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「金曜日はタコスの日」フィンランドに暮らす人との対話


去年のヘルシンキ滞在中、隣街エスポーに住むヤンナの家に招待してもらった。ヤンナはホストファミリーのいとこで、旦那さんのアスモと暮らしている。

遊びに行く日の前日、ヤンナから「晩ごはんはタコスでいい?5時には帰ってると思うからそれぐらいに来てね」とメッセージがきた。もちろんタコスは好きだ。けれど(なぜタコス…?)と少しだけ不思議だった。

当日、私を歓迎してくれた二人は部屋のツアーをしてくれた。3階建のメゾネットに庭、ウッドデッキ、サンルームもついている白い壁が素敵なお家だった。ツアーのあと、二人がタコスの準備を始め、私もアボカドを切るのを手伝った。

「うちは金曜日はタコスの日って決めているんだよ。」とヤンナが言った。「週末って疲れていて、何を食べるか考えるのもイヤになっちゃうでしょ?でも、金曜日はタコスの日って決めておけば、スーパーでも頭を使わずに買い物ができて楽なんだよね。作るのも簡単だしね。」

ヤンナは研修医、アスモは弁護士として働きながら大学院にも通っている。忙しいカップルにぴったりのルーティンだと思った。「今日は〇〇の日」というイベント感も楽しい。加えてヤンナは小麦アレルギーがあり、食事の準備にも一工夫がいる。タコスならトルティーヤやコーンの部分を別に用意するだけで大丈夫だ。

実はタコスは他のホストファミリーで暮らしていたときもよく食べていた。留学当時は、なぜフィンランドでタコスが重宝されているのかよくわからなかった。大人になって自分で生活するようになり、その訳がわかった。簡単に用意ができて栄養バランスもいい。好きな量だけ食べられる。日常にはぴったりなのだ。

ルーティンは退屈になるときもあるけれど、忙しい毎日を生き延びる工夫の結晶そのものだ。自分にぴったりのルーティンも見つけてみたくなった。

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