見出し画像

単純な時間制限ダイエットは筋肉を失うかもしれない。

【概要】 巷でオススメされている?時間制限ダイエットというダイエットがあるようです。これは特定の時間だけ食事をとるダイエット方法で、8時間だけ食べていい時間を決めるみたいです。そもそも、朝8時に食事をとって、そのあと12時と16時に食事をとるなら大して変わらないんじゃないの?って思ったのですが、結果はいかに…。

 これを内科大手雑誌JAMA Intern Med.さんが取り上げくれましたので見てみましょう。

Effects of Time-Restricted Eating on Weight Loss and Other Metabolic Parameters in Women and Men With Overweight and Obesity
The TREAT Randomized Clinical Trial

JAMA Intern Med. Published online September 28, 2020.
doi:10.1001/jamainternmed.2020.4153

 過去のマウスを対象とした研究では肥満化したマウスで等カロリーの高脂肪食を摂取した場合に時間制限の食事で減量効果があり、エネルギー消費によい影響があることが示唆されています。

 本研究では食事の時間制限を行う群(原文でTime-restricted eating。以後TRE群と表記)は午後0時~午後8時までの間に自由に食事をとることができ、それ以外の時間はノンカロリーの飲料水は摂取できます。一方対照群(原文でconsistent meal timing。以後CMT群と表記)は1日3食と普段通りの食事摂取をしています。間食なども自由です。追跡期間は12週間です。

 この研究では食事の時間帯に制限をしているだけで、摂取エネルギーや運動などについては特段の介入や指示は行っていません。

【結果】
 116人が研究に登録・解析されました(TRE群57人、CMT群56人)。
 TRE群では試験前後で0.94kg減量し、CMT群で0.68㎏減量しましたが両群間で統計学的な有意差は認められませんでした。
 
 この研究ではサブ解析として一部の参加者で体組成とエネルギー消費量の測定を行っています。(TRE群24名、CMT群22名)大半の項目では有意差はありませんが、四肢の除脂肪体重(Appendicular lean mass)がTRE群で有意に低下しておりました。(下記のTabel 3)

 考察で触れていますが、TRE群の平均体重減少は1.7㎏でそのうち1.10㎏(体重減少の約65%)が除脂肪体重で、脂肪の減少は0.51㎏でした。通常、体重減少中の除脂肪体重の減少は総体重減少の20-30%を占めますので筋肉量の低下(喪失)が示唆されます。除脂肪体重の減少は衰弱や機能低下、QOL低下に関連する可能性があるとされます

画像1

上記表の意味は
body weight (総体重)= fat mass(脂肪量) + lean mass(除脂肪体重)
lean mass (除脂肪体重)≒trunk lean mass(体幹部除脂肪体重) + appendicular lean mass(四肢除脂肪体重)
という感じて捉えていただいてよいでしょう。

【個人的感想】
 時間制限の食事スタイルは減量のメリットがないばかりか、大事な除脂肪体重の減少(筋肉量の喪失)につながる可能性があることが示唆されました。(除脂肪体重の構成要素は筋肉量や骨・内臓・血液ですが、短期で変動する要素は筋肉です。)
 時間制限の食事スタイルで筋肉を失うことは避けたいですから、この食事スタイルはオススメできないと思いました。

 どうして時間制限で除脂肪体重が減ったかについては、あくまで個人の推測ですが、血糖や蛋白質の吸収がない時間が長くなると異化反応↑(体内の蛋白・脂質・グリコーゲンからのぶどう糖産生)、同化反応↓ (異化の逆)になるのだと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?