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(25)勢いは特性で増幅する一瞬-竹簡孫子 勢篇第五

勢篇第五では敵と味方の関係から「勢い」を作り出す方法を述べています。つまり、敵と味方の間に戦力差を作り出すことが「勢」を発動させます。

では「勢」を発動すれば、無条件に強力なエネルギーが生み出されるのではなく、「性」に従うとあります。

【書き下し文】
故に善く戦う者は、人を択(えら)びて勢に与わしむること有り。勢に与わしむる者は、其の人を戦わすや、木石を転ずるが如し。木石の性は、安ければ則ち静まり、危(あやう)ければ則ち動き、方なれば則ち止まり、円なれば則ち行く。

【現代文】
そのために戦上手の者は、よく人を選んで適所に配置し、軍隊に勢いを与えようとします。軍隊に勢いを与えて兵士達を戦わせる様子は、木や石を転落させるようなものです。木石の性質は、地面が安定していれば静止しますが、傾斜する危険な場所であれば動き出し、四角い形であれば止まり、円形であれば転がります。

「性」とは、その人の性質、特性のことです。
その人の特性や性質を考慮した適正な配置を行うことで、人間は能力を最大限に発揮し、組織は「勢い」を増幅させていくというのです。

勢いは、個人の能力の総和よりも大きいため、兵法では「人に責めす勢に求める」と言っているのです。

スライド42


では「性」を具体的にいうと何でしょうか。「孫子」では説明がありません。木石の性質を人間に応用する方法は、他の兵法書からヒントを頂きましょう。

例えば、三国志で有名な諸葛亮孔明の書いた「諸葛亮兵法」では、足が早い者、弓が上手い者、力が強い者、勇敢な者など、特性を活かして隊を組むと述べており、

また「呉子」という兵法書では、「人に短長有り、気に盛衰有り、と。君、試みに無功の者もの五万人を発せよ。臣請う、率いて以て之れに当らん」と述べています。これまで功績がなく自分のことを恥ずかしいと思っている者が五万人もいれば、どんな強敵でも打ち倒せるとと述べています。

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