先生
推しの先生が異動した。尊敬も、敬愛も色々思っていた先生だった。
バレー部だった友達に『挨拶しに行こう』と誘われたので、久しぶりに母校へ訪ねた。
ちなみにとっても謎メンバーだった。(バレー部だった先輩(初対面)バレー部だった他の子達、そこに混じる美術部だった私)
先生は変わらず元気そうだった。
ちょっとは白髪が増えてたかもしれない。
高3というのもあって、先生に
「進路どうすんの?」と聞かれた。
「絵の仕事がしたいので、専門学校に行こうと思ってます」
素直に答えた。
こういう掴みどころのない進路は、人に話した時、反応が別れる。
ただ応援してくれるパターン、無理だと否定されるパターン、なんとも言えない顔をされるパターン、そんなところだ。
ドキドキしながら言った。
そうしたら
「そうかぁ。就職先があるかどうかだよな。漫画のアシスタントだって今少ないし…デザイン会社も、ここら辺は少ないからなあ」
と返ってきた。
頭ごなしに否定せず、無責任に応援もせず、かといってなんとも言えない顔もせず、その先を考えてくれた。
そういう所、
そういう所が好きだった。
って思い出した。進路の先を考えてくれるような、色んな道筋を考えて、教えてくれる、そんな所が
大好きだった。
色々話して、それなりの時間になって
「じゃあみんな頑張れよ。またいつか、どこかで会いましょう」
と先生が言って、私たちは学校を出た。写真撮るの忘れたね、じゃあウチらだけで撮るか!と謎メンバーで写真を撮り、それぞれ帰った。
この先、また会う機会なんてそうそう無いだろう。
部活の顧問でも、担任でもない、ただの教科担だった先生。
街の中で見掛けたって、声を掛けれる自信もない。
けれども、「また会いましょう」と言ってくれた。「頑張れ」と言ってくれた。
とりあえず、未来に向かって頑張るしかない。
頑張って頑張って、どうにか絵の仕事で花開いて、先生の目に止まるのだ。
そうして、「こいつ、頑張ってるな」なんて思ってくれたら、嬉しい。
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