするのではなく、能動的に生きなければなりません。

私は鍼灸というものがなぜ金属でできているのか疑問に思います。
きっとアースの役割もあるのでしょう。

鍼は体に帯電したものを放散させる方法の1つとして有効だと思うのです。
そして、放電しないから多くの病気になり悪化していると思うのです。

鍼を刺すと体は原始的に戻る。
皮膚を傷つけて再生を促すことで身体は自然に活性化します。灸をおこない体温を上げることで免疫を高めます。

この身体を整えるよいう方法は科学が進んでもシンプルです。
動物は病気になると食事を摂らずただひたすら眠ります。
その時、自然界の動物は北に向けて眠るのです。
こういった自然の感覚に還るために五感を介して自然と一体になることが、いまの時代には必要なのだと思います。


身体を整える意味

身体を整える意味は「人間の体を動物本来のあるべき姿に戻すため」におこなうのです。

今の時代のように電気を使わない時代でも病気はありました。
ただ産業革命前後では病気の性質というのでしょうか、根本的に違ったのではないでしょうか?

そして科学のない時代には、宗教的儀式や祈祷がおこなわれてきました。
それは世界のどこかで今日もおこなわれています。
ある方向からみればまやかし。
しかし、長い時間をかけて人々は自然一体となり生きてきました。

そうした中で生まれたもの。
意味のある、ない、だけでは判断はできず、あるから救われている人も多いように思います。

身体を清々しい状態に、そして心を整える。
自然観を失いつつある現代社会において、その時間を作ることは特別なことになってしまいましたが「病気だから治す」のではなく「生きるを養う」という原点に還るのはいかがでしょうか?

私の治療院ではそのためにプリミティブな空間を作り、五感を休めるようにデザインしています。
そして、鍼と灸というシンプルな道具を使い、肌に触れることで自然に還る手助けをしています。

何かを治すための医療ではなく、身体を整えることを始めませんか?

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