「ストレートに伝えていいんだよ」フィンランドに暮らす人との対話
フィンランドで誰かにメッセージを送るとき、「こうやって書いてみたんだけど、伝わるかな?」と、隣にいる友人に文章を添削してもらうことがあった。そうすると大抵の場合「んーこれでも十分伝わるけど、ココの部分はなくてもいいんじゃない?」と言われた。
例えばこんな文だ。
カッコの中のような部分はなくてもいいと言う。丁寧に言おうとしていたり、伝わり方を和らげようと婉曲した表現を用いていた部分だ。ここを書かなくてもいいの?と不服そうな私に、友人は「フィンランドではストレートに伝えていいんだよ」と言った。
確かにカッコの中には伝えたいことの本質はない。本当に相手を思った言葉というよりは、相手に悪く思われないため、そして自分の気持ちを安心させるための保険のようなものだ。けれど、たぶん日本の多くの人はこの保険がないと成り立たない対話の世界で生きている。
なぜフィンランドではこの保険がいらないのか。それは自分の感情には自分で責任を持っているからではないかと思う。自分の申し訳なさを相手に負担させない。聞いてどう感じるかは聞いた側が自分で対処すること。この分担のフェアネスが共有されているから、フィンランドの友人たちはストレートな対話の世界で生きられる。
良い悪いの話ではない。生きている”世界観”の違いがあるだけだ。ただ、その世界観との相性はそれぞれだ。フィンランドが生きやすいと感じる人がいるのも、少しだけ分かる気がする。
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