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🚘ガレヌゞ腐海事件〜底のない棚は棚ず蚀えるのか


 それは幎月のこずだった。

 前幎に䞡芪が倒れ、様々な事情ず経枈状況を勘案した結果、私は月末日づけでそこそこ幎収の良い職堎を退職し、実家の近所にやや叀めのマンションを借りお、配偶者ずずもに新生掻を始めるこずにした。

 退職たでには圓然様々玆䜙曲折あったが、今は切り替えお実家に戻っお来おからのこずを話したい。

 前眮ずしお、䞍愉快になる人もいるかも知れないが、うちの父は玛れもない糞爺である。
 ク゜ゞゞむ。
 その数々の所業は、死埌、私が䌝説にしおやろうかずいうほどうず高く積もっおいるが、ずりあえずは割愛。

 たずは、転居にあたっお、私ず配偶者分の駐車堎の確保である。
 䞀台はマンション付属のものを借りるずしお、䞀台分は(埒歩分なので)実家のガレヌゞを借りようず思い぀いた。

 実家のガレヌゞは、うちの父が歳ごろだから、十五幎ほど前か倧䜓幎ころだず思うが、緑内障で自動車事故(物損)を起こしたため、免蚱返䞊し、車を凊分しおいる。
 これに぀いおも、人を蜢き殺す前で本圓に良かったず思う。

 ずもあれ、実家のガレヌゞを䜿わせおもらおうず思っお、母に蚀う。
「車䞀台、ガレヌゞ䜿わせおもらいたいんやけど。
 いい」

 母が埮劙な顔をする。
「良いけど。
 ちょっず物が眮いおあるずよ
 停められんっちゃない」

 停められない

 実家のガレヌゞは、私が孊生時代、父の車の暪に兄の自転車ず私の自転車を眮いおもただ灯油猶を眮けるほど䜙裕のある広さのガレヌゞであるはず  。

 䜕を眮いおる
 ちょっずではない気配を察知

「  ちょっずガレヌゞ芋るよ。」
「良いよ、぀いでにあんたちょっず片付けおくれんね。」

 盞圓にちょっずではない気配を察知

 ガレヌゞの前にはちゃんずシャッタヌがあるのだが、䜓力が衰えお、それを匕き䞋ろすのが倧倉だず蚀う理由で、ホヌムセンタヌで買ったらしき簡易のカヌテンが入口にかけられおいた。

 粗雑

 恐る恐るカヌテンを匕き開けるず、そこにはテレビでしか芋たこずがないような光景が。

 ガレヌゞの八割が、䜕か玠人仕事の棚ず本ず玙類ず、あず䜕かよく分からない垃類、毛垃、ゎミで埋め尜くされ、叀い壊れたラゞカセ、ただ埮劙に残りがちゃぷちゃぷ蚀う錆びたデカい灯油甚ドラム猶、映らないブラりン管十四むンチテレビ二台、すでに実家を出お数十幎経぀兄ず、私の子䟛時代の教科曞、ノヌト、レポヌト、孊甚品、あずはもう思い出せない。

 ──唯䞀の救いは、生ゎミが無さそうなこずだ。

 ずりあえず、退職したばかりで時間の䜙裕のあった私は、捚おようず思っおいた元の職堎の䜜業着を着お、ガレヌゞの掃陀に取り掛かったのだ。

 正盎これが難敵だった。

 曞籍類に぀いおは、文句はあるが(ガレヌゞに眮かれおいた曞籍類は圓然ほが駄目になっおいた)、凊分そのものはたずめお玙ゎミに出せば良いので手間ではあるが順圓に進む。
 粗倧ゎミや䞍燃物類も、非垞に手間ではあるが、順次片付けが出来た。

 実のずころ、この片付けで䞀番の匷敵だったのは、父芪が䜜ったいい加枛な棚もどきだったのである。

 棚もどき。

 どんなふうにいい加枛か蚀葉で説明するのは難しい。

 偎板はある。
 倩板もある。
 背板も䞀郚ある。
 ──底が無い。

 それが重ねおある。

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 非垞に䞍安定なそれに、雑然ず物が突っ蟌んである。
 玠材はベニダ。
 こんな感じ。

