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医療法人成りのメリット・デメリット

今回は医療法人成りの主なメリット・デメリットについてご紹介いたします。


主なメリット

1.所得税と法人税の税率差による節税

所得税の最高税率は住民税と合わせて55.945%、法人税の最高税率は23.2%です。

法人事業税・都道府県民税・市民税等を加味した実効税率はおよそ30%以内にはおさまるかと思います。

仮に個人の課税所得が4,500万円の場合、税金の額は約2,028万円になります。

法人成りをして役員報酬を役員4人に600万円ずつ出した場合、役員一人当たりの税金は約50万円、法人の税金は約524万円(実効税率を30%とした計算)になります。

2,028万円-((50万円×4人)+524万円)=1,304万円

税金だけで見れば、約1,304万円の節税となります。
※個人の所得控除は給与所得控除、基礎控除、社会保険料控除のみを加味した計算になります。

2.役員報酬が法人の経費になる

個人事業の場合、事業主の方へ経費で給与を支給するという概念はありません。

しかし、医療法人成りすると事業主であった先生にも、役員として役員報酬を法人の経費で支給することができます。

家族を役員にした場合、家族に対しても同じように経費で支給ができる場合もあります。

3.決算月を自由に設定可能

冬季はインフルエンザの予防接種や風邪が多くなるため、忙しくなる医療機関が多いと思います。

個人事業の場合、棚卸等の作業をその繁忙期に行う必要がありますが、法人であれば閑散期に変更することができます。

4.役員退職金の支給が可能

個人事業の場合、事業主の方へ経費での退職金を支給するという概念はありません。

しかし、役員報酬と同様に法人の経費で退職金を支給することができます。

5.生命保険が法人の経費になる

個人事業の場合、自身の生命保険の掛金の一部が生命保険料控除の対象となるため、事業の経費にはなりませんでした。

医療法人で生命保険に加入した場合、加入した保険の種類や受取人等の諸条件によっては掛金の4~6割を法人の経費とすることが可能です。

6.事業承継がスムーズになる

個人事業の場合は一度事業の廃止手続きをし、引継ぐ先生が新規で開業する手続きを行う必要があります。

保健所や厚生局に届出を出し直す必要があり、手間がかかってしまいます。

しかし、医療法人の場合は理事長変更の理事会議事録を作成し、登記をすることで引継ぎが完了します。

主なデメリット

残余財産が国等へ帰属→法人成りしてから解散するまでに
医療法人で溜まった利益は国等に返還となります。

1.厚生年金強制加入による保険料負担の増加

医療法人成りすると厚生年金に強制的に加入となります。
スタッフと役員は厚生年金掛金を法人と個人で約半分ずつ負担することになります。

2.在職老齢年金問題

65歳以上の時に年金と役員報酬の月額が48万円を超えると、
超えた額の2分の1の額の年金額が支給停止となります。
※支給停止となるのは老齢厚生年金のみ


 医療法人成りのメリットの中で一番大きいのが税率差による節税効果だと思います。

ほかにも生命保険を法人の経費に出来るなどもあり、メリットばかりに目が向きますが、デメリットも存在しています。

ただ、法人化後も継続してメンテナンスを行うことで、上記デメリットに打てる対策はいくつかあります。

また、家族構成によってはデメリットの方が大きくなったり、
メリットの恩恵を受けられなかったりもしますので注意が必要です。


弊社では専門のスタッフが医療法人成りのシミュレーションを行い、
メリット・デメリットを比較し既存のお客様へのご案内を行っています。

法人成り後も法人運営のサポートを行い、
最大限のメリットを受けられるようにお手伝いをさせていただきます。

法人成りの設立手続き等も代行で行っていますので、
ご興味を持たれた方は、お気軽に弊社までお問い合わせください。


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執筆担当

療福祉事業部 澤田成河