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#5 願いし時の、果てるまで


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僕は 走っていた
崩れゆく 景色の中を
君と過ごした あの場所へ向かって

描き続けた願いは 優しい森で眠りにつく
最後の 時を
きみと ともに

Wish 3rd scene. ~願いし時の 果てるまで~

第一章 ~果ての島~

遥か遠い 海の向こう
ここは 世界の果ての島
自然と人とが 共に生きる場所

この島で僕は生まれた
僕には 幼い時から共に過ごした大切な人がいた
彼女に逢えるのは 家のそばにある大きな樹の下

ことばは交わせなかったけど 
不思議と気持ちは通じあえた
彼女と過ごす日々は とても穏やかで幸せだった

いつまでも この時が続くことを願っていた

第二章 ~兆し~

私は静かに悟った その時が近づいている事に

空に輝く太陽をいつしか雲が覆いはじめた
薄くかかっていたその雲は 
やがて厚く 黒くなり 雨が降り出した

風は止み 鳥達は羽ばたく空を 失っていった
山は崩れ 獣達は住み処を 失っていった

雨はやむことなく いつまでも降り続いた
それでも 人は信じていた
「いつか雨はやむだろう」と

来るべきその時に向けて 歯車は回り出していた

第三章 ~終わる願い~

僕は 走っていた

雨は降りやまず 島はその姿を大きく変えた
美しかった碧の海は 暗い闇へと変わり
やがて 全てを飲み込む 大きな波となった

ある人はただ恐れ ある人は必死であがいた
自然が全てを受け入れても 人は生きたいと願っていた

―世界の終わり―

どうすれば良いかなんて 僕にはわからなかった
「全て終ってしまうなら、僕達は何の為に生まれてきた?」
走っても・・・走っても 答えは出なかった

私は 生き残る術を 力の限り探し続けた
たとえ全てがなくなっても 彼には生きて欲しかったから
だけど・・・だけど 守ることはできなかった

嵐が吹き荒れる中 ついにその時がやってきた

最後の瞬間 僕は大切な彼女とともにいた
幸せな時を過ごした あの大きな樹のもとで

「きみのそばにいたい」
僕の辿り着いた 最後の願い

彼女は優しく 応えた
「一緒にいよう 最後まで」

二人とも笑顔だった

そして
深い闇が 島の全てを包み込んだ

第四章 ~紡がれるもの~

遥か遠い 海の向こう
かつて世界の果てと言われた場所
僕達は ここで生きていた

一瞬の輝きだったかもしれない
だけど 確かに紡がれていく
新たに生まれる願いへと

世界に 新たな物語が描かれていく

終わりから始まるこの場所で もう一度

一緒に いきましょう

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…というコンセプトストーリーを基にした
「Wish 3rd scene. ~願いし時の 果てるまで~」
という作品で、今回の「オンラインみちYOSA」にエントリーしています☆

チャンネルみちのくYOSA

上記のYouTubeチャンネルにて、配信時間は10月10(土)15時頃

ご興味が沸いた方はぜひご覧下さい☆

次回はこの作品を選んだ理由を少し語りたいと思います。


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