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【小説】監視員

私は監視員だ。
モニターを見て、社員がさぼっていないか監視している。

この仕事は、高い集中力と持続力が必要だ。
勤務時間中ずっとモニターを見ているため、どうしても集中力が低下してしまう。
プロとして日頃から、休日には瞑想で集中力を高めたり、筋力トレーニングで持続力を磨いている。
誇りを持って働いているのだ。

え?誰を監視しているかって?

私が監視しているのは、

監視員だ。

近頃の監視員は集中力がなさすぎる。
すぐによそ見をしたり、おしゃべりをしたり。

私は、マイクを持って、
「はい。そこの監視員。よそ見をしない。」
これが私の仕事だ。

おっと、気が緩んだ。
あくびをしてしまった。

とたんに部屋に設置されたスピーカーから、声が響いた。

「はい。そこの監視員。あくびしない。」