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【映画感想115】ファウスト/ヤン・シュヴァンクマイエル(1994)

【あらすじ】
悪魔メフィストフェレスを呼び出した魔術師ファウスト。彼はあらゆる快楽と知識とを引き換えに、悪魔の王ルシファーに自分の魂を売り渡す契約をしてしまう……というファウスト伝説をシュヴァンクマイエルが独自解釈した長編作品。

【感想】
監督の「アリス」に続く長編2作目。
アリスの雰囲気が大好きなのでわくわくしながら見ました。アリスは冒頭で現実からシュヴァンクマイエル前回の謎の世界に舞台がシフトしていきますが、今作は現代社会から謎の洋館の不思議な世界というコインの裏と表のような真逆な世界が交互に移っていきます。

やがてコインを回したように世界の境界が曖昧になっていき、人形の世界に生身の人間が登場し、現実の街中に人形か登場するようになる。

虚構と現実が徐々に混ざり合っていくところが見事だと思いました。
また、現実世界の方も廃墟のような建物の窓越しに見えるガラス瓶の配置とか、細々としたアイテムに独特のバランスがあってよかったです。
(写真集ほしい)

ファウスト伝説、サブカルネタで名前を聞く割に全然知らないなあと思って検索したところ、「悪魔と契約した男」という都市伝説的なストーリーがあっていろんな戯曲になり、ゲーテの物語が特に有名で広まっているというのを初めて知りました。だからこのストーリーが正解というものもなくて、この映画はシュヴァンクマイエル版ファウストなのでたぶん「悪魔と契約した男」というキーワードから観客が自分で解釈して見つけないといけない。アリスより難解。

難しすぎて正直大筋しか理解できてないのですが、「天国がこの世よりいい場所なわけがないだろう」というくだりが好きでした。

追記
この映画でグレートヒェンは「ファウストを騙すために悪魔が美女にばけた姿(堕落させる/嫌がらせ/腹いせ?)」でしたが、ゲーテ版ファウストのグレートヒェンの末路を知りファウストは筆舌に尽くしがたい野郎だなと思いました。





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