#85 削除・一般化・歪曲
個人と組織の能力を最大化し、
物語を共に創る伴走者、
ナラティブサポートの上村です。
脳が処理できる能力
脳のパターンについての話を今日はしたいと思います。
人間が出来事を認識するには五感を使います。
この五感がフルに感知できる情報量は毎秒1100万ビットもあるそうです。
日本語の文字数にすると687,500文字で日経新聞4.5刊分にもなります。
もしこんな情報量が常に入ってきて、それを処理しようとすると大変です。
視野に入るすべてのものがクリアに認識できて、街歩く人々の声が聖徳太子以上に聴き分けられ、心臓の鼓動や身体に当たる空気やほこり等の細かな感覚やむず痒さなどをすべて意識していたら何もできなくなってしまいます。
ということで、脳がいい感じに情報を選び取ってくれています。
感知した1100万ビットの情報量のうち、私たちが認識できるのはわずか128ビットまで、文字数にするとたったの8文字です。極端に減りますね。
例えば夏休みに帰省した出来事を一から体験した事を話していくとキリがないですよね。
車で家族全員で入って、社内は暑くて、時間は8時間かかって、その時、息子がぐずって、イライラして、実家について、両親が料理を用意してくれて、たまたま近所のおばさんも来ていて、、、キリがありません。
なのでフィルターを通して必要な情報を選択して伝えるということをしていきます。
言語化をすばやくし、コミュニケーションを成立させる目的をもったフィルターですが、一方でこのフィルターがミスコミュニケーションの原因になったり、思い込みや偏見が起きる理由にもなります。
脳のフィルターによる悪影響
例えば、
「みんながそう言ってるよ」
というセリフがありますが、
このような言い方を、私たちはあまり意識せずに言ったり、聞いたりします。
「今年のチームはあまり良くないね、みんながそう言ってるよ」
「新しい上司についていい噂は聞かないね、みんながそう言ってるよ」
などです。
というのは、相手に自分の意見を聞いてほしいときに無意識的に使われる言い回しが多く、全員が同じことを言っているように聞こえるのですが、実際にはそういったケースはあまりありません。
この「みんな」は、その人が重要だなと思っているAさんとBさんぐらいの少人数を指している場合が多かったりします。
こういったことが日常によくあり、ミスコミュニケーションにつながることはもちろん、「みんな私のことを嫌っている」といった表現をする場合においては、発信者の思い込みや偏見による「思考停止」状態が生まれていきます。
3つのフィルター
フィルターには大きく3つあります。
削除:自分の関心のある情報を優先的に選択
一般化:経験をパターン化して全てに当てはめる
歪曲:自分の都合のいいように意味づけ、解釈をおこなう
明日は、こういった削除、一般化、歪曲、思い込みによって生まれる「停滞」といった状態から、どうしたら建設的な状態を生み出せるのか、そういったコミュニケーションの場面で活用できる質問のスキルをお伝えします。
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