日本でFPS/TPSがこんなに人気になるなんて! 主要eスポーツタイトルを見てみよう
Splatoon
PUBG
Rainbow Six Siege
CoD
荒野行動
Fortnite
Apex Legends
VALORANT
これらはすべて、2020年のいま日本で人気のあるFPS/TPSの対戦ゲーム(対戦シューター)、いわゆるeスポーツタイトルです。
いずれにも多大な人気を誇るプロチームがあり、絶大な影響力を持つ人気ストリーマーや動画クリエイターがおり、大会やイベントは数千、数万人が視聴しています。
とりわけ、伝統的な対戦シューターのルールを採用した『VALORANT』の最初の公式大会は約4万人が同時視聴(ヨーロッパより多い!)。eスポーツに関心がある人で、このとんでもない初動に衝撃を受けなかった人はいないでしょう。
ほんの10年前を思い出してみると、日本でこんなにも対戦シューターが受け入れられて、小学生から社会人まで広くプレイしていることには本当に驚かされます。
今回は覚え書きとして、少しだけ対戦シューターの盛り上がりについて概観してみます。タイトルしか知らない、という人が自分でタイトルやシーンを調べられるようになっていただければ幸いです。
※申し開き。多少調べていますが、だいたい記憶で書いているため議論としては雑です。間違いや補足があったらぜひ教えてください。
対戦シューターはマイナージャンルだった?
2010年前後、ウメハラさんが格闘ゲームでスポンサーを獲得し、続々とプロゲーマーが誕生してにわかにプロゲーミング(≒eスポーツ)の機運が立ち上がってきました。しかし、当時はまだ対戦シューターは日本ではマイナージャンルと捉えられていました。
ただ、ちょっと思い出してみるだけで、藤田祥平さんが『手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ』で描いた『Wolfenstein: Enemy Territory』、DeToNatorが地盤を固めた『Alliance of Valiant Arms』、Abusolote JUPITERが人生を注いできた『Counter-Strike: Global Offensive』とそのシリーズ、ライトゲーマーに遊ばれていた『ペーパーマン』、コンソールで人気の『Call of Duty』シリーズがありました。
2000年代中盤には日本で『Counter-Strike』のプロチームが誕生しました。とはいえ、プロ化の流れはいったん潰え、その潮流が蘇ったのは2010年前後。日本では対戦ゲームの巨塔として格闘ゲームがそびえており、そこからプロゲーマーを主役とする現代的なeスポーツシーンが形成され始めました。
その横では、長年eスポーツタイトルとしてグローバルTierのトップを走り、海外で巨大なシーンを作っている『CS:GO』をもって「日本人プレイヤーは対戦シューターで世界に勝てない」と言われてきました。あるいは、日本人には合わないと。
もちろん、対戦シューターにはそれなりの人口がありました。「AVAれ祭り」には2011年末に約1500人、2014年末に2000人が集まっています。
それでも『AVA』の勢いは徐々に弱まっていきました。もしかしたら、日本ではゲーミングPCよりもコンソールのほうが多数派だったことも要因かもしれません。
Splatoonがアレンジした対戦シューターの楽しさ
ところがそんな折、天変地異が起こりました。2015年に『Splatoon』がWii Uで発売されると、これが大ヒット。本作が日本で対戦シューターを表舞台に引っ張り出した立役者だと称する人もいるくらいです。
『CS:GO』的な海外産の対戦シューターとは一線を画していましたが、任天堂らしいキャラクターとステージのデザイン、そして「ステージをより多くインクで塗ったほうが勝ち」という独特なルールに多くのプレイヤーが熱中しました。
2017年には『Splatoon 2』が発売され、これも大ヒット。有志による大会がいくつも開催され、公式大会も何度か開かれました。ただ、当時もいまも、日本では公式にプロゲーミングな世界観のeスポーツとして展開されているわけではありません。
競技として取り組みたい、応援したいという人たちは大勢います。チームとしてはよしもとゲーミング カラマリやGG BOYZが広く知られています。コミュニティ大会はPlatinum Cupやドラフト杯などが有名でしょう。2020年現在では大型リーグとしてPremier Leagueが開催されています。
ちなみに、ドラフト杯の主催はnoteでゲームカテゴリーのディレクターを務める須山さんです。期待しましょう。
なお、アメリカではNintendo of Americaが主催するNorth American OPENが開催され、724チームも参加したそうです。
eスポーツの名を引っ提げてきたOverwatch
2016年には世界のeスポーツシーンを作ってきたタイトルの1つ『StarCraft』を提供するBlizzard Entertainmentから、『Overwatch』がリリースされました。日本でも「eスポーツが盛り上がりつつある」といろんなところで騒がれ始めていた時期だったからか、非常に注目を集め、さまざまな対戦シューターからプレイヤーがやってきました。
僕もかなりプレイした思い入れのあるゲームです。日本でのコンソール版販売元であるスクエニと、対応機種のPS4を提供するソニー(SIE)のトップが争う対抗戦が東京ゲームショウで開催されるほどの人気ぶりでした。
発売前後からいくつものプロチームが立ち上がり、公式リーグへの参入を準備してきました。そのときのわくわく感は、いま似たような状況で続々とプロチームが設立されている『VALORANT』に通じます。
ところが、期待されたプロリーグは各国都市をチームのホームとするグローバルなフランチャイズ制で、日本は入らず。海外ではOverwatch Leagueが開催されているものの、戦いの場を失った日本のプロチームは次々に解散。
最初期に作られ、長く活動してきたGreen Leavesもとうとう活動を休止し、日本では『Overwatch』のeスポーツシーンがなくなってしまいました。
そうは言っても、『Overwatch』が果たした役割が大きかったと思います。日本も含む世界同時に、しかもPCだけでなくコンソールでも発売されたことで、『Splatoon』はプレイしなかったプレイヤーが対戦シューターの存在を認知したはずです。
バトルロイヤルを広めたPUBGの登場
対戦シューターは似たルールが多かったのですが、そうした状況を革新するタイトルが2017年に登場しました。日本でも爆発的な人気を得て、このゲームをプレイするためにゲーミングPCを買った人が大勢いたと言われる『PlayerUnknown's Battlegrounds』です。略して『PUBG』と呼ばれます。
ジャンルはバトルロイヤル。100人が戦場に降り立ち、物資を集めながら最後の1人になるまで生き残ったら勝利というシンプルなルールです。これがめちゃくちゃブームになり、同ジャンルのゲームが大量に作られました。
『Counter-Strike』や『League of Ledends』がそうであったように、『PUBG』も最初は別のゲーム(『Arma 2』*)のMODとして生まれました。対戦ゲームの新しいジャンルは、既存作品をもっと面白く遊びたいという欲求から生まれるのかもしれません(なお、バトルロイヤルというジャンルの起源は諸説あるので言及しません)。
『PUBG』はややプレイヤー人口が減少しつつありますが、日本ではプロリーグとしてPUBG JAPAN SERIES(PJS)が継続的に開催されており、最多同時視聴者数は約2万5000人とシーズンごとに増えています。積極的にプレイはしなくなった人が、大会を観戦して楽しむようになっているのでしょうか(大会については国内パブリッシャーのEXNOAが主導。DMM GAMESですね)。
2018年発売のモバイル版『PUBG Mobile』でも公式大会が開催されています。こちらは世界的にも破竹の勢いで、つい先日、総売上が30億ドルを突破したというニュースがありました。ストリーミングサービスでの合計視聴時間も4月~6月は2位に入っています。
*訂正したよ。
日本チームが世界で勝てたRainbow Six Siege
時は遡り、2015年。『Splatoon』の発売と同じ年、『Rainbow Six Siege』が発売されました。ルールとしてはこれまでの対戦シューターと同じ2チームによる対戦で、敵チームを全滅させるか条件を満たすかすると勝利となりますが、対テロ戦を想定した屋内戦をメインとするのが特徴的です。
なぜこのタイミングで取り上げるかというと、日本チームがプロリーグに参加できるようになったのが2017年だからです。その後、2018年から2019年にかけておおいに盛り上がりました。特に、野良連合の活躍は何度言及しても足りないくらいです。
野良連合は、その当時まで日本に蔓延っていた「対戦シューターにおいて日本チームは世界で勝てない」という常識を打ち破り、世界大会でベスト4に輝きました。そのときの同時視聴者数は、夜中の3時だったにも関わらず計約7万人。『VALORANT』の4万人も衝撃でしたが、それと比べても多かったのです。
プレイヤー数も激増し、2018年末から2019年初頭にかけては栄華を極めたと言っていいでしょう。現在では世界的にプレイヤー数を堅持しつつも、国内ではプロリーグの視聴者数は伸び悩んでいます(それでも1万人以上観戦していますが)。
これは、日本チームが参戦するプロリーグが独自リージョンではなく、アジア・太平洋リージョンとして再編成されてしまったことが原因でしょうか。やはり日本チームの試合が観たくて、その勝者がアジア、そして世界へ勝ち進んでほしいというファンの心理がありそうです。
また、Ubisoftによるチーター対策が不充分でプレイヤーが離れつつあるのも無視できません。プロ選手も練習にならないと嘆くほどにひどいようで、一刻も早い対応が求められます。チーター対策はどのタイトルも死活問題です。
いずれにせよ、野良連合が「日本チームは世界で勝てる」と証明したことは、多くの人に希望をもたらしました。これ以降、たしかに対戦シューターの世界大会で日本人や日本チームが好成績を残すことが増えてきています。
なぜ突如として勝てるようになってきたのかは考察すると面白いと思いますが、一因として、世界と日本で同時にタイトルが発売され、ゲームの面白さはもちろん、動画や生放送も含めて人気が出ることでプレイヤー人口が確保されたことが大きいのかもしれません。『Overwatch』も初期にはその気配がありました。
新作、モバイル版、バトロワ版と多様なCall of Duty
さらに、同じタイミングで『Call of Duty』を。本作は毎年新作が発売されてきた歴史あるシリーズです。日本でも昔から人気で、どのタイトルも何十万本と売れています。
『CoD』は対戦シューターには珍しく、eスポーツ大会はPCではなくコンソールが世界基準です。国内の競技シーンではSCARZが長らく活躍し続けてきましたが、その牙城を2017年に崩したのがRush Gaming(Rush Clan時代も含む)です。それ以降はLibalent Vertexが頂点を極めてきました。
日本ではかつてCyaCが大会を開催して競技シーンを維持してきましたが、現在はSIEが公式大会の音頭を取っています(世界ではOverwatch Leagueと同じ形式のCall of Duty Leagueが開催)。
2019年の最新作『Call of Duty:Modern Warfare』は、大会の視聴者数が5000人ほどで、数年前からあまり増えている印象はありません。理由はいくつかありますが、通常のゲームルールとeスポーツルールが異なるのもその1つでしょうか。
2019年末にはモバイル版の『Call of Duty Mobile』がリリースされ、こちらは『PUBG Mobile』並みにノッているタイトルと言っていいでしょう。コミュニティ大会もGreat Giant Leagueなどが盛んに行なわれています。
また、2020年3月にはバトルロイヤルモードの『Call of Duty: Warzone』がリリースされました。基本無料のためかすさまじい人気が出て、海外では本家を追い越してしまっているようです。日本では同じような勢いはないかもしれませんが、それでもプロチームが存在をかなり気にかけています。
『CoD』だけではありませんが、多くの場合、PC版、コンソール版、モバイル版はユーザー層が分かれています。PC版とコンソール版がクロスプラットフォームの場合もありますが、『CoD』ではコンソール版とモバイル版にそれぞれプロチームが存在します。
なお、今回取り上げる主要タイトルについて、『CoD』以外のタイトルはすべて2015年以降にリリースされています。2015年が日本における対戦シューターのカンブリア爆発だったのでしょう。言うまでもなく、この爆発は『AVA』や『スペシャルフォース』などの先人タイトルが少しずつ対戦シューターのミームを拡散してきたら起きたことです。
独自のシーンをゆく荒野行動
さて、モバイルの対戦シューターとして無視してはいけないのが2017年リリースの『荒野行動』です。『PUBG』のパクリだと散々言われてきましたが、日本では独自のシーンを作り上げており、その生態系は特筆すべきものがあります。
本作は競技プレイヤーを盛り上げる公式大会やゲーム実況者を取り上げたイベントが数多く開催されています。しかし、なにより面白いのはコミュニティ大会です。ゲリラ大会と呼ばれますが、プレイヤーが突発的に賞金(たいていはギフトカード)つきの小規模大会を数多く開催しているのです(1か月の賞金総額は数千万円とも)。
主催者の多くは、SNSでフォロワーを増やして影響力を持ちたいというモチベーションを持っています。賞金つき大会を開催する→参加者や視聴者にフォローされる→影響力が増す→スポンサーがつく→賞金つき大会を開催する、といった循環を狙っているわけです。
『荒野行動』で最も有名な1人が、αDというチームを率いる超無課金さんです。事あるごとに現金やギフトカードのプレゼントキャンペーンを実施するなど、まさにこのシーンの特徴を端的に示す人物。Knives out Wednesday league(KWL)という主催大会は毎回2万~3万人が視聴するほどの規模です。
こうしたカリスマのような人が『荒野行動』のシーンには多く、数十万人ものフォロワーを有する場合も少なくありません。インフルエンサーとゲリラ大会を巨大な支柱とするシーンは要注目です。
ゲームから世界を広げるFortnite
次はいよいよ『Fortnite』が登場します。2017年にリリースされた当初はプレイヤーvsモンスターのタワーディフェンスとして始まったゲームですが、ヒットしたのは2018年初にバトルロイヤルモードが出てからでした。その後、クリエイティブモードでさらに人口が拡大しました。
PC、コンソール、モバイルと対応ハードは不足なく、相互に対戦が可能なクロスプラットフォームによってあらゆるプレイヤーが同一の競技シーンに参加できるようになりました。それに伴う問題もありますが(コンソールのほうがエイムしやすいなど)、本作の思想からすればクロスプラットフォームは当然です。
『Fortnite』を知らない人がこの名前を聞くときは、大会や選手というよりもゲーム内でのライブ開催や映画上映のことが多いのではないでしょうか。これには2つの理由があり、1つはEpic Gamesが本作をメタバースにしようとしているということ、もう1つは競技シーンが主としてゲーム内で展開されているので外に情報が出にくいということがあります。
メタバースとしての『Fortnite』は上掲の記事が詳しいので割愛します。直近では「アメリカでの人種にまつわる対話を推し進める催し」として「We The People」がゲーム内で開催されました。
一方、競技シーンについては時々の大型大会以外はなかなか実像が見えてきません。特に国内で公式以外の法人主催者による大会はほとんど行なわれていないのではないでしょうか(いちおうLogicool G CUPやSTAGE:0などがあります)。
理由として、本作はゲーム内での大会が盛んに開催されており、プレイヤーが非常に忙しいことが挙げられます。ほとんどが賞金つきで、アジア規模の大会で日本人プレイヤーが何人も上位に入賞したり、あるいは優勝したりしています。
コミュニティ大会としては、トップチームのCrazyRaccoonによるCrazyRaccoon Cupが最も有名でしょう。また、最近ではねこくん!さんが主催する地域予選型の現地集合もあります(Vol'2は4500組1万3500名のエントリーで、もはや日本のeスポーツ史に残るレベル)。しかしながら、こうした大会を自由に開催するにはカスタムマッチを行なう権限が必要で、誰でも実施可能ではありません。
『荒野行動』とプレイヤーの年齢層は近しいようですが(低年齢層が多い)、シーンの色合いはかなり異なります。
ただ、インフルエンサーの数と質は『荒野行動』に匹敵します。しょうじさんやNephriteさんなど、挙げればキリがありません。小中学生の将来の職業を尋ねるアンケートでプロゲーマーがランクインすることがありますが、もしかしたら『Fortnite』のシーンが大きな影響を与えているのではないか……とも。
飽和しつつ合ったバトロワに舞い降りたApex Legends
『PUBG』に始まったバトルロイヤルの覇権争いに参戦したのが、2019年初にリリースされた『Apex Legends』です。FPSの『Titan Fall』のスピンオフとして開発され、同作を象徴する戦闘ロボットのタイタンが出ないことが不安を呼びましたが、スタートダッシュは成功しました。
大手ゲーム会社の多くがバトロワタイトルを出していますので、ここでちょっとタイトルとゲーム会社をまとめておきましょう(パブリッシャーを記載。だいたいTencent資本です)。
PUBG → PUBG Corporation
Call of Duty: Warzone → Activision Blizzard
荒野行動 → NetEase Games
Fortnite → Epic Games
Apex Legends → Electronic Arts
PUBG Corporationは元Bluehole Ginno Gamesで、Activision BlizzardはBlizzard Entertainmentの親会社です。
この戦場に、『Rainbow Six Siege』のUbisoftが7月頭に新作『Hyper Scape』を発表し、eスポーツな大手ゲーム会社が勢揃い。どうなることやら。
さておき、『Apex Legends』。いまとなっては、海外では他タイトルに比べるとやや盛り上がりに欠けます。リリース当初にチーターが多発してまともな試合にならなかったことがプレイヤーを遠ざけた要因でしょうか。
試合に入ると3人組でマッチングされるんですが、ときおりそのうちの1人にチートツール販売業者のBOTが入ってきて、ずっと謎の暗号をチャットし続ける現象がありました。実はその暗号はチートツールを購入する際に必要なもので……という、とんでもない状況が問題視されないわけがありません。
何度も対策がされながらもチーターは多く、『Call of Duty:Modern Warfare』がリリース当初に日本で酷評されたせいでプレイヤー人口が増えなかったのと同じように、なかなか勢いは取り戻せそうにありません。
ただ、日本では非常に人気があります。おそらくにじさんじやホロライブなどのタレントや渋谷ハルさんなどのVTuber、DeToNatorや加藤純一さんといった人気ストリーマーが長時間のゲーム実況をしていたのが主たる要因でしょう。
ただ、公式大会は開催されているのにプレイヤーですら詳細がよく分からないなど、eスポーツタイトルとして運営していくのであれば改善してほしい点はいくつもあります。
日本で海外産のeスポーツタイトルが成功するには、日本法人や日本オフィス、あるいは国内パブリッシャーがなければほとんど不可能なことは歴史が物語っています。EAは本作発売直後に日本オフィスが閉鎖されてしまいました。
ただ、大会はJCG主催で予定されていますし、公式大会もMildomで配信予定です。
成功を約束されたVALORANT
……おや? 日本法人があって、ほかのeスポーツタイトルが日本で根づいているゲーム会社の対戦シューターがここにあるぞ?
『VALORANT』だ!
というわけで、最後はRiot Gamesの『VALORANT』を見ていきます。本作は『League of Ledends』で有名な同社が2019年に突如発表したプロジェクトの1つで、2020年6月に正式リリースされました。
『CS:GO』ライクなゲームルールが採用されたことで国内の同作プレイヤーが移り住み、それ以外にも多くの対戦シューターからプレイヤーがやってきました。冒頭で紹介したAbusolote JUPITERも、これまで『CS:GO』で国内最強を誇っていたチームでした。
『CS:GO』は世界的にはずっと最上位のeスポーツタイトルとして君臨していますが、日本では全然その気配がなく、その差がなぜ生じているのかは誰にも分かりません。この類の対戦シューターは日本では受けないとも言われてきたため、『VALORANT』も同じ運命を辿るのではと業界人が危惧していました。
ところが、蓋を開けてみると最初の公式大会で同時視聴者数4万人。ビビりますよ。おそらく、2015年から始まった天変地異の効果がここに結実したのでしょう。
Riot Gamesの新タイトルとあって注目する有名プレイヤーも多かったんですが、早期アクセス権をもらっていた彼らがTwitchで生放送をし、それを視聴した人には早期アクセスキーが配られるというキャンペーンも功を奏したと思います。
『CS:GO』のコミュニティ大会を開催している「宴」では、早々にUTAGE VALORANTを発表。566チーム、計3614人がエントリーするという目を疑う数字を叩き出しました(試合は1チーム5人制で、登録は10人まで可能)。
言及しておかなければならないのは、宴の主催者はこれまで日本で対戦シューターを盛り上げようと奮闘し続けてきた人たちだということ。『CS:GO』の大会もその一環でした。それがこういう形で実ったのです。
最初の(招待制)公式大会がRAGEのブランドで開催され、続くオープン大会も同様の形なので、もしかしたら本作は今後もサードパーティと連携して公認大会が開催されていくのかもしれません(有志によるコミュニティ大会のガイドラインも詳細に決められています)。『LoL』とはかなり異なる景色が広がっていきそうです。
日本人ってこんなに対戦シューターが好きだったんだなって
10年前、あるいはそれ以前のeスポーツシーンを知っている人にとって、対戦シューターは日の当たる格闘ゲームの陰に隠れたジャンルでした。ところがいまや、この記事で挙げた対戦シューターの国内総人口、視聴者やファンも格闘ゲームより多いでしょう。どちらのジャンルもが日の当たる場所に出てきたのです。
これは僕がただ思っているだけの印象論ですが、それでもプレイヤーの風格は格闘ゲームに軍配が上がるように感じます。年齢層もありますが、それよりむしろプレイスタイルや生き様に対する哲学や思想があるかどうかの違いでしょう。
そうした思想はゲームの枠を飛び越えて人に影響を与えるものです。ウメハラさんやときどさんの著書はまさしく彼らの思想がゲームの枠を超えた例です。対戦シューターからも、思想が本になるようなプレイヤーがもっと誕生してほしいなと願います。
ここまで、かなりおおざっぱにいま日本で人気のある対戦シューターを眺めてきました。詳細にはまったく入らなかったので至らぬ点が多々ありますが、ひとまず各タイトルの雰囲気を感じ取っていただけたなら嬉しく思います。
ちなみに僕はAmazon Game Studiosが満を持して5月にリリースした『Crucible』をプレイしていましたが、どうやら悲しい結末になりそうです。