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支援の質について考える

先回の記事でも触れましたが、私の職場には評価制度があります(形骸化してない?)。

福祉事業は行政(国・県・市など)から委託を受けて実施しているものがあります。
そういった事業は委託元から評価を受け、評価ごとに予算の割り当てや、継続して受託できるかが判断されていきます。

支援を評価する上で、支援の量と質がその評価の対象となると思います。
支援の量はまあわかる。ですが、「支援の質」とは何でしょうか。

今回は私が勤めるナカポツの評価基準にざっくりと触れ、私自身が考える「支援の質」についてまとめようと思います。

支援の評価基準としてはまとめられないと思います。あくまで考え方について、になりそう。

ナカポツの評価について

大きなところでは年次報告でしょうか。
その年度の支援実績を報告することになります。

〇登録者数
障害別、在職・求職・その他のいずれに該当するかを報告します。

〇相談支援件数
障害別、手段別(来所・電話・訪問など)や内容別(就職・職場定着のための相談など)で報告します。

〇就職・実習件数・就職率

〇計画策定件数
職業センターのカウンセラー作成かナカポツが独自で計画を作成しているかを報告します。

〇関係機関・企業に対する支援件数
それぞれに対してどのような支援をおこなったかを報告します。

〇会議・研修への参加件数

ざっくりこんなところでしょうか。

昨年度までは年次報告の他、点検・評価シートのようなものも提出していました。
こちらは年次報告をベースに数値を報告することと、自由記述で好事例を挙げるなどして、より地域性や個別性の取り組み内容に対する評価軸がありました。

評価するのは当該ナカポツがある地域の福祉・労働・教育に携わる偉い人。さらに労働局から個別にヒアリングがあったような。

たしか紆余曲折があって、「個別性がない!」「地域差が考慮されていない!」みたいな意見が多く、「評価するものではなく、自己点検のためのものです」といった色合いが年々濃くなっていったような・・・。
国としては予算獲得のための資料としてどうしても数字が必要なのです。国会に提出していく必要があるのですという説明でしたが・・・。今年度はないんだっけな。そろそろお達しが来る頃だと思われますが・・・。

結局数字は数字で大事。
質を捉えようとすると、個別性が高いですし、評価する人がいくら専門家といっても現場との解離は拭えないので、どうしても文句がつく・・・といった構図でしょうか。

なので私のようなペーペーが質について述べても、それを確認する方法までは提示できないと思います。

委託元というお金を出している立場と、それを請け負って業務をしている立場では、持ちつ持たれつだと思うので、委託元がこの量・質が必要です、判断基準ですと言われれば、受託側も一定の理解をして「そうですね」と言うことも必要では?と思います。ペーペーなりに。

私の考える支援の質

いかに相談者に合わせて個別に提案や配慮をおこなうか、だと思います。
過程をどこまで本人にとって意味のあるものにできたか、ということかな。

就労支援において、求められる結果は就職と、その後の長い職場定着だと言われることが多いと思います。私もそう思います。

では「いい支援」とは「必ず就職・定着させること」なのかというと、疑問が残ります。
「最高の支援者」とは「誰でも就職させる人」ではないと思うのです。
就職という結果は、支援だけで左右されるものではないからです。

最終的には決めるのは企業になります。ではその企業に「採りたい」と思わせるのが支援なのかというと、そうではない。それはある意味では騙すことも含んでいると思うからです。これはもう、支援ではなく話術の質では?

私はやはり「支援は過程」なのだと考えます。いかに意味のある過程とするか。

求人情報をそのまま読んでも意味を捉えきれない方に説明をおこなう。
本人が思いついていない方法や方針を提案する。
本人が考えている・支援者が提供した方法や方針のメリット・デメリット・リスクを伝える。

ただ伝える・提案するだけでなく、本人が判断できるよう情報伝達の方法に配慮する。
図表で示す、理解を確認しながら本人の口から出てきた言葉で伝える、見学や実習などの体験の機会を提供する。

このような過程を提供することで、本人の希望により近い選択を支援することが支援の質に影響すると考えます。

このような支援の結果、就職できない状況が何年続いても、それは支援の質が低いということにはならないと思います。
ただ、その状態が続くことを本人が望んでいるからと続けることがよい支援ではないと思います。その状態が続くデメリットなどを伝えていくことは就労支援の視点でも、支援という大きな枠組みでも重要だと考えます。

これらの取り組みを数値化することは難しいですね。
何時間かければ丁寧か、という指標はないでしょうし、知的障害にはこの方法、精神障害にはこの方法ということはあり得ません。
Aさんに対するよい対応が、Bさんにとってはよいとは限りませんし。
個別性が高すぎる。ここを評価軸に置くことは、やはり難しいのでしょうか。

評価されるとしたら事業所単位でしょうかね。上司や同僚とこういった意識が共有されているといいなぁ。
事業所によっては「いいから就職させろ!」というところもあるでしょうか。
個人的には就労支援をしていますが、就職だけが望ましいゴールではないと思いますし。

まとめ

支援の質の評価は難しいと思います。
個別性が高いからね。だからこそ、その点を理解してくれる上司はありがたいのだと思います。

就労支援の事業所にあって、就職が全てではないとわかってくれる管理者はどの程度いるでしょうか。私が出会った上司はそう多くありませんが、理解してくれている方で、私も考えが近しかった(教えてもらった方たちなので当たり前ですが、違和感なく吸収できた)のでありがたかったです。

後は評価が給与に直結する世界だといいですね。
これ以上うれしいことはありません。
対象者の笑顔、ありがとうの言葉もうれしいですが、やはりお金は大事です。モチベーション大事。

皆様は支援の質とは何だと考えられますか。
どこに重きを置いて支援してらっしゃるでしょうか。

私は個別の資料を事業所で一番つくっていると自負しています。
いや作らなくてもいいのですが。
ほんのちょっとのマイナーチェンジでもいいのです。AさんとBさんの違いを考えて、同じ『転職についての注意点』にしても、内容を吟味していくことが支援の醍醐味、楽しさだと思って取り組んでいます。

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