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ベンチャーにおけるデザインの種類と役割を考えてみた。

私がデザイナーとして新卒でスタートした14年前とくらべて、『デザイン』という言葉がすごく幅広く使われるようになっているように感じることが増えました。

ただ、会話の中で『デザイン』という言葉を使っていても、お互いが違うことを頭に思い描いていたり、「そういうことをするのは”何デザイナー”なの?」という質問をされることも多いのです。

そこで、ベンチャーを渡り歩くデザイナーとして、ベンチャー企業におけるデザインの種類と役割をちょっと整理してみようかなと思います。


デザインの種類

主にベンチャーの中で必要とされるデザインについてピックアップしてみました。

・CIデザイン
・グラフィックデザイン
・WEBデザイン
・UIデザイン
・UXデザイン

採用などの文脈で語られるときには『UIUXデザイン』とひとくくりにされていることも多いのですが、厳密には違う活動や指標かなと思い、ここでは分けてみることにしました。


それぞれの特徴と役割

それぞれについてちゃんと説明すると、1つ1記事くらいのボリュームになってしまうので、それぞれ詳細について気になった方はぜひググってみてください。笑


◆ CIデザイン

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「コーポレート・アイデンティティ(Corporate Identity)」の略で、「マインド・アイデンティティ(MI) 」「ビヘイビア・アイデンティティ(BI)」「ビジュアル・アイデンティティ(VI)」の3つの要素で構成される。

企業文化を構築し特性や独自性を統一されたイメージやデザイン、またわかりやすいメッセージで発信し社会と共有することで存在価値を高めていく企業戦略の一つ。「CI」「CI計画」「CIプロジェクト」などとも呼ばれる。
-wikipediaより

企業やサービスの立ち上げ時だけでなく、リニューアルに伴う活動も多く非常に重要な役割を担う。
みなさんがパッとわかるCIをデザインしている人といえば佐藤可士和さん。

グラフィックデザイン

グラフィック

主として平面の上に表示される文字や画像、配色などを使用し、情報やメッセージを伝達する手段として制作されたデザインのこと。ポスターやチラシ、名刺のデザインなどもこれに当てはまる。
WEBデザインの中でも、メインビジュアルやアイキャッチなどはグラフィックデザインの分類になる。原研哉さんや森本千絵さんのことは、デザイン畑意外の方も知ってる人が多いはず。

WEBデザイン

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その名の通りWEBサイトのデザイン。アート的な作り込みだけでなく、WEBサイト全体の情報設計なども含まれる。インターネットの歴史とともに変化する要素が多い。情報設計やデザインにとどまらず自ら構築するコーディング作業を行うデザイナーさんも多い。

UIデザイン

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UIは「User Interface(ユーザーインターフェーズ)」の略。
ユーザーがアプリやWEBサービスを快適に使うための画面のデザインなので、デジタルが主体のサービスの場合には非常に重要である。そのスキルの特性上エンジニアからUIデザイナーになるという流れも最近は珍しくない。

ちなみによくベンチャー企業で言われている『プロダクトデザイナー』というのはUIデザイナーを指している事が多いように思います。

UXデザイン

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UXは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略。
そのラベルの通りユーザーの体験を設計する。そのユーザーが自社のサービスを利用することで受ける印象や体験全般を指す。上記のUIデザインや、UXリサーチなどもUXデザインの全体の活動に含まれる場合もある。
ベンチャー企業ではデザイナー以外でもUXの視点や活動に重きが置かれることも多いように感じる。定性的な観点が多いので、何を以って成功とするかの指標を決めるのがとても難しい。


食い違う"デザイナー像"

これを見てもらうと、それぞれが全然違う特性ということが伝わると思います。

たとえば、「とりあえずデザイナーを1人採用したから、ロゴづくりからアプリのUIまでなんとかなるよね」ということが全く通じないということがおわかりいただけるのではないかと思います。(両方のスキルを持った人もまれにいるので、そういう人を採用できた場合は別)

だからこそ、ベンチャー企業で1人目のデザイナーを採用するときや、デザイナーを増員するときは、会社のフェーズや近い未来をイメージした上で、どのようなデザインスキルや志向を持った人が必要なのかをよく考える必要があります。

専門特化か?ゼネラリストか?

視点を会社側からデザイナー側にうつして考えてみます。
これだけ領域が多いということはデザイナーのタイプやキャリアもこれだけ多様化しているということです。

時代の最先端をゆくUIデザインに特化したプロフェッショナルもいれば、一通りを抑えたゼネラリストタイプも存在します。(ちなみに私は、時代の変化とともに求められる道を一通り通ってきた器用貧乏ゼネラリストです。それぞれの領域ごとに得意不得意があります)

幅広い分野でデザイナーのスキルが求められている

これだけデザインの領域が広いというのはどういうことなのでしょうか。
それは裏を返せば、どんな分野においても”デザイン”的な考え方やスキルが必要とされているということなのではないかと私は考えます。

それは例えば、営業が提案資料を見やすく・伝わりやすく・どのように作ることでその提案が通るかを考えることであったり、コーポレート部門が会社を成長させるための組織の仕組みをデザインすることであったり、マーケティング部門が顧客のモチベーションを高める仕組みを設計することだったり、広報が事業をどうブランディングしていくかを考えることだったりすること。その一つ一つが実は上記に挙げたデザインの領域とも密接に結びついています。

以前たまたまお話を伺った場のプロデュースをする会社を経営されている方が「うちの会社はデザイナーしかいない、でもデザイナーがいれば撮影もできるし、資料も作れるし、なんだってできるから良いんだよ」という話をしていて面白いなと感じましたが、これも後から考えるととても合理的な発想です。

そう考えると、これは単純にデザインの領域が幅広いねっていう話ではなく、どんどんみんながデザイナー化している時代、というところに話が行き着くのかもしれません。

まとめ

ベンチャーの中にあるデザインの種類、なんとなく理解いただけましたか?

それぞれが違う特徴やスキルであることがわかると、デザインの採用やアウトソースも、どのようにしたら良いのかイメージできてくると思います。

ちなみに、"デザイン組織"の文脈も踏まえてもっと詳しく知りたい方は、下記の書籍がおすすめですので、ぜひ手に取ってみてください。


最後までお読みいただきありがとうございました!


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