恋に似た感覚。
何かを猛烈に好きになる。というのが人生ではたまに起こるけど、
歳をとるにつれてその頻度が減ってきた気がする。
そんな私がふと最近ハマりだしたのが植物だ。
母の日に贈るアレンジメントを物色していてたまたま近所の花屋に二つだけ仕入れられていたコウモリランに一目惚れした。
亡くなった祖母はとにかく草木が大好きで、一人暮らしで痴呆症を患いながらも、ホームに入るその日までほぼ一日中家の周りの植物の世話をしていた。
ただその1人娘である母は、
「絶対植物って枯らしちゃう」が口癖で、我が家に来た鉢植えは長生きしたことがないので私は植物には縁遠い。
猫が食べてしまうので今まで観葉植物さえ買ったことがない。
だけれども、コウモリランのその名の通りコウモリに良く似たその容姿に一目惚れしてしまった。
しばらく何週間か迷った挙句、仕事のキリがよくなった時に思い切って買いに行く。最高の気分。
植物にしては高額なためか二つとも売れずに残っていて、一目で気に入ったことを伝えると花屋のお姉さんはとても嬉しそうに「可愛がってあげてくださいね」と包んでくれた。なんだか嬉しい。
「ハマる」というのは不思議なもので、
それまで植物に一切興味の無かった私の視点はガラリと変わり、
家の周りや通る道すがらも他人の家の軒先にどんな植物が置いてあるか気になってしょうがない。
それを見ているだけでも満ち足りたなんとも不思議な気持ち。
恋をすると歩く街の景色が変わるような久々な感覚を味わっている。
嬉しくて少し落ち着かなくて、でもなんだかうれしい。
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