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京都三大喫茶を巡る

京都には、「京都三大喫茶」と謳われるお店があるのをご存知だろうか。

数ある喫茶の中、今回は中でも有名な3つを紹介したいと思う。

1.フランソア喫茶室


昭和9年(1934年)京都河原町に誕生した喫茶店。

西洋の街角のような外観のこの建物は、当時とほぼ変わらぬ姿を守り続けており、2003年には国の登録有形文化財にも登録されている。

バルコニーに猫が。

室内はバロック様式風で、ステンドガラスの窓やモナ・リザの複製など、海外の文化が散りばめられ、クラシック音楽が流れる優雅な空間が演出されている。

小さな扉を開けると、外からは想像つかないような広々とした空間が広がっていて、ドーム型に開けた白い天井が印象的である。

代表するメニューは、珈琲、特製プリン、日替わりのケーキの洋梨タルト…と挙げ切れないが、個人的の一押しは「玉子サンドイッチ」だ。

提供されるまで少し時間がかかるが、味は格別。


出来たてふわふわの甘い玉子に、お好みでブラックペッパーをかけていただく。

ボリュームがかなりあるため、軽食ならば二人以上で食べるのをおすすめする。

最近では、喫茶室の横に「フランソア洋菓子店」がオープンしたそうで、販売されているもののほとんどが喫茶室でも注文することができる。

2.喫茶ソワレ


昭和23年(1948年)京都河原町に誕生した喫茶店。

フランス語で「夜会」「素敵な夜」を意味する店名は、佇まいからしてどこかミステリアスな雰囲気に包まれているようにも見える。

印象的な青色の店内照明は、「女性の肌がきれいに見えるように」と考えられており、お見合いの場としても使われていたのだとか。

店内に音楽はなく、ゆったりとした時間が流れる。

手すりや壁にある木彫刻は、創業者の友人の彫刻家が手掛けたものだそう。

ここの代表メニューは、1978年に考案されたという「ゼリーポンチ」。

お皿に反射した色合いが綺麗。

しゅわっと弾ける炭酸に、カラフルなゼリーとフルーツがまるで宝石のように入っている。

そのハイカラな見た目が注目され、開店前から連日長蛇の列ができるほどの人気を集めている。

私も一度行ったことがあるが、若い人が多い印象で、来店と同時にケーキセットが完売したのを鮮明に覚えている。

ゼリー以外にも、アイスクリームやヨーグルトのほか、カクテルなどの酒類も提供されている。

また、お土産品として、タンブラーやコースターも販売されており、これらに使われている絵は当喫茶に通っていた画伯東郷青児氏によるものである。

3.築地


昭和9年(1934年)京都河原町の繁華街の一角に誕生した喫茶店。

店先のランプの灯りが目印。

創業者が俳優を志していたことから、東京の「築地小劇場」にならってこの名前が付けられたそうだ。

店構えは一見するとパブのようで、床にはカラフルで不揃いのタイルが敷き詰められている。

扉を開けると、やや暗めの照明の中、精巧な造りのアンティークグッズがずらりと並ぶ。

歩くと床の軋む音が重厚感をさらに際立たせており、どこを切り取っても映画のワンシーンのような音楽、装飾が店内を彩っている。

日本離れした独特の世界観に、誰もが中世ヨーロッパの屋敷に迷い込んだかのような感覚になること間違いなしだろう。

金色のカトラリーがお皿に映えている。

メニューはドリンクがメインで、食べ物は3種類のケーキのみ。

珈琲とケーキは、合わせて食べることで苦さと甘さとが絶妙にマッチ。

なめらかで口当たりの良いムースケーキは、真っ赤なチェリーが頭に乗っていてベリーソースが添えられている。

「生きる」名喫茶


昭和を知らない世代でも、一歩踏み込めば、誰もがタイムスリップできるような、ロマン溢れる世界が広がっている。

次から次へと新しいモノが流行るこの時代に、当時の面影を残したまま変わらぬ姿で「生きる」喫茶の魅力を味わってみてはどうだろうか。


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