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独りでいる方が好き

 私は独りでいる時間が好きです。いや、好きなんてものじゃなくて、独りでいる時間が確保できないとものすごくストレスに感じてしまうほど、「独りでいる時間」は私にとっては必要不可欠です。

 思えば昔から独り遊びが好きでした。
 私の両親は共働きで、小さい頃は私が起きている間には仕事が終わらなかったこともあり、必然的に独り遊びの時間が多かったです。実際には姉がいたので独りではなかったのですが、姉は5つ年上でしたので、姉が中学生以降になってからは一緒に遊ぶということは少なかったです。

 子どもの頃、親がいない家ではお人形遊びをしていました。家にはなぜか仮面ライダーブラックとドラゴンボールのピッコロとフリーザの人形がありましたので、フリーザを敵役に、仮面ライダーブラックとピッコロを正義の味方役にして遊んでいました。はっきり覚えていませんが、脳内で物語を作って遊んでいた気がします。

 子どもの頃は友達と遊ぶこともありましたが、独りでいる時も泥をこねたりしてあそんでいたので、独りの時も寂しいと思うことはありませんでした。むしろ、独りの方が自分の思うように遊べるので楽しいとさえ思っていたかもしれません。

 「独りが良い」という気持ちが崩れてきたのは大学に入ってからです。私は大学では体育会弓道部に所属していました。
 部活動は集団行動です。目標に向かって部員一丸となって活動することを求められます。今まで集団で行動するための練習をしてこなかった私はそこでなかなか苦労しました。ずっと後年になっても集団行動で苦戦していた私ですので、それ以前の幼稚な私はなお苦労していました。

 弓道部でよく叱られたことは「他の部員のことを考えろ」でした。私は「他の人のために何をすればいいか」と考えると全く何の考えも浮かばなくなるため、フリーズしてしまいます。フリーズしていた当時の私を見て、周りは「こいつサボっとるな」と思っていたのかなぁと今振り返ると思います。「他の人のために何をすればいいか」という問いの立て方をすると、未だに何をしたらいいか全く分からなくなります。
 「人のために」ということを考えられない自分は人として大事なところが欠損している駄目な人間なんじゃないか、と思うようにさえなりました。

 また、独りが好きな私は集団行動を求められる部活動で時々非常にストレスを感じることがありました。いつも人と一緒に行動して、人を巻き込む企画を積極的に提案する他の部員を「すげえなぁ」と憧憬の眼差しで見ていたこともあります。ここでも「人と一緒に活動するように動けない私はどこかおかしいんじゃないか」とも思っていました。

 そんな風に「独りでいることが好き」という傾向性を持つ自分自身に劣等感を感じ、自己否定の気持ちを長く持ってきていました。しかし今はそれについてそこまで深刻に考えなくなりました。

 考えが変わった理由は二つあります。

 一つは、私のような人は他にも意外にたくさんいるな、ということに気づいたからです。
 弓道部で活動している時や大学で勤めていた時は、組織として動くことが前提なので集団行動が得意な人の方が評価が高いです。そしてそういう人が目立つため、集団行動が苦手な私のような者は目立たなくなるため、組織の中に私のような者がいたとしても私はその人の存在に気づいていなかったのだと思います。
 でも、大学を辞めていろいろな人に出会うと、私のように独りが好きな人にも意外と多く出会いました。そして、そういう人も自分の特性に合った仕事をしながら社会と折り合いをつけて生きていました。そういう姿を見て「あ、俺も独りが好きでも大丈夫かもしれない」と思うようになってきました。

 二つ目は、私が憧れた集団行動が得意な人たちも、それはそれで苦労するところがあるんだな、ということが分かったからです。
 集団行動が得意な人の中には、自分が独りでいる時間が非常にストレスで耐えられない、という種類の人がいます。私が独りでいる時間がないと非常なストレスを感じてしまうのとちょうど真逆です。そういう人は独りの時間ができないようになるべく人と会う時間を作りたがり、独りでいる時間があると非常な寂しさを感じてしまうそうです。
 私はその話を聞いた時「それはもう病気なんじゃないか」とさえ思いました。
 さすがにそれは言い過ぎですが、独りでいる時間が好きな私から見ると、独りでいる時間がストレスで寂しくてたまらない、という人の話を聞くと「そんな風になるくらいなら集団行動苦手でいいや」と思うようになりました。


 何かの善し悪しを判断するときは基準が必要になります。「独りでいるより人といる方が善いことだ」という価値基準であれば、私の「独りでいる方が好き」という特性は悪いことでしょう。でも、価値基準は一つではなく、多様なものがあり、どれを選ぶかは私の自由だということに気づいてからは、「別に独りでいるのが好きでもいいじゃん」と思えるようになりました。
 それに最近気づきましたが、私が独りでいることが好きであるという特性と関りがある別の特性に「同じことを繰り返しすることが苦ではない、むしろ楽しい」というのがあります。毎朝瞑想するとか、決まった時間にバランストレーニングをするとか、ストレッチをするとか、一日に一度は必ず読書する時間を持つとかいったことです。人によってはその継続が難しいと聞いて驚き、また「なら私の特性も良いところあるじゃん」と思えました。


 もしこの記事をお読みの方で、かつての私のように「独りでいることが好き」な自分に対して劣等感を感じている方がいらっしゃいましたら、劣等感なんて感じることはないですよ、と言いたいです。
 「独りでいることが好き」という特性を活かせる場というのはありますので、今いる環境が特性を活かせない場であれば活かせる場に移るか、新しく活かせる場を作ることが大事だと思います。
 あるいは、自分の特性を「良い」と言ってくれる理解者を見つけるのも良いかと思います。理解者が見つけられない場合は、私に言ってくだされば私は手放しで「独りが好きとか最高じゃん!」と褒めますのでどうぞお気軽に申し出てください(笑)。


 本日は以上です。スキやコメントいただけると嬉しいです。
 最後まで読んでくださりありがとうございました!