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てまひまと祖父母 ∽ 栗の長期保存

実家のある千葉県から、今暮らしているところ宛に、小箱が届いた。ずっしりと重たいけれど、やけに小さいから、思ったのと違う、と思った。前の日に母から「栗送っておいたからね!」と連絡が来ていた。私は来月企画している炊き込みご飯会のために、栗をイガごとまるごと送って欲しいとお願いしていた。それで届いたこの箱は小さすぎた。

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おそるおそる開くと、まず見えたのはむっちりしたみかんと柿。

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見覚えがありすぎる面々だ。これは父方の祖父母の畑で毎年どっさり採れていたみかんと柿だ。みかんは、ほったらかしで育てているから甘みも酸味もうすくて、それなのになぜかみずみずしくはあって、水分補給として1日に何個も食べていた。は、渋柿と甘い柿が半々くらいの割合でなる、駆け引きの気持ちで食べることが必要な、こちらもほったらかしでできたもの。味は懐かしいが、私の家族は父方の祖父母宅に大変な思いをさせられてきていて、仲は良くない。幼い頃こそ年末年始の節目に挨拶に行ったが、ここ数年は会いに行っていない。でも畑になった食べ物は毎週のように実家に届けられた。ネギに白菜に人参に栗にさつまいもにトマトやみかん。いつも大きな段ボールに雑多に、どっさりと入れられてきた。幼い頃から飽きるほど食べたそれらに、懐かしいのやら忌まわしいのやら気持ちの運びどころに戸惑う。採ってくれた祖父母にありがとう、送ってくれた母にもありがとうではあるが。

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というか肝心の栗はどこだ。

みかんと柿をかきわけるとその下に栗があった。

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案の定すでにイガは取り除かれていて、「なあ〜んだ」とちょっとがっかりした。炊き込みご飯会ではイガ取りから体験する予定だったのだ。ちょっとがっかりしながら、一ヶ月先の炊き込みご飯会まで美味しさが保たれるように、長期保存の処理をする。


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よういするもの

栗(鬼皮つき)、栗が全部入るおおきな鍋、栗が全部入るおおきなボウル、水


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1. まずは虫入りをのぞくために半日(12時間以上)水に浸ける

栗の中に、虫はつきもの。硬い皮をやぶって侵入しているので水につけておきましょう。浸けおわると、栗からニョキッと芋虫が出ているのが1つありました。水に浮いている栗も中を虫に食われているので除きましょう。

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2.「水から」弱〜中火で1時間ほど煮込もう

ここで大鍋の出番。大鍋に浸水済みの栗をどさーっと入れて栗がしっかりひたるくらいの水を入れて煮込みます。アクが出てきたら取り除く作業をしながら、コツコツ煮込みます。

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↑浸水がおわった栗

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↑茹でられている栗

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3. ざるにあげて粗熱をとって、水分を拭こう

煮込み終わったらザザーっとざるにあげて、30分ほどおいてしっかり粗熱をとろう。キッチンペーパーなどで水分を拭いてね

4. ジップロックに重ならないように並べて冷凍庫へ!

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これで三ヶ月は味が保ちるそうです。

2日がかりになったけど、達成感もひとしお。



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届いたよ!ありがとう。無事保存できた!と母にLINEを送ると、「おばあちゃん、朝6時から3時間ぶっ続けで栗採ってイガ剥いてくれていたみたいよ。そのあとおじいちゃんが浸水して虫入りのを避けてくれたんだって」と来た。いろいろあって、出来るだけ交流を避けてきていた父方の祖父母。対面で話しても価値観が大きくずれていてまともに話せたことがない。急に、手元にある栗が不器用な贈り物に思えた。イガのままほしいと母には伝えていたから、母は祖父母に、イガのままちょうだいと言ったはずだ。それでもわざわざイガを剥いてくれたのだろう。数えたら栗は91個あった。ついでに綺麗に洗ってくれていたのだろう。びっくりしないようにわざわざ浸水して虫入りを避けてくれたのだろう。きっと、きっと。と思うのは孫の期待としていきすぎだろうか。今度会いにいってみようかなと、ちょっとだけ思った。


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割ってみたらぎっしりな栗でした。

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