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雪景色は雪景色のまま 包帯は包帯のまま

 あぁ、今日で、あなたはいなくなってしまうのですね。

 こんなにも、こんなにも、助けていただいて、感謝しても、感謝しきれません。

 いつもそばで支えてくださって、本当に、ありがとうございます。

 看護師としても、人としても、とても、尊敬しています。

 あるとき、あなたが教えてくれたーーいや、あれは怒っていたのでしょうか。静かに、けれど表には出さず、諭すように、教え導くように。

 あれはまだ私が二年目のころでしたね。

 ある利用者さんの心に触れようとして、その上で寄り添って支えとなれば、と思っていた中、かえって落ちつきがなくなってしまったときーー

「無理に包帯を解いてしまい、心を曝した後に何が待っているのか、それは、知らないといけない」

 それを曝してしまって、その上で何ができるわけでもなく、ただ自分の、こうしたい、こうしてあげたい、という想いだけで行ってしまったことを、私はそのとき恥じました。

 あぁ、なんてことをしてしまったのだろう、と。

 自分に置き換えてみたら、そうだ。そんなふうに心を曝されて、いい気持ちなんて、しない。

 雪景色は雪景色のまま、包帯は包帯のまま。

 その、白に、その、隠された、無垢のままに、しておくこと。わざわざそこに向かい、踏み潰し、穢し、傷を曝してしまうのではなく。

「こちらから蓋を開けてはならず、その人のペースで気づいてもらえるまで、大切なことは、待つこと。何をしてあげたかではなく、そばにいることそのものが、大切なこと」

 この言葉が、この言葉たちが、あなたのすべての言動が、私の心に残っています。

 待つ、こと。そばに、寄り添う、ということ。

 その大切さを、教えてくれて、ありがとうございます。

 明日から、あなたがいなくなってしまう、明日からも。それを胸に、寄り添っていきたいと思います。

 これまで、本当に、お疲れ様でした。

 


いつも、ありがとうございます。 何か少しでも、感じるものがありましたら幸いです。