🟦青いバッグ道端事件〜行きに落として帰りに拾う!
2020年11月28日、つまり一昨日の昼間の出来事である。
昨日は、音楽仲間との合同練習をするために、昼過ぎに実家に行った。
実家にいくと、母が妙に深刻な顔をしている。
「客間使うよ。
二人来るけど気にせんで。
勝手にするけん。」
一応、前日も伝えておいたが、最近は前日伝えたことも翌日には大体忘れているので、もう一度声を掛ける。
母はそちらは気にせず、
「そうやったかね?
もうね、私も最近はどうかしとうとよ。
昼に、パン買いに行ったらね、一時間待ちやったけん、帰ろうと思ったんよ。
そしたら、手に持ってたバッグがないんよ。
どこにやったとやろうかと思いよったら、帰る途中、渕上さん(仮名)とこの角の道にあったんよ。
お父さんもどっか出掛けて帰って来んし、もうどうしようかと思った。」
はい?
「バッグって、どれ。
いつも持ってる青いやつ?」
母は、ここ数年、ビビッドな真っ青なバッグを、エコバッグとしてよく持ち歩いている。
近所のパン屋は確かに人気だが一時間待ちはない。
物理的に、一時間も待てるほど店内スペースが大きくない。まあつまりこれは認知症の症状の一種で、短期の記憶だが「待たされる」ことに対して強烈な反応を示して記憶を書き換えて焼き付けている状態であると思われる閑話休題。
まあ父がその辺を徘徊するのはいつものことなので良いとして、バッグまでどこかに行くのも困る。
そうは言っても、母は貴重品の入っているハンドバッグは肩から斜め掛けにするのが習性なので青いバッグはほぼ空だしなあ。
母は言う。
「それよ。
もう、バッグを落としたことにも気づかんなんてねえ。
盗られんで良かった。
何も入ってないけど。」
あー。
「何も入ってないもん、盗られんよ。
良かったやん。
行きに落として、帰りに回収してきたら、まあ御の字やろ。」
とりあえず、お気に入りのバッグ、戻ってきて良かったな!
しかし、考えれば考えるだに、道に、真っ青な買い物袋が落ちている光景は妙だったろう。
どう考えても誰も拾わんよな…。
シュール…。
(終わり)
投げ銭歓迎。頂けたら、心と胃袋の肥やしにします。 具体的には酒肴、本と音楽🎷。 でもおそらく、まずは、心意気をほかの書き手さんにも分けるでしょう。 しかし、投げ銭もいいけれど、読んで気が向いたらスキを押しておいてほしい。