 棚以䞋である。


 サむズ感は、ホヌムセンタヌでよく売っおいるDIY甚ベニダであっお、匷床はたゆんたゆんである。
 よくこれに底板も぀けずに本ずか重いものを積もうず思ったな

 棚ずしお他に流甚するには脆すぎるし、耐久性が無さすぎる。
 しかも、䞭途半端に釘で打ち付けおあるので、釘を抜いお板に戻すのも䞀苊劎である。

 その棚もどきが䜕十個もある。
 片付けの倧半がこの棚を朚材に戻す䜜業だった。

 しかし、この朚材、ホヌムセンタヌに行っお、車のない芪が自力で持っお垰れるずは思えない。
 片付けの最䞭、さすがに芪に文句を蚀いがおら尋ねる。

 「ねえ、ちょっず。
 あのベニダの棚、なんなん。
 䜿い物にならんし、底もないし、あのベニダ、どうしたん。」
 母がしたり顔で答える。
「いや、あれは家を片付けおっお蚀ったら、お父さんがホヌムセンタヌで買っおきたんよ。
 五千円以䞊買ったら、送料がただになるんやろ
 それでトラックで配送しおもらっおね
 䜕回も頑匵っお買っおきたんやから、そう蚀いなさんな。」

 配送無料に぀られたのか

 話は戻るがうちの父は糞爺であり、ダメンズである。
 そしお母は皀代のダメンズメヌカヌである。


 たあそれは倫婊のこずなので、圌らは勝手にすればいいのだが、こちらに降りかかる火の粉には正盎困っちゃう⭐

 父は、䞉十六回払いの月賊で物を買っお、払い終わりもしないうちから「月賊だから借金じゃない。」ず堂々ず蚀い攟぀人間である。
 
そう送料無料に釣られお無駄な物を買うずか  、倧埗意に違いない。

 そしお、仕事が雑であっお、抂ね、効率も芁領も、その前に甚途に察する努力の方向性も明埌日の方向を向くのだ。

 棚を䜜るんなら、もっずマシな、埌で流甚できる皋床のたずもな物を䜜っおくれんかな

「いや、そうは蚀っおも、片付ける方の身にもなっおよ。
 あれ党然䜿えんけんね」
 私も歯に衣を着せず、文句は蚀う、実子の暩利である。

 父芪は、その間䞭、耳が遠いふりをしおいた。
 い぀もは煩いくらい喋るのに、郜合が悪くなるず口数がぞるのもい぀ものこずである。

 ずもかく、棚もどきを板に戻し、出入りの倖装修理関係のおじさんに幟ばくか払っお垂のゎミ凊理堎たで二埀埩しおもらっお、ガレヌゞを片付けるのに䞀ヶ月かかった。


「綺麗になったねえ。」

 片付いたガレヌゞを芋お、そこはかずなく嬉しそうな母。
「綺麗になったっお蚀うか。
 その前にため蟌たんどけば良いやん
 いらんもん捚おたら」

 お忘れかもしれないが、今回私が片付けたのはガレヌゞだけである。
 この埌、裏庭やら、元私の郚屋(ここは未だに腐海である)やら、p、珟圚進行圢でため蟌んでいるのだが、この時期、母は老人性う぀病のようになっおいお毎日「もう長いこずはないかもしれん」ず蚀い続けおいたので、終掻を促す぀もりで私が蚀った䞀蚀に返っおきたのは。

「捚おんよ
 戊争の時はなんでもあったら助かったんやけんね
 絶察捚おん」

 あっそう。

 母が生きおるうちに第䞉次䞖界倧戊が始たるかどうか分からないけど。

 ずりあえず、それから数週間しお、ガレヌゞの偎面に、䞍䟿だからず蚀っお、倖壁修理さんに䜜っおもらった棚がドヌンず鎮座たしたしおいお、私がのけぞったずころたでが䞀連の話である。

 なお、その棚は、ちゃんずたずもな棚で、駐車にも邪魔にならないように蚭眮しおあったので、父の仕事ずはだいぶ違った。
 比べおすいたせん。

(終わり)




投げ銭歓迎。頂けたら、心ず胃袋の肥やしにしたす。 具䜓的には酒肎、本ず音楜🎷。 でもおそらく、たずは、心意気をほかの曞き手さんにも分けるでしょう。 しかし、投げ銭もいいけれど、読んで気が向いたらスキを抌しおおいおほしい。