ペパー

私はいつもペパーを食べている。君は?食べる?コレ。ビリッ(ペパーを破る音)。はい、あげる。美味しいよ。

私は雨の中を、感傷に浸って歩いていた。電柱がーーあるいは田中がーー私に向かって近づいて来ていた。(このような語りが悪いのは知っている。なぜなら、近づいているのは私の方だからだ。しかし、世界はいつも私に近づいてきて、そしてぶつかるのだ。ため息が出る。)私は懐中電灯を取り出して、電柱の顔に向けた。電柱は眩しそうにし、私に向かって外国語のような言葉で悪態を吐いたので、私はペパーを取り出し、その場でビリビリに破り捨てた。

家に帰って、私はペパーを冷やしたり温めたりしていた。私はもうずっとこれを繰り返している。登山家が山を登る理由として有名なあの「そこにペパーがあるから」という理由で、私はいま山を温めたり冷やしたりしているのだ。ずっとこれを繰り返している。山は満足そうに目を細め、私におやすみの挨拶をした。


ハハッ。気づいてると思うけど、私がペパーを食べるという話は嘘である。口で言うだけでは信じないみたいだから、文章に書いてみたのだ。どうだったかな?以上が私のペパーである。


